洋服を馴染ませて着心地をよくする3つの方法

ファッションコラム

着心地の良い洋服とは?

みなさんがお持ちの洋服の中にも抜群に着心地の良い洋服というものがあるのではないでしょうか?

たとえ高級な生地の洋服でなくても、何故か着心地が良くてついつい着てしまうお気に入りの洋服があると思います。

お気に入りのシャツをたたむ男性

着心地の良い洋服というのは、自分の身体に馴染んだ洋服のことです。

洋服のサイズがピタリとあっていたり、柔らかい生地だったり、良質な仕立ての洋服だと、新品でも着心地が良いものですが、そのような条件に当てはまっていなくても着心地が良い洋服があります。

この理由は洋服の生地の硬さが程よくなくなり、ガチガチに縫い合わせられた箇所が柔らかくなって自分の身体に合わせて馴染んだことで洋服の着心地が良くなります

馴染むというと硬い革製品で考えると分かりやすいのですが、一般的な生地の洋服でも硬さというものがあり、生地の違いだけでなく、縫い目の硬さなども関係しています。

それらが長年着用し続ける事で、自分の体型に合わせてよく動く箇所のあたりが柔らかくなっていくので、着心地が良くなっていきます。長年着続ける事になる学生服で考えてみても分かりやすいかも知れません。

そこで今回は積極的に洋服を馴染ませて着心地を良くする方法を紹介します。乱雑に扱って柔らかくすれば良いという問題ではありません。

洋服が馴染むとは?

馴染むと感覚というのは革靴で考えるとイメージしやすいかも知れません。革は足の形や動作に合わせて伸びていき、中敷きや中底も徐々に足裏の形に合わせて沈み込んで履き心地が良くなっていきます。

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よく曲がる甲の箇所には皺が入って柔らかくなりますし、革靴は履き続けることで足の形に徐々に馴染んで履き心地が良くなっていきます。逆に足に馴染んでいない新品の革靴だと痛みが発生しやすくなります。

革靴の他にも登山靴などが分かりやすいでしょうか。たくさん紐を通す穴があってフィットしやすい構造になっていても、履き始めの馴染む前だと痛みが出てしまいます。

これらと同じような事が一般的にな洋服でも起こっています。ただそれを認識する人が少ないだけです。

革ジャンのようなものだと分かりやすいのですが、多くの一般男性であればデニム生地でイメージすると分かりやすいと思います。

新品のジーパンは生地に張りがあって履き心地が良くありませんが、長年履き続けたジーパンだと硬さを感じる事がありません。これこそが身体に馴染んで着心地が良くなった証です。

一般的な洋服の生地は革ほどは伸びませんし、デニム生地ほどの硬さがあるわけではありませんが、どんな生地でも糸が折り重なって出来ているので少しは伸縮性があります。関節などの頻繁に曲がる箇所の生地や縫い固められた箇所が柔らかくなっていきます。

そして生地の繊維が汗のような蒸気を吸って体温で温められる事により、低温のスチームアイロンのような状態になり、少しずつ身体に沿って生地の形というものは変化していきます。

基本的に長く愛用しているだけで多くの洋服は身体に馴染んでいくものです。お気に入りの洋服を大切に扱うことで、着心地というのは自然と良くなっていきます。

だからといって柔らかい生地の洋服を選べば良いという問題でもありません。張りのない生地は身体にまとわりつき、皺も多くなってしまいます。

スーツなどはこの辺の事も良く考えられて作られているので、張りを残したい箇所には裏地や芯地を厚めに縫い付けたりしています。

コートなども分かりやすいのですが、新品時はそれなりに良いシルエットでも直ぐにヨレヨレになってしまう洋服というのは、裏地や芯地や傷みやすい箇所のガッチリとした縫製を省いている傾向があります。

これも革靴で考えると分かりやすいのですが、品質の低い革靴というのは踵周辺やつま先を強化していないので、直ぐにヨレヨレになってしまいます。きちんとした革靴というのは踵を踏んづける事など出来ません。

