腕時計の電池の寿命が短くなる3つの原因と対策方法

ファッションコラム

腕時計の電池の寿命

洋服をカッコよく着こなす為にも、腕時計は大切なポイントになります。男性ファッションの中で違和感なく身につけられる装飾品というのは腕時計ぐらいなので、適切なメンテナンスをしてほしいと思います。

一般的に腕時計に使用されている電池の寿命は「2年から5年」と言われています。

ですが、何度か電池の交換を繰り返していると、そのうち1年も経たずに時間が遅れてしまうことがあります。

電池が遅れてきたDW

この場合は、いくつかの原因が考えられます。

ライトアップやストップウォッチなどの機能を頻繁に利用して、単純に電池の消耗が激しかった場合などは原因がはっきりしていますが、そうではないケースもあります。

そこで今回は腕時計の電池の寿命が短くなる3つの原因を紹介します。またそれぞれの対策方法も紹介します。

1 電池の質

一般的な乾電池は様々な価格帯が売られています。同じ単三電池でも数倍もの価格差があるものです。

様々な単三電池

腕時計の電池も同様です。電池の品質には大きな違いがあります。

また腕時計のメーカーによっては、そのメーカーが販売している電池の使用を推進しているところもあります。一般に販売されている腕時計用の小型電池は、腕時計メーカーの基準を満たしていないことが多いそうです。

手先が器用な方であれば、腕時計の電池交換を自分で行えると思いますが、安易に100円ショップなどの低品質な電池を購入してしまうと、当然電池の寿命も早く訪れます。

また電池は使用していなくても自然に放電してしまうので、電池を購入した時点で弱っているケースもあります

商品の回転が早い時計屋であれば、数年間放置された電池が使われることはありませんが、さびれたお店で購入した電池には、そのようなリスクがあります。

むしろコンビニやホームセンターのように、商品の入れ替えが激しいお店の電池の方が、新しい可能性すらあります。

自分で電池交換をされる方は、お店選び(電池選び)も重要だと覚えておいてください。あまりケチらない方が良いかと思います。

2 油切れ

電池を使用しない機械式時計は、3~4年に一度は分解整備が必要と言われています。

動力がゼンマイなので電池は必要ないのですが、様々な部品が組み合わさって歯車が動いているので、時間の経過と共に徐々に油が切れてくると動きが鈍くなってしまいます。

機械式時計の裏側

その僅かな油切れが抵抗になり、徐々に時間が遅れてしまう原因となってしまいます。

電池式のアナログ腕時計は、機械式腕時計ほど部品は多くないのですが、それでも針を動かす程度には歯車が使用されています。

機械式と同じように歯車が油切れを起こすと抵抗が増してしまいます。機械式だと遅れが目立つのですが、電池式の場合は電池の消耗が激しくなります

この場合は電池を交換しても抵抗が増えたままなので、また直ぐに電池がなくなってしまいます。これが最も多い原因かも知れません。

また長年放置された腕時計でも同様のことが起こる可能性があります。針などの動作部の油は、毎日動いているからこそ油がまんべんなく行き届きますが、長年放置されると油切れを起こした箇所に錆が発生したり、初動でキズが付いてしまうこともあります。

対策としては機械式時計と同じよに、分解整備をする必要があります。

ただし、これはデジタル表示の腕時計には当てはまりません。

Gショックでもフルデジタル表示のものもあれば、アナログ式の針と併用しているタイプもあるので、分けて考えてください。

基本的には様々な機能を盛り込んでいる腕時計ほど、電池の消耗が激しい傾向があります。

3 故障

明らかに衝撃を与えてしまったり、破損した場合は故障とわかりやすいのですが、ちょっとした衝撃を受けた時に内部の歯車が傷つくことがあります。直接歯車が傷つくというよりも、内部の僅かな塗装が剥がれて歯車などが傷つくようなケースもあります。

他にも電子レンジなどの電磁波の影響を受けて歯車が狂うことがあります。金属は磁石に近づけると磁力をまとってしまいます。金属のパーツが磁力を持つとお互いに反発して狂いが出てしまいます。

