試着室の男女比にみるファッションレベルの違い

ファッションコラム

ユニクロ大型店の衝撃

先日、都心部にある大型のユニクロ(旗艦店?)に行く機会がありました。

私の地元にある小型のユニクロと商品が大きく違うわけではないのでしょうが、店内の広さや従業員の多さ、そしてマネキンやディスプレイの凄さに圧倒されました。

お客さんの数も多く、若い方から年輩の方まで年齢層も幅広く、そして外国人もたくさんいました。男女比で言うと女性6割、男性4割ぐらいの印象でした。

私は洋服選びではなく大型店の空間を楽しんでいたのですが、それでも新商品のズボンが気になり、手に取って試着室に向かいました。

そこで改めて驚くことになりました。

試着しない男性

試着室の入口の前に10人ほど並んでいました。こんな風景、私の地元のユニクロでは見たことがありません。

私もその列に並び数分待つことになりました。そこで気がついたことが、男性が私の他に1人しかいなかったということです。

それも試着を終えて離れていった人も含めてです。

店内の男女比を正確に把握しているわけではありませんが、4割ぐらいの男性のお客さんがいるのにも関わらず、試着室を利用をする割合は9割以上が女性でした。

ファッションレベルの差

男性よりも女性の方が圧倒的にファッションレベルが高いものですが、まさに試着室の利用率にあらわれていたように感じます。

また店内に外国人がそれなりにいたはずなのに、試着室には全くいませんでした。

言葉の壁もありますし、文化も違うので何とも言えませんが、日本人女性のファッションレベルが高い理由の一つとして、洋服を購入する前にきちんと試着をして、自分の体型と向き合っているからなのだと思います。

特に女性は胸の大きさに個人差が出やすいので、試着の重要性を理解しているのだと思います。

それに比べて男性は、あまり試着を重要だと認識していないようです。

特に年輩の男性の方は恥ずかしさもあるのか、滅多に試着室で見かけることはありません。それだけにブカブカのズボンを平気で履いている人が多いのではないでしょうか。

裾上げは奥様に頼むことが出来てもフィット感を確かめることはできません。試着を怠るからこそ、それほど太っていない男性でも、安易に大き目のツータックのズボンを選ぶのかも知れません。

ジャケットやコートであれば、わざわざ試着室に行く必要はありませんが、それは女性でも同じことであり、やはり男女差に圧倒的な差があるのは、意識の違いなのだと思います。

その意識の違いが、ファッションレベルの差となって現れているのだと感じました。

また奥様や恋人に洋服を選んでもらっている男性も多く見かけました。

コーディネートという意味ではセンスの良い女性に聞くのは悪くないのですが、やはり試着をしないとサイズを合わせることは難しいです。

多くの男性が自分の身体のサイズは「M」などと決めていますが、メーカーによってサイズは微妙に違いますし、洋服のデザインや流行によってもサイズは変わってきます。

同じユニクロで同じようなズボンを購入しても、シルエットは毎年微妙に変わっているものです。体型も変わっていくので、試着なしにピッタリとフィットする可能性は低いです。

また別のところでも紹介しましたが、全く同じ店の同じ商品の同じサイズの洋服でも、個体差があるケースもあります。

参考洋服にも個体差がある!?

ユニクロのような品質がしっかりとしているメーカーであれば、個体差はそれほどないとは思いますが、それでも人間の手で作られているモノなので、僅かな違いがないとは言い切れません。

だからこそ試着をすることが重要です。これを理解しないことには、ファッションレベルは上がりません。

選択する必要性

きちんと選択をして購入するモノというのは、そうではないモノに比べて満足度が高くなる傾向があります。

誰もが商品を購入するときに、自分なりの基準に当てはめて選びます。

食品だと賞味期限をチェックしたり、野菜や果物だと色や形をチェックします。洋服や本だと一番手前のモノではなく、人の手やホコリが触れていないであろう奥の商品から選ぶものです。

一方できちんと吟味しないで選んだ商品というのは、後で後悔することが多くなるものです。

賞味期限がギリギリだったり、果物が虫に食われていたり、本の袋とじが破られていたりするものです(笑)。

洋服も実際に着てみると印象が違ったということは珍しくありません。しっかりと試着をして選んだ洋服ですら、普段使いで着てみると違和感があるケースもあります。

もしかしたら前に試着をした人の汚れが付いているかも知れません。太った人が無理やり着て伸びているかも知れません。女性なら化粧が付いてしまう可能性もあると思います。

参考新品の洋服は洗濯が必要!?