もちろん洋服の購入前のサイズ合わせが一番大事です。

そもそもサイズが合っていないと、無駄な生地が多いので余計な皺が増えるだけでなく、身体にまとわりついて着心地が悪化してしまいます

手持ちの洋服の中でも馴染んでいるものとそうではないものがあるのは、このサイズとの相性の問題もあります。

同じLサイズの洋服といっても、メーカーによってデザインやシルエットは変わりますし、生地や縫製といった要素も違うので、馴染むまでの期間や着心地には差があります。

あくまでも洋服のサイズをしっかりと合わせていることが条件ですが、ここからは積極的に洋服を馴染ませる3つの方法を紹介します。

ひたすら着る

まずは「ひたすら着る」です。

スーツを羽織る男性

これは単純なことのようですが、とても大切な要素です。

洋服に自分の骨格のクセを教える必要があります。自分の関節の位置を教える必要があります。単純に洋服の生地を柔らかくするだけであれば、極端な方法だと洋服をぐちゃぐちゃにしてしまえばいいわけですが、この方法はおすすめしません。

それほど関節の動きの影響を受けない硬くあるべき生地の箇所まで柔らかくなってしまうと、洋服はヨレヨレになってしまいます。

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間違っても張りのあるジャケットに乱暴なことはしないでください。鞄に強引に詰め込むようなことをすると、洋服の寿命が一気に縮まります。

せっかく身体の関節に合わせて馴染んできても、洋服そのものの寿命でダメになってしまうケースがあります。サイズの合ったハンガーにかけるといった事も大事です。

このような荒技に頼るのではなく、自宅などで着用する時間を長くすれば、自然と洋服の生地は身体に馴染んでいきます

部屋着として積極的に着用する事で、それほど汚す事なく身体に馴染むまでの期間を短縮する事が可能だという事です。

ちなみにスラムダンクというバスケット漫画で新しいバッシュを履いた主人公の靴を、周りの部員が踏みつけて硬さを取るシーンがあるのですが、

ケガ防止という意味では役に立つのかも知れませんが、バッシュの寿命の事を考えるとやらない方が良いテクニックです。

いきなり新品のバッシュを練習に履いていくのではなく、少しずつ足に馴染ませてから使用した方が、余計な汚れや型崩れをせずに済みます。

ちなみにオシャレで有名な石田純一さんは、新しい洋服は一年は室内着として着用しているそうです。ある程度身体に馴染ませてから外出着として着るのだそうです。

流石にここまでするのは大変だと思いますが、新品の洋服だけでも積極的に自宅の中で着続ける事で徐々に身体に馴染んでいくので意識してみてください。

ただし、ズボンだと自宅の中では座る事が多いので、擦れといった別の問題が出てしまいます。あくまでも程度問題ですが、新しくて硬さが残っている上着は自宅の中で積極的に着る事で着心地が良くなっていきます。

洗濯方法を工夫

続いては洋服の洗濯方法で着心地を良くする方法を紹介します。ジャケットやスーツなど自宅で洗濯出来ないものは別と考えてください。

主にシャツなどに向いている方法ですが、洗濯をする時に裏返しにしてから洗ってください

直接肌に触れるシャツの裏側が表側になる事で、洗濯機の中で他の衣類と擦れるようになり、生地の当たりが柔らかくなっていきます。

特に生地が折り重なっている縫い目の硬さが取れやすくなるので、日頃から裏返してから洗濯をしているだけで、着心地が早く良くなっていきます。

シャツの縫い目

さらに洋服を裏返して洗濯すると表側の生地の擦れも防げるので、より長く綺麗な状態をキープすることにもつながります。

せっかく洋服の硬さが取れて着心地が良くなってきても、表面が傷んでいると残念な印象になってしまいます。部屋着のようにあまり見た目を気にしない洋服ほど着心地が良いのは、これが理由です。

