靴のサイズが大き過ぎると足が太くなる?様々なデメリットを紹介

ファッションコラム

靴のサイズの重要性

一般的な洋服は「SML」といった大雑把なサイズに分けられていますが、靴のサイズは「5mm」刻みで細かく分けられています。

これは僅か「5mm」の違いで弊害を感じるほど、靴のサイズ合わせが重要だということでもあります。

様々な紐靴の革靴

洋服は大き目のサイズの方が動きやすいと勘違いしている人が多いのですが、サイズが大き過ぎる洋服は余計な生地がまとわりついて動きにくくなり、余計な生地の分の重さも増してしまいます。

動きやすさを重視するスポーツ選手のユニフォームも、昔から比べると随分とスマートに進化しています。

大き過ぎると皺も増えて見た目の印象が悪くなってしまいます。お洒落の為にあえてオーバーサイズの着こなしをするようなテクニックもありますが、あれは緻密に計算された上に成り立つテクニックなので、簡単なお洒落ではありません。

洋服と同じように靴も大き過ぎることによる弊害、デメリットが多いのですが、日本人は靴の脱ぎ履きのしやすさを優先してしまう人が多いだけに、靴のサイズも大き過ぎる傾向があります。

そこで今回は靴のサイズが大き過ぎることによる様々なデメリットを紹介します。適当に選んでしまった靴のせいで損をしている人は珍しくありませんよ。

1 痛み

靴のサイズが大き過ぎると痛みの原因となってしまいます。

これは女性のハイヒールをイメージするとわかりやすいのですが、踵が高いと前のめりになるので、足の親指や小指の付け根の点に過重されてしまいます。

ハイヒールの女性の足元

男性の靴の場合はハイヒールほどわかりやすくはないのですが、男性の靴でも踵の方が少し高くなるように設計されています。

きちんとサイズを合わせた靴であれば、踵や土踏まずや甲がフィットしているので、足の前方の一ヵ所に負担が掛かる事がありません。

一方でサイズが大き過ぎる靴だと、引っかかりがないので靴の中で動いてしまうので、足先の一点に負担が掛かってしまいます。これこそが靴擦れの原因です。

よく靴擦れするからと大きめのサイズを選んでしまう人がいるのですが、これは本末転倒な事であり、大き過ぎるが故でフィットしないで靴の中でズレてしまうからこそ起きてしまいます。

もちろん窮屈過ぎてもダメなのですが、適当に靴のサイズを大きくしてしまうと空間が広がってズレやすくなってしまい、さらに靴の重みも増して慣性が働いてしまいます。

フィットしている靴というのは、足のつま先側だけに空間が広がり、グッと踏み込んで体重が乗った時に土踏まずが平らになっても、靴の中の足先の余裕のある空間にだけ伸びてくれるので問題ないのですが、

靴が足の踵や甲がフィットしていないと、足先が靴に触れた状態で圧力が掛かってしまうので指が押し付けられて痛みの原因となってしまいます。

激しい運動をするスポーツ用の靴の大半が紐靴なのも、足を踵や甲にフィットさせる必要があるからであり、グッと体重が乗って土踏まずが平らになって足先が伸びても、靴の内側とぶつからないようになっています。

外反母趾などはこの典型的な例なのですが、高いヒールを履いている女性ほどこの傾向があるのですが、男性でも適当に大きなサイズの靴を履いていると、靴の中で足が動いて靴擦れを起してしまいます。

2 歩き方

大き過ぎる靴を履いていると歩き方も悪くなるデメリットがあります。

これはスリッパを履いて歩いている姿を思い浮かべると分かりやすいのですが、フィット感のないスリッパだと自然と歩幅を狭めて足先を持ち上げるような歩き方になるはずです。

茶色のスリッパ

そうしないとスリッパが飛んでいってしまうので、無意識のうちに歩き方が変化しているのですが、サイズが大き過ぎる靴でも似たような事が少なからず起こってしまいます

そもそも日本人は雪駄や下駄など、指先を中心に固定する履物文化でした。ビーチサンダルなどは日本の草履を元に出来たと言われています。

一方で現在主流の靴は欧米の文化なので、歩き方そのものが違います。

あるテレビ番組でヨーロッパンの人がアジア人旅行者の国籍を判断する時に、「日本人は歩き方が汚いから直ぐに分かる!」といっていたほどなので、多くの日本人の歩き方というのは欧米の靴の歩き方に適応できていません。