女性向けのブランドでは試着時に化粧がつかないようにビニールでカバーする事すらあります。

洋服を購入してから気がついても遅いです。もしかしたら返品なり交換ができるかも知れませんが、余計な手間が掛かってしまいますし、その手間を惜しまないような人は、そもそも試着を怠らないものです。

洋服に興味がない男性ほど、そもそも基準がないので不満に思うこともないのかも知れませんが、それはきちんと自分で選んでいないからです。

ファッションなんてどうでもいいという観点では、審美眼は磨かれません。

市場に仕入れにいく魚屋さんや八百屋さんの審美眼が磨かれているのは、それが重要なことだと認識しているからです。お店の信用や収入に直結することなので当然です。

ということは、多くの男性はファッションレベルが重要だと認識していないことになります。

とりあえずスーツさえ着ていればいいだろう、清潔感さえあれば十分と言った程度の認識です。

参考清潔感さえあれば十分?では不十分!

このような認識では、決して審美眼は磨かれません。

洋服を購入する前に試着するということは、経験値を積むことになります。それらが積み重なってレベルがアップしていきます。

多くの女性のファッションレベルが高いのは、積み重ねられた経験値の差です。

プロのスタイリストでも雇って全てお任せでもしない限り、ファッションレベルの差は埋まりません。自分で積み上げていくしかありません。

もちろん奥様や恋人に洋服を選んでもらうのは構いません。店員さんやファッション雑誌を参考にするもの良いかと思います。

ですが、そこにあなたなりの基準を加えてください。それが試着をして体感するということです。

どんなに周りの人から褒められた洋服でも、着ている本人が気持ちよく感じなければ意味はありません。着心地の悪さは居心地の悪さにつながり、姿勢や表情まで崩れてしまうものです。

試着をすることは身体を使うことなので、必ず何かしらの体感が得られます。自分のお気に入りの洋服と比べて、どこが違うのか見えてくるようになります。

この経験を積み重ねてほしいと思います。

鏡の前でチェックすることも経験値を積み重ねることになるので、面倒くさがらずに試着をしてほしいと思います。

Tシャツや下着のような洋服だと試着が難しいですが、それでも展示品を身体にあてがうぐらいの事は出来ます。Tシャツの袖や裾の長さなど確かめられる事は少なくありません。

そもそも洋服は値段やブランドで価値が決まるわけではありません。多くの洋服はシーズンオフになると値崩れします。在庫として来年まで抱えることになると倉庫代が必要です。

だから半額セールや福袋などで無理やりにでも処分してしまうわけです。

参考安い洋服の品質が低いとは限らない

半額になった途端に洋服の品質が下がるわけではありません。福袋に詰められた瞬間に価値が変化するわけではありません(流行は別ですが)。

その洋服の価値は所有者が決めることです。

お気に入り洋服であれば価値はとても高いですし、そうでなければ高級ブランドの洋服でも価値はありません。

その価値を決める自分なりの基準を身につけてください。洋服の価格という基準でしか選べないと、残念な成金ファッションになってしまいます。

これは男性ファッションに限った話ではありませんが、ファッションレベルを上げたいと考えている男性は、洋服を購入する前に必ず試着をする習慣を身につけてほしいと思います。鏡の前に立つことなくレベルが上がるなどあり得ませんよ。

参考ファッションセンスがない男の特徴

まとめ 経験はプライスレス

ちなみに私が冒頭で紹介した都会の巨大なユニクロで、ズボンを購入するために試着した本数は7本でした。

私は昔からユニクロの常連でもあり、ある程度サイズの目安もあるのですが、それでも毎回試着する度にサイズの変化に驚かされます。

これは私の体型の変化が原因の場合もありますが、洋服のサイズやシルエットも日々変化しています。

ズボンのサイズであれば昔は「31」を目安にしていたのですが、先日購入したスキニータイプのズボンのサイズは「34」でした。

初めにスリムタイプの「32」を試着し、太ももがパツパツだったので「33」に上げると、太ももはきれいに収まったのですが、ひざ下のゆとりが少し気になりました。

そこでよりひざ下が細いスキニータイプの「33」を試着すると、またまた太ももがパツパツになり、股間も窮屈になってしまいました。

スキニータイプのズボンは伸縮性のある素材でピタリとフィットさせて着るものだとは思うのですが、私はあまり男性のお尻の形が浮き出るのが好きではなく、洗濯時に若干縮むことも想定されるので、もう一つサイズを上げました。

そしてスキニータイプの「34」を試着してみると、太ももやふくらはぎが綺麗に収まり、しかも余計な締め付けは皆無で理想的になりました。お腹周りは余裕があり過ぎるのですが、これはベルトで何とかなります。

サイズはそれで決まりました。そこでもう一度同じズボンの「34」をいくつか手に取り、雰囲気がよさそうなズボンを三本ほど試着室に持ち込み、最終的な一本を決めました。

昔はユニクロで「31」のズボンを購入すると、足の長さと裾の長さがピタリと合っていたとので、裾上げをする必要なかったのですが、さすがに「34」ともなると裾が長すぎるのでカットしてもらいました。

参考
足が長いからと裾上げをしないのはNG?

