おぎやはぎのファッションセンスに脱帽!おしゃれの見本

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おぎやはぎのセンス

あるテレビ番組でお笑い芸人の「おぎやはぎ」が漫才を披露していました。

お笑い芸人の中でも「おぎやはぎ」のファッションがオシャレなのは有名です。様々なところでファッションが絶賛されているのですが、私が驚いたのはスーツ姿の「おぎやはぎ」でした。

普段の「おぎやはぎ」のお二人のファッションには清潔感があり、いわゆる若者がよくやる着崩したファッションではありません。普段テレビに出演している時のカジュアルな格好でも品のある着こなしをしています。

その番組では、あらゆる漫才コンテストなどのチャンピオンばかりを集めた豪華な構成で、売れっ子芸人達がたくさん出演していました。

一部コントもあったのですが、ほとんどの芸人が漫才だったということもあり、多くの芸人が衣装としてスーツを着用していました。その中でも「おぎやはぎ」のスーツの着こなしがダントツでオシャレでした。

完璧なオーダーメードのスーツでした。

他の芸人もオーダーメードのスーツを着用している人がいましたが、まるでレベルが違いました。

一般的にスーツやジャケットの袖口からシャツの袖が1.5センチぐらい出ているのが良いとされているのですが、「おぎやはぎ」のスーツだけは漫才の掛け合いがある中でもシャツの袖がキープされていました。

おぎやはぎの漫才 引用元:http://varadoga.blog136.fc2.com/blog-entry-69839.html

そんなに激しい動きをする漫才ではないのですが、それなりに身振り手振りはするわけです。それでもずっと絶妙な位置をキープしていて驚きました。スーツもシャツも物凄くいい仕立てなんだと思います。

だからと言って、これ見よがしな下品な光沢のあるスーツではありません。とてもスマートな印象でした。

写真の右側の矢作さんはスリーピースのスーツで、ジャケットのボタンを全て外しているのですが、実はこれをやるとジャケットの袖が1~2cm長くなってしまうので、シャツの袖が隠れてしまうような事が多くなります。

私の例で言うと、私の腕は無駄に長いので、市販のジャケットを着ると袖が短くなってしまうので、あえてジャケットのボタンを外して、シャツとのバランスを取るような事をするのですが、安易にカッコつけてジャケットのボタンを外している人の多くが、袖が手首に掛かってしまうものです。

一方で矢作さんのスーツは完璧な仕立てだからこそ、この辺のバランスが崩れていませんでした。

そしてベストの一番下のボタンも外していました。これも意外と出来ている人は多くありません。同じ番組に出演していた他の芸人にもスリーピースのスーツの人がいましたが、きちんとベストの下のボタンを外していたのは矢作さんだけです。この辺も流石でした。

ベストのボタンの留め方引用元:http://varadoga.blog136.fc2.com/blog-entry-69839.html

たかがボタンの留め方の違いですが、このような些細なミスがいくつか重なる事で、どことなく残念な印象になる事は珍しくありません。

オシャレな印象の人というのは、分かりやすいプラスのアイテムが目立っているからではなく、違和感が少ないからでもあります。

矢作さんのスリーピースのスーツの着こなしは、この辺のバランスが本当に見事でした。ボタンが目立つものだったり、生地が目立つ色のスリーピースでジャケットのボタンを全て開けてしまうと、これ見よがしな印象になってしまいます。

このような派手なベストを合わせるのであれば、ジャケットのボタンを留めた方がバランスが取れるような事です。

ネクタイの結び目が緩んでいたり、靴が汚かったり、髪型が崩れていたりすると、それら一つの要因だけで一気にマイナスになるわけではないのですが、いくつか重なると一気に残念な印象になるような事です

「おぎやはぎ」のお二人はメガネが特徴という事もあり、視線が下に向かないような事を意識しているのかも知れません。

一方で左側の小木さんのスーツはオーソドックスな二つボタンです。ただしシャツの襟がラウンドカラーという丸みを帯びた形のものでした。

しかも襟の開きがワイドカラーなので、よく見たら気がつくようなことです。これも絶妙なバランスだと感じました。

シャツの襟がワイドカラーで開きが大きいので、ある程度ジャケットのラペルの中にシャツの襟先が隠れてます。これが鋭角的な角度の襟だとラウンドカラーの丸みが目立ちすぎてしまいます。

小木のラウンドカラーシャツ引用元:http://varadoga.blog136.fc2.com/blog-entry-69839.html

このような目立ち過ぎないオシャレのバランスがお二人とも見事でした。他の芸人は晴れ舞台ということもあり、意味もなく目立ちすぎるスーツを選んでいる印象がありました。

しかも、さらに驚いたことに二人とも腕時計をしていません。

「おぎやはぎ」は某有名番組の企画で高級腕時計を購入しており、自慢したくなるような有名ブランドの超高級腕時計を持っているのにも関わらず、あえて漫才では身につけていません。

おそらく漫才と真剣に向き合っているからなのだと思います。高級腕時計が目立ってしまうと視線が持っていかれるかも知れません。無意味に目立たせても漫才の邪魔になるだけです。

これは漫才師に限った事ではないのですが、中途半端なこだわりのせいでバランスが崩れてしまっている人は珍しくありません。どんなに有名なファッションアイテムや高級腕時計でも、使いどころを誤ると残念な印象になってしまいます。要はセンスが悪いという事です。

「おぎやはぎ」の漫才のスーツは本当に見事な着こなしでした。ファッションの足し算、引き算が絶妙に調和されていました。

またメガネのフレームも普段のカジュアル格好の時と違い、落ち着いた雰囲気のモノを選んでいました。この辺も流石です。

私のような変態は見事なファッションセンスに目が奪われてしまい、ネタがあまり入ってきませんでしたが、多くの一般の人にとっては漫