フィット感のないスリッパやサンダルだと大股で颯爽と歩くなど出来ませんし、自然と膝を曲げたまま足を持ち上げるような歩き方になってしまいます。走る事など出来ません。

この走る事ができない靴というのは、まともに歩く事すら出来ないという事です。

これを覚えておいてほしいのですが、いつでも走り出せるぐらいのフィット感がない靴では綺麗に歩く事など出来ません

流石に女性のハイヒールのような靴だと難しいですが、ヒールの低いパンプスや男性の革靴であれば、きちんとフィットしていると全速力で走っても不安がないものです。

日本は靴を脱ぐ文化なので、適当に大きめのサイズの靴を選んでいる人が多いのですが、それだけに歩き方が崩れている傾向があります。

欧米人が颯爽と歩いているように見えるのは、足を前に出す時に膝がしっかりと伸びているからです。スリッパであの歩き方をすると飛んでいってしまいます。

颯爽と歩くビジネスマン

日本人っぽい歩き方というのは、時代劇の下っ端をイメージすると分かりやすいのですが、つま先から着地してヒョコヒョコと歩くような姿です。決してカッコいい歩き方ではありません。

現代人でも適当に大きな靴を選んでしまったばっかりに、崩れた歩き方をしている人は少なくありません。周りの人の歩き方を観察してみてください。しっかりと踵から着地してつま先で地面を蹴り、膝が綺麗に伸びている日本人は多くありません。

靴のサイズが大き過ぎると、誰もがスリッパのように足の先端を持ち上げるように歩いてしまうので、自然と歩き方がカッコ悪くなってしまうデメリットがあります。

歩き方が崩れると筋肉の使い方も変わってしまうので全身の姿勢にも悪影響がありますし、猫背のように背中を丸めて歩いてしまうと、腹筋が緩んで肩や首の筋肉に力が入ってしまうので、ポッコリお腹になって肩こりも酷くなってしまいます。

よく欧米人には肩こりがいないなどと言われますが、これは骨格や筋肉量の違いだけでなく、歩き方の違いの方がずっと影響が大きいと言われています。

たかが靴のサイズが大きいだけで歩き方がカッコ悪くなってしまうだけでなく、全身の健康にも悪影響が出てしまいます。

3 足の筋肉(太ももが太くなる)

歩き方が違うと足の筋肉の付き方にも影響が出てしまいます。

特別太っているわけでもないのに「太ももだけが太い」という人がいるものですが、これも歩き方や筋肉の使い方が間違っているからだと言われています。

スリッパのようにフィットしないサイズが大き過ぎる靴を履くと、足の指先が反って上を向くようになり、重心が後ろ側に傾いてしまいます。

足の裏に均等に体重が乗らなくなり、重心が足の踵側に傾くとバランスが取れなくなってしまうので、全身の姿勢を変化させてしまいます。

たかだか足裏の重心のかけ方一つで、上半身や頭の位置も含めて姿勢が崩れてしまいます。土台がしっかりとしていないほど、そのシワ寄せが生まれてしまいます。ジェンガでもだるま落としでも土台に近い箇所のバランスが崩れていると、上の方が大きく傾くような事です。

足の裏の重心が後方に傾いたままだと倒れてしまうので、自然と身体は腰を引いて九の字になってしまいます。

試しに立ちながら足の指先を上に向けてください。腰が引けて太もも辺りの筋肉に力が入ると思います。

逆に骨盤がグッと入った良い姿勢で歩くと、足を動かすのに腹筋やお尻の筋肉まで総動員して大きな歩幅でスマートに歩けるのですが、腰が引けてしまうと太ももの前がの筋肉ばかりを使って足を持ち上げる事になってしまいます。

これが足が太くなる原因と言われています。肩こりや腰痛や首の痛みも同様なのですが、崩れた重心を保つ為に特定の筋肉ばかりが酷使されてしまうので、痛みが発生してしまったり、大きく発達してしまいます。

逆に使われない筋肉はどんどん衰えてしまうので体型が変わってしまいます。そもそも脂肪は特定の箇所にだけつくものではありません。体重が変化していないのに太ももだけが太くなったり、お腹だけが出てしまうのは、まさに偏った身体の使い方が原因であり、必要性があって太くなってしまいます。

あえて猫背にしたまま腹筋に触れてみてください。全然力が入っていないのが分かると思います。そのまま姿勢を正していくと自然と腹筋に力が入って硬くなるはずです。

週に一度スポーツジムで筋トレをするより、日常的な身体の使い方を改めた方がずっと効果的なので、その為にも正しい身体の使い方がしやすいフィットした靴を履く必要があります。