私が現在所有しているユニクロのズボンを並べてサイズを確認してみると、見事にバラバラで驚きました。

数字が小さくて見えないかもしれませんが、ウエストが79センチから86.5センチまでとバラバラです。どれも現役で活躍してくれているズボンです。

ズボンのシルエットは年々変化しています。また股上の深さにも流行があり、ウエストの位置も変化するので、このような大きな差が生まれます

自分の体型を維持しているつもりでも、このように洋服側も変化していくことを覚えておいてください。

世の中の多くの男性のズボン選びはサイズに余裕がありすぎです。必要以上にダボダボなので足が太く短く見えてしまいます。

参考足を長くみせる方法

一方でオシャレ好きな中年男性が、ピチピチのズボンを履いているのもいただけません。スリムなズボンが悪いわけではありませんが、ピチピチなのは清潔感のある若い人でないと似合いません。

これらのように現在の自分にフィットしたズボンを選ぶのは簡単ではありません。適当に選んで合うことのほうが奇跡です。

有名ブランドの美しいシルエットのズボンを購入しても、フィットしなければ意味がありません。だからこそサイズが豊富な量販店の様々なサイズを試着して、自分の身体と向き合う必要があります。

ちなみに私が購入したズボンはセール品で1990円でした。

現在所有しているズボンの中で最も体にフィットしており、余計な締め付けもなく、綺麗なシルエットなのでお気に入りの一本になりました。

そもそもセール品の中から選んだわけではないので、おそらくこのズボンが5000円でも購入したと思います。

しっかりと自分の身体と向き合い、試着を重ねて吟味して選択した洋服というのは、着心地がいいだけではなく、愛着がわくものです。

野菜が苦手な子供でも、畑に種を植えて育ててみると食べてみたくなるものです。魚が嫌いな子供も自分で釣った魚は食べたくなるものです。

洋服の価値は価格で決まるわけではありません。ブランドのロゴで決まるわけではありません。その洋服への想いが価値を決めます

芸能人のようにスタイリストを雇ったり、すべてオーダーメードで洋服を揃えられる人でもない限り、あなたの体型にあった洋服を選べるのは、あなただけです。

多くの女性はしっかりと体型と向き合っています。本当はお姫さまみたいな洋服を着たくても、自分に合う洋服を選択しています(稀に痛々しい子もいますが)。

女性に比べて男性は圧倒的に洋服選びが適当です。愛着がわかないのも当然です。

だからこそ自分の身体と向き合うだけで、一気に周りの男性に比べてオシャレになることができます。当ブログではこの事について、角度を変えながら何度も伝えているつもりです。

洋服を購入する前には必ず試着をしてください。しっかりと鏡の前で向き合ってください。

そこで得られる気づき、経験があなたの魅力を引き上げてくれます。これはプライスレスです。

大変長い文章になりました。ここまで読んでいただいたあなたは、おそらくもう大丈夫です。試着する重要性を理解できたと思うので、これからは試着せずに洋服を購入することはないと思います。

おまけ

実は当ブログにはありがたいことに、様々な企業から「洋服を紹介してほしい」という問い合わせをいただきます。

ですが、通販で洋服を購入することのリスクを考えて、お断りさせていただいております。

コーディネートの一例として紹介することはあるのですが、洋服を試着せずに購入することは、やはりおすすめできません。

身体の大きな男性や私のように腕が無駄に長い人などは、一般的な量販店のサイズが合わないことも多いので、ネット通販や専門店に頼る必要がありますが、それでもやはり失敗があるものです。

本当に試着は大切です。そしてその試着の技術(見極める力、審美眼)も大切です。

その試着の技術は自分で身につけるしかありません。お店の店員さんが力になってくれることもありますが、最終的な判断をするのは自分です。

試着の大切さを理解し、試着の技術を磨いてください。その技術は一生ものになりますよ。

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