外出着のメンテナンスが適当だと、せっかく馴染んできた頃に寿命を迎えてしまうので、洗濯のような日頃のメンテナンスも意識してください。

洋服を裏返すことは洗濯ネットによって生地の擦れ過ぎを防ぐようなことです。大切な洋服は裏返した上でネットに入れても良いかと思います。

デニムのように色落ちが心配な生地なら尚更です。裏返してから洗濯をする事で大切な表側の生地を良好な状態に保つ事につながります。

また汗や皮脂汚れといったものも生地の裏側から染みこんでいくので、汚れも落ちやすいというメリットがあります。さらに言えば、乾かす時も生地が折り重なっている縫い目が表になるので、乾くスピードまで早くなります。

基本的に私はほとんどの洋服を裏返して洗濯しています。明らかに表側に汚れが付いてしまった場合は別ですが、大抵の洋服は裏返してから洗濯をすることで、表側の生地の傷みを防ぐことができます。

せっかく洋服が馴染んできた頃に寿命を迎えてしまわないようにする為にも、普段から洗濯の仕方を意識してみてください。ちょっとした工夫で寿命は大きく変わるものですよ。

スチームを利用?

長く着ることで洋服が身体に馴染んでいくというのは、自らの身体から発生られる蒸気(汗)でアイロンをかけているような事だと紹介しましたが、自分の体温、汗、蒸気によって洋服の生地が蒸らされ、低温でじっくりとアイロンをかけているような状態になります。

この低温アイロン状態を積極的につくりだすことで、より早く洋服の生地を馴染ませることが可能です。

それこそスチームアイロンの蒸気を洋服に当ててから着るという方法もあるのですが、簡単なのはお風呂上りに着ることです。

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体温が上がって身体から自然と蒸気が出ている状態なので、洋服の生地も馴染みやすくなります。流石に汗だくになる夏場はおすすめしませんが。

簡単なのはパジャマやシャツの上から、硬さのあるスーツの上着やジャケットをしばらく着るようなことです。

ズボンは自宅の中だと座ってしまうことが多く、どうしても余計な皺やお尻や太ももの裏が擦れてしまうので、あまりおすすめはしません。

上着を馴染ませる場合でも、なるべく背もたれに寄りかからないようにしてください。体温が上がっているお風呂上りの数十分だけでいいので、姿勢を正しながら着る事で身体に馴染んでいきます

大抵のパジャマには襟があるので、首元の皮脂汚れが直接ジャケットに触れずに済みます。

ジャケットのように洗濯のしにくい洋服を馴染ませて着心地を良くする為にも、肌と直接触れさせないようにすることがポイントです。着心地を良くする為に汚してしまうと元も子もないので気をつけてください。

洋服の寿命は洗濯やクリーニングによるダメージが意外と大きいので、なるべく普段から汚さないように工夫する事も長く愛用する為には重要なポイントです。

洋服ブラシでサッと生地のホコリを落とし、生地の繊維の向きを整えるような事も長く愛用する為には有効ですよ。

まとめ 洋服の恩返し

新しい洋服を積極的に外出着として着るのもいいのですが、乱雑に扱っているとせっかく身体に馴染んできたころには、表面の目立つ生地が擦り切れて寿命を迎えてしまうかも知れません。

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今回紹介した洋服を馴染ませる方法というのは、外出着にする前に室内で着込んで硬さを取って着心地を良くする方法です。

お風呂上りに姿勢を正しながら20~30分ぐらい着るようにしてみてください。そして洗濯をする時は裏返して表側の生地の擦れを防いでください。

身体に馴染んでいる洋服というのは、あなたの魅力をより引き出してくれます。またそのように大切に扱った洋服には愛着がわくので、外出時も大切に扱えるようになります。

これが一番のメリットかも知れません。

洋服に愛着がわくと乱雑に扱わなくなります。洋服ブラシをかけるようになると、普段の行動によって生地が擦れる箇所といったものも理解できるようになり、足組みや腕組みといったクセを解消するきっかけにもなります。

肩掛けバッグのせいで生地が擦れる事もありますし、車のシートベルトのせいで寿命を縮める事も珍しくありません。

大切な洋服だけでもそれらを避けるような工夫を意識するだけで、グッと洋服の寿命は延びてくれます。結果的に綺麗な状態で長く着用することになり、ますます身体に馴染んで洋服の着心地が良くなっていくものです。