このようなアンバランスな身体の使い方になってしまうきっかけというのが、まさに大き過ぎるサイズのフィットしていない靴の可能性があります。

日常的にスリッパを履いた時のような歩き方をしていると、全身の筋肉の使い方が変わってスタイルまで崩れてしまいます。

細かな事を言えば足の指の筋力も衰えてしまいますし、足の指にも刺激が少なくなるので爪が変形してしまう事もあります。日本人の男性の6割、女性だと8割もの人が浮指の傾向があると言われいるぐらいであり、

日頃から正しく歩けている人は多くありません。モデルでもない限り、正しい歩き方を習う機会などありませんが、それは欧米人でも同じであり、その違いこそが靴のフィット感に対する認識の差だと言われています。

スタイルの良い人を観察してみてください。大抵は歩き方や姿勢が綺麗なはずです。これといった運動をしていなくても良いスタイルを保っている人というのは、普段のちょっとした歩き方や姿勢が良いからであり、それを維持しやすいフィットした靴を履いている傾向があるものです。

4 靴の匂い

男女関わらず靴ならではの悪臭に悩んでいる人が多いものですが、実は靴のサイズの大きさも雑菌の繁殖に影響が出る要因の一つです。

ダウンジャケットのような温かい洋服というのは、魔法瓶のように空気の層を作る事で体温を外に逃がさない工夫がされているわけですが、靴のサイズが大きいと靴の中の温度も高くなるデメリットがあります

明らかにブカブカな靴だと通気性も良くなるので、必ずしも当てはまらないケースがあるのですが、フィットしているサイズよりも、0.5~1.5ぐらい大きなサイズの靴を選んでしまうと、魔法瓶のように空気の層ができてしまうので、靴の中の温度も高くなって雑菌が繁殖しやすくなってしまいます。

靴のサイズが大きいと靴の中で足がでズレやすくなって、靴擦れの原因となると紹介しましたが、このズレによる摩擦熱も加わってしまうので、どんどん温度が上がってしまいます。

さらに細かな事を言うと靴下も擦れやすくなり、飛び散った繊維が靴の内側の先端に貯まりやすくなります。

この貯まったホコリが汗を吸って雑菌の温床になってしまうので、どんどん靴が臭くなってしまうわけです。

もちろん靴の悪臭の原因は靴の素材や靴下の素材なども関係しているので、靴のサイズだけが原因ではないのですが、あるテレビ番組で全く同じ靴のサイズ違い(1cm)を左右の足に履いて30分歩いてから温度を計ってみると、1.8度もの温度差になっていました。

革靴の世界では有名な話なのですが、フィットしている革靴ほどポンプ効果で靴の中の空気が排出されて蒸れないと言われています。流石に生地そのものに通気性のあるスニーカーほど蒸れないわけではないのですが、靴の内部に余計な空間があるほど熱がこもって悪臭が発生しやすくなる事を覚えておいてください。

5 革靴を履くと痛くなる理由

普段からあまり革靴を履かない人が、冠婚葬祭などでたまに履くと痛みが出てしまうケースがあるものですが、これもまさに靴のサイズが合っていない事が原因です。

スニーカーというのは伸縮性のある生地で靴紐を通す穴も多いだけに、少しぐらいサイズが大きかったり靴紐を緩めていても、そこそこはフィットしてくれます。

もちろん激しい運動をするほどのフィット感ではないのですが、日常的に歩く程度の運動であれば、極端に歩き方が崩れてしまうわけではありません。

一方で革靴の革に伸縮性はありません。革も少しずつは伸びていきますが、臨機応変に伸び縮みするわけではありません。

また革靴は靴紐がなかったり、靴紐を通す穴が少ない傾向があります。スニーカーに比べて調節する余地がありません。

スニーカーの紐を結ぶ女性

もちろん革靴でもきちんとフィットしたものを選ぶと、このような問題は起きません。ただ革靴を購入するときに、スニーカーと同じような感覚で大き目のサイズを選んでしまうと、革靴ならではのデメリットが全面に出てしまうだけに弊害も大きくなってしまいます。

フィットしていない革靴でも中敷きを調節したり、靴磨きをする事で革が柔らかくなる事もあるので、全く調節できないわけではないのですが、

スニーカーほど簡単ではないだけに、そもそものサイズ選びが適当だとデメリットばかりになってしまいます。

これらのように適当に大き過ぎるサイズの靴を選んでいると、様々なデメリットが出てしまうので、これから靴を購入する際はきちんと試し履きをしてから選ぶようにしてください。

靴のサイズが大きくなってしまう原因

日本は靴を脱ぐ文化なので、履きやすさや脱ぎやすさを優先して大きめのサイズを選んでしまう人が多いのですが、もう一つの原因として成長期の靴選びの感覚が残ってしまっている人もいます。

