皺だらけのタミヤ電機、型遅れの小木曽、一番似合っていた及川光博

芸能人

洋服のヨレヨレ具合が絶妙のタミヤ電機

前川泰之さん演じるタミヤ電機の社長が追い込まれたときのスーツ姿も見事でした。

タミヤ電気のスーツ 引用元:http://www.tbs.co.jp/hanzawa_naoki/gallery/

あえてヨレヨレにしているのが素晴らしいです。崩れた髪型だけではなくスーツやシャツの皺からも疲労している様子が伝わってきます。

一般的なサラリーマンでも、このようなだらしなさを感じるスーツの着こなしになってしまっている男性がいるものですが、前川泰之さんはそれまで威勢の良かった役どころだっただけに、落差が見事に表現されていました。

さらに胸のポケットチーフの挿し方が、お洒落なパフドスタイルというのも勢いがあった頃の名残りを感じさせます。

机バンバン、嫌味な小木曽のスーツ

緋田康人さん演じる机バンバンの嫌味な役の小木曽のスーツも、らしさが全開で見事でした。

小木曽のスーツ 引用元:http://www.tbs.co.jp/hanzawa_naoki/gallery/

頼りない近藤のスーツよりも、さらに型遅れのスーツを選んでいます。ラペルの角度が古臭く、周りの取り巻きの人達と比べても古臭さが一層引き立っていました。

スーツの袖が長すぎて手首にかかっているのも、仕事が出来ない雰囲気が出ていて見事です。いかにも旧体制の人間、保守的な人間といった演出をスーツから感じられます。

シャツの襟の角度が鋭角的なのもいいですね。いかにも安物のシャツといった感じが伝わってきます。さらに姿勢の悪さからも小物感がにじみ出ています。流石は一流の役者さんです。

一番スーツ姿がカッコよかった及川光博

そして最後に紹介するのは半沢直樹の親友、渡真利忍役の及川光博さんのスーツ姿です。

渡真利忍と半沢直樹 引用元:http://www.tbs.co.jp/hanzawa_naoki/gallery/

個人的には及川光博さんのスーツ姿が一番カッコよかったです。

生地に色気や気品があり、それでいてやり過ぎでもなく、いやらしさを感じさせない絶妙なバランスのスーツの着こなしでした。

完璧なオーダーメードのスーツなのですが、普通はせっかくオーダーメードでスーツを作るとなると、何かしらの個性を入れたくなり、むしろそのせいでバランスが崩れてしまう事が多いのですが、及川光博さんのスーツというのは、ありふれた生地なのに上質なものをしっかりと選び抜き、丁寧に仕立てたような感じです。

同じ予算をかけるのであれば、もっとも押し出しの強い要素や個性をいくらでも取り入れられるのに、あえて普通を徹底的に極めたようなスーツです。

このさじ加減はファッション雑誌のスーツ特集でも中々みられるものではありません。むしろファッション雑誌はやり過ぎなケースが多いぐらいです(その方がわかりやすいのでしょうが)。

ワイシャツの襟も流行を抑えたワイドで、合わせるようにネクタイの結び目も適度に大きくしています。さらにポケットチーフとも色を合わせてバランスを取っています。

渡真利忍のスーツ。 引用元:http://www.tbs.co.jp/hanzawa_naoki/gallery/

しかも紫という加減をあやまると毒々しい印象になってしまうポケットチーフを、少しだけ見える絶妙な挿し方でバランスを取っているのが見事です。目立たせてはいけない色なんですよ。

元々及川光博さんが素敵なのもありますが、欧米のモデルに似合いそうなスーツの着こなしを、日本人でもここまでカッコよく着こなせるのは本当に珍しいケースです。少なくとも私は他に思い出せません。

おそらく一般の人が真似をしても同じように着こなすのは難しいと思います。容姿や体型だけでなく、姿勢やたたずまい、さらに髪型、靴、小物など、どこかにスキがあると残念な仕上がりになってしまいます。

ネクタイの結び目や眼鏡のフレームを少し間違えるだけで、一気にバランスが崩れて残念な着こなしになってしまうかも知れません。

少しお金に余裕ができてきた男性ほど、よくそのような恰好をしているものですが、大抵は成金丸出しの残念な印象になってしまいます。

まとめ スーツの見本市

「半沢直樹」というドラマはタイアップの主題歌を用いておらず、あまり余計な事をしていません。一般的なドラマだと様々な制約があるだけに、大手芸能事務所の旬の若手女優を起用したり、演技力が乏しいイケメンを起用するものですが、「半沢直樹」は本気で作り上げられた珍しいドラマだからこそ、衣装としてのスーツにも真剣に向き合って厳選したのではないでしょうか。

それぞれの役どころに見事にマッチしたスーツを選んでおり、まるでスーツの着こなしの見本市のようになっていました。

ただ及川光博さんのスーツ姿は理想的ではありますが、あまり参考にするべきではありません。レベルが高過ぎます。

一般男性が参考にするべきスーツ姿というのは、主人公である半沢直樹や清潔感のある浅野支店長のスーツではないでしょうか。

一方で頼りなさを上手く演出していた近藤や小木曽のスーツは、反面教師として避けるように意識してみてください。

最近はスリーピースのスーツも随分と浸透してきましたが、これ見よがしになっている男性も多いので、浅野支店長ぐらいのバランスに抑えた方が良いかと思います。

半沢直樹はドラマの内容も本当に素晴らしかったです。ぐいぐい惹き込まれましたし、町工場でつなぎを着ていた赤井英和さんもいい味を出していました。

出演者だけではなく、スタッフが細部にわたるまで本気を出して作り上げた作品なので、今後半沢直樹の再放送や続編があれば、ぜひ出演者のスーツにも注目して見てみてください。

どうもオンライン動画配信サービスなどでは見られないようなので、今すぐにでも見たい人はDVDやブルーレイになるかと思います。

【amazon】半沢直樹 -Blu-ray BOX

【楽天】半沢直樹-DVD-BOX 

見事に演出家とスタイリストのプロ意識が伝わってくるはずです。他のドラマのスーツ姿が悪いわけではありませんが、半沢直樹は別格なので機会があればチェックしてみてください。

本当に及川光博さんのスーツなんかは、男性から見ても惚れ惚れするほどカッコ良いですよ。

追記・エピソードゼロ

2020年の春に半沢直樹の続編の放送が決定し、エピソードゼロが放送されました。

半沢直樹の出向先のIT企業が舞台という事もあり、スーツ姿の人物は多くなかったのですが、最後にスーツ姿の半沢直樹と渡真利忍が少しだけ出演していました。

相変わらず素敵なスーツ姿で安心しました。新作のスーツ姿も楽しみになってしまいました。

最近はスーツ離れが叫ばれていますが、やはりスーツというのは男の魅力を引き出してくれる素晴らしい洋服なので、しっかりと向き合って着こなす価値があるのではないでしょうか。

スーツに対する眼力が磨かれると、初対面のサラリーマンから伝わってくる情報(立場、背景、懐具合)が劇的に増えるものです。

「外見は関係ない!」と言っている人ほど、様々な情報を外見から垂れ流しているものなので、スーツと向き合って本質的な事が学べると、初対面の相手の外見からでも内面の様々な情報を見極められるようになりますよ。

前へ:首相のようなスーツの頭取、押し出しの大和田常務、エリートの黒崎
mae iti ni san iro tugi iro
3ページ中、3ページ目を表示

【関連記事】
ドラマ「suit」の見どころは所作!

スーツが似合わない男性の特徴

おぎやはぎのスーツに脱帽、流石でした