磁石にくっついた鍵

機械式時計だと狂いとして表れますが、電池式のクォーツ時計だと抵抗が増して電池の消耗が激しくなります。

また素人が腕時計の電池交換を行うと、無理やりこじあけてしまったり、余計な衝撃を与えて故障することがあります。またホコリが混入しても歯車に影響を与えてしまうケースもあります。

このようなことが原因でも抵抗が増して電池の消耗が激しくなることがあります。この場合もプロによる分解整備が必要です。見極めるのが難しいのですが、電池交換をしても遅れが目立つ場合は故障が考えられます。

プロによる分解整備はホコリが少ない部屋で徹底的に管理されて行います。金属の磁力も抜いてくれます。これらは簡単に素人が行えることではありません。

分解整備の見極め方

分解整備は腕時計によって価格が違います。

国産の腕時計だと一万円を切ることが珍しくないですが、海外のモデルだと数万円は覚悟しなければなりません。基本的には高級腕時計ほど高額になると考えてください。

なので、数千円の腕時計であれば買い替えた方がお得です。

一方で価格に関わらず大切にしたい腕時計であれば、やはり分解整備をすることをおすすめします。

また腕時計の内部の分解整備だけではなく、本体やベルトを綺麗に磨いてもらうことも可能です。本当に大切な腕時計であれば、検討する価値があると思います。

逆に言えば、それほど愛着がない腕時計は分解整備をしてまで使用することはないと思います。とりあえず電池交換だけを済まし、電池の消耗が激しくなれば腕時計の寿命と考えても構いません。これが見極めるポイントになります。

一方で針の動作が全くないフルデジタル表示の腕時計は、大きなショックを与えて故障したのでなければ、基本的には電池交換だけでも長年使用することが出来ます。

デジタル使用のジーショック

海外の話ですが、20年前に亡くしたカシオの腕時計が見つかった時に、まだ動いていたことがニュースになったほどです。

腕時計にこだわりがないという方は、このような腕時計を選ぶのも一つの選択肢です。実用性という意味では、フルデジタル表示の腕時計がおすすめです。

個人的にはデジタル表示の腕時計はカジュアルなファッションにしか似合わないので、シンプルな針の腕時計を一つはもっておいてほしいですが。

参考お葬式に身に着けていける腕時計を持とう

品質のバラツキ

腕時計に限らず、あらゆる工業製品の品質にはバラツキがあります。よく言われている「アタリ、ハズレ」というのは、この品質のバラツキによるものです。

腕時計で「アタリ」と呼ばれるものは、細かなパーツの精度や組み立ての質が高いということです。「アタリ」の腕時計は、動作がスムーズなので電池の消耗が少なくなります

きちんとしたメーカーであれば様々な基準が設けられているので、少なくとも保障期間内は問題なく動く品質はクリアしているのですが、それはハズレでも保証期間内は大丈夫という意味です。

メーカーの保障期間が3年だとすれば、最低でも3年は持つように設計されていますが、逆に言えば「アタリ」の製品であれば、動作がスムーズで抵抗が少ないのでノーメンテナンスでも5年持つ可能性があります。

油は歯車同士が触れ合う箇所を潤滑する意味があるのですが、歯車の精度が高いと触れ合う箇所のひずみが少なくなります。一方で歯車や組み立ての精度が悪いと油が切れた途端にギコギコして動作がぎこちなくなるようなことです。

腕時計のムーブメントの歯車

これは車などの高度な工業製品でも同様です。車のエンジンは物凄く高回転で回されるので、僅かな歪みは性能に直結します。

メーカーが定めているエンジンの馬力などの性能は、最低でもクリアしている数値です。アタリの場合はメーカーが公表している数値よりも高いということが珍しくありません

車のエンジンの性能を見極めるには、そのエンジンの最高の力を出す(レースなど)ことで見極めることが出来るのですが、腕時計の場合は最高速で回すわけではないので、この品質を見極めるのは難しいです。