私自身もそうだったのですが、どんどん成長していく子供の頃というのは、靴を購入する度にサイズをあげていくわけです。

高校生ぐらいになって成長が落ち着いてきても、その習慣が残っているので、ついつい大きめのサイズを選んでしまいました。高校三年生の頃の私は28cmの靴を選んでいたのですが、現在は靴のサイズはメーカーによっても違いますが、26~27cmの間に収まります。

これに気づくのに随分と掛かりました。ファッションに興味が無かった20代の頃はずっと28cmだと決めつけていた事もあり、ろくに試着もせずに選んでしまっていました。

フィットしやすいスニーカーだと何とかなってしまうのですが、一般的に革靴はスニーカーよりも0.5~1cmぐらい小さい方がフィットすると言われており、現在の私は革靴の大半は26cm、スニーカーだと26.5cmが多いです。

過去の私のように自分の靴のサイズを決めつけていると、なかなかフィットするサイズの靴を手にする事ができないので気をつけてください。

別のところでも紹介したのですが、学校の上履きのようなペラペラでフィットしていない靴を履いていると、歩き方や筋肉の使い方が狂ってしまう事があります。

たかが靴のフィット感といったものでも、全身に影響が出る事を覚えておいてください。

靴のフィット感は足幅(EEや3E)のサイズによっても変わりますし、靴の素材だけでなくメーカーが想定している靴の形によっても相性が変わります。

元となる木型(洋服で言う型紙)もメーカーによって全然違うので、欧米人向けに作られている海外の靴だと、日本人の足に全くフィットしない事もあります。

もちろん日本人でも欧米人の足の形に近い人もいるので、必ずしも日本のメーカーの靴が良いという事ではないのですが、この辺の相性を見極める事なくブランドイメージだけで選んでしまうと、思わぬ弊害が出てしまうので気をつけてください。

靴を購入する際は前後のサイズも試し、きちんと靴紐を結んでフィット感を確かめてください。また足のサイズは左右によって違う事も珍しくないので、必ず両足を履いて確認しましょう。

こういった小さな事と向き合う事で、様々なデメリットが軽減されて姿勢や歩き方まで良くなっていき、洋服も似合いやすい姿勢や身体つきになっていくものですよ。

逆にこういった事を軽視していると、どんなに高価な洋服や靴を身につけていても、どことなく残念な印象になってしまうものです。

まとめ デメリットは想像以上!

日本は靴を脱ぐ文化なので、どうしても大きめの靴を選んでしまい、靴紐をしっかりと結び直す人も少ないのですが、それだけに姿勢や歩き方まで崩れてしまっている人が多いので気をつけてほしいと思います。

私自身も昔は気にした事が無かったのですが、ファッションに興味をもつようになり、より本質的なお洒落と向き合うようになっていく事で、姿勢や歩き方の重要性が理解できるようになりました。

靴磨きと向き合うようになると、普段の靴の扱い方次第で傷や汚れ方が全然違うと理解できるようになり、靴の脱ぎ方や履き方を意識するだけで綺麗な状態を保ちやすくなり、靴紐をきちんと結ぶだけでも歩き方や姿勢にまで影響が出ることを知りました。

靴べらを使うようになると靴の履き口を無駄に広げる事もなくなりますし、素早く靴紐を結ぶテクニックを身につけると煩わしさも解消されました。

姿勢が悪いだけで洋服は似合いませんし、せっかくサイズを合わせて購入した洋服でも期待していたシルエットにはならず、皺だらけになってしまいます。

人間の身体の土台である足元の状態が狂っていると、その影響は全身に出てしまうので、靴のサイズ選びといったものも適当に済ませないで、しっかりと確認するようにしてください。

アスリートでもない限り靴のちょっとしたフィット感の違いが、分かりやすくパフォーマンスの違いとして感じられないかも知れませんが、毎日の歩く動作として確実に積み重なっていくので、いずれは大きなデメリットが生じてしまうので、今回紹介した靴のサイズが大き過ぎる事のデメリットをしっかりと理解し、これからの人生に役立ててください。

きちんとフィットしている靴を履くようになると、自然と扱いも丁寧になっていくので靴の寿命も延びてくれますし、靴底の擦り減りの偏りといったものも改善されていきます。

自分の足の形や歩き方と相性が良い靴メーカーが分かるようになると、どんどん健康になっていって生物的な魅力も増していきます。

姿勢や歩き方が良くなっていくと洋服も似合いやすくなりますし、疲れやすさも段違いに改善されていくのでメリットしかありませんよ!

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