部屋着のようにそれほど見た目にこだわらないのであれば、乱雑にあつかって硬さを取るのも一つの手段ですが、外出着だとヨレヨレになってしまうので、丁寧に扱いながら馴染ませる必要があります。

身体に馴染んだ洋服というのは着心地が良いだけではなく、あなたを魅力的にしてくれるものです。

普段テレビに出ない医者や学者がゲストで出演すると、いかにも新品の洋服を着ていることが多いのですが、身体に馴染んでいなくて似合っていないことが凄く多いです。

生地に硬さが残っていると様々なところが不自然に浮き上がってしまいます。テレビに出ている医者のジャケットの襟元を見てみてください。結構な確率で浮き上がっているものです。

むしろ普段の診察風景を撮影した時に着ていた白衣の方が、ずっと身体に馴染んで似合っていることが珍しくありません。

見た目を良く見せる為には、必ずしも新しい洋服のほうがいいとは限りません。ほどよく硬さの取れて身体に馴染んでいる白衣の方が名医らしい落ち着きや貫禄が出るものです。

学生服も3年ぐらい着こんでいる学生の方が見事に馴染んでいることがあります。親か本人の努力なのかわかりませんが、きちんとハンガーやブラシをかけ、定期的にクリーニングに出している学生服というのは、3年ぐらいでボロボロになるものではありません。

ただ学生は成長期なのでサイズが全く合わなくなっていたり、乱雑に鞄に押し込んでいたり、滑り込んでテラテラになってしまっている事も多いのですが、

稀にびっくりするぐらいフィットして似合っている学生がいるものです。

女性の洋服だとシーズン毎に流行を追う必要があるかも知れませんが、男性ファッションはそれほど流行に左右されないので、大切に扱うことで長く愛用できます。

自分の身体に合わせて少しずつ馴染んでくれた着心地の良い洋服が、ヨレヨレになって着られなくなるのは悲しいことではないでしょうか。

革靴なども手入れ次第で何年間も履く事が出来るものですが、ろくに手入れをしていないと半年も経たずにボロボロになってしまいます。せっかく馴染んできた頃に寿命を迎えてしまうのはもったいないです。

日頃から大切に洋服を扱い、馴染んで着心地が良くなった洋服を長く愛してください。大切にすればするほど、恩返しとしてあなたを魅力的にしてくれるはずです。

これは神秘的なことを言いたいのではなく、実際に生地の硬さや縫い目の硬さがほぐれ、身体にフィットして魅力的にうつるということです。さらに身体の疲れも軽減されるので、肌ツヤや姿勢といったものにも影響が出るものです。

新しい靴を履いて登山に行くと靴擦れしてしまうように、身体に馴染んでいない洋服というのは想像以上に身体の負担になるので、今回紹介した積極的に洋服を馴染ませる方法を取り入れてみてください。

だからといってソファーで横になったり、食事の時に汚してしまうと元も子もないので、そこはしっかりと分けてください。

おまけ ちょい足し着心地テクニック

世界中で洋服を販売している大手アパレルメーカーの中には、注意書きのタグが多いものがあります。

洋服の着心地を悪くする外国語のタグ

このタグの厚みが着心地を悪くすることがあります。特に肌に直接触れるシャツや下着だとチクチクしてしまいます。

この注意書きのタグを取ってしまうのも、着心地を良くする方法の一つです。

さらに言うと注意書きのタグだけではなく、サイズ表記やブランドのタグを取ってしまっても構いません。中古で売る予定のある高級ブランドの洋服でなければ自分次第です。

肌に直接触れる洋服の場合は、出来ればリッパーで丁寧に糸を切り取ってタグを外してください。雑にハサミでカットすると切り口が肌に刺さってチクチクしてしまいます。

ただし、クリーニングに出す予定のある洋服は注意書きを取らないでください。基本的に高級生地や珍しい生地でなければ必要ありませんが、きちんとしたクリーニング屋さんはタグを確認するので、日本語の注意書きのタグは残しておきましょう。

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