全く同じ時期に作られた腕時計をいくつか集めて、全く同じ時期に作られた電池を使用し、全く同じ空間(温度、湿度)で動作をさせ続けて比較をすれば、より長く動いていた腕時計の方が品質が高いと判断出来ますが、これは現実的ではありません。

一定のリズムでしか動かない腕時計の質は、見極めることが出来ないので「アタリ、ハズレ」は運次第です。

ですが、腕時計は分解整備をすることで精度がよくなるケースもあります。

特に初めての分解整備が大切だと言われています。真新しい歯車同士が噛みあっているので、どうしても目に見えないほどの金属粉が出やすいわけです。それらを綺麗に掃除をして新しい油を足し、きちんと組み立てることで歯車同士のアタリが良くなり、精度が上がるケースがあります。

また一流の時計師が丁寧に歯車の組み立てやネジの締め付けを行い、その現状の状態に合わせて時間を調整をすることで、より精度の高い状態に仕上げてくれます。

やはり長く愛用したい腕時計であれば、定期的な分解整備をすることをおすすめします。一方でそうでもない腕時計であれば、電池の消耗が激しくなってきたら寿命と判断して買い替えてください。

まとめ 電池の寿命と腕時計の寿命

腕時計の電池の寿命が短くなる原因をまとめると、

  • 電池の質
  • 油切れ
  • 故障

になります。原因を見極めて対策をしてください。

簡単な目安として、腕時計を購入してから初めての電池交換の時までは分解整備は必要ありません。

大切に使い続けたい腕時計であれば、二度目の電池交換の時期に分解整備をしてください。そうでもない腕時計であれば電池交換だけでOKです。三度目の電池交換ぐらいで寿命と考えていいと思います。

そして一つ注意してほしいのが、腕時計を購入した時に、すでに完成してから年月が過ぎているケースです。新品でも店頭や倉庫の中で何年間も埋もれていた可能性があります。

倉庫に埋もれている段ボール

このような腕時計は、購入して間もなく電池が切れることがあります。

きちんとした時計屋さんで購入していれば、保障期間内で対処してくれますが、適当に購入した腕時計だとそうもいきません。

安物の腕時計であれば諦めもつきますが、高級腕時計は補償がきちんとあるお店で購入することが大切です。ネットで購入する場合は必ず保障期間を確認してください。

購入した時点で分解整備の時期を迎えていれば、何度電池交換をしても直ぐに電池切れしてしまいますが、保障期間内であれば交換や分解整備を行ってくれます。

また親の形見や大切な人からのプレゼントされた腕時計であれば、やはり電池交換だけではなく、定期的な分解整備をすることをおすすめします。

分解整備は腕時計を購入したお店であれば大抵は受け付けてくれます。またメーカーのホームページからも申し込むことが出来ます。

また安くすませたい方は、分解整備を得意としているショップにお願いする方法もあります。

以前に私が機械式の腕時計を分解整備した時の記事があるので、参考にしてみてください。

参考腕時計のオーバーホールを安くする方法

同じショップでも電池式の腕時計の分解整備を受け付けてくれます。

何度も電池交換をしてまでも使い続けたい腕時計を所有しているということは、とても幸せなことです。

時間を確認するだけならスマホで事足りる時代ですが、腕時計にはファッションアイテムとしての役割だったり、想い入れが付与されて精神を落ち着ける役割が加わることもあります。

参考腕時計は精神安定剤!?

このような役割が付与された腕時計(想い入れのある腕時計)というのは、お金で手に入れられるとは限りません。大切な人からプレゼントされた腕時計というのは、全く同じ腕時計を購入しても、やはり別物です。

腕時計の電池交換や分解整備にお金はかかりますが、その価値はプライスレスではないでしょうか。お金さえあれば何でも簡単に手に入る時代ですが、どんなにお金をかけても愛着が生まれるとは限りません。

電池交換をしてまで使い続けたい腕時計を所有しているということは、本当に幸せなことです。大切にメンテナンスしながら末永く愛してあげてほしいと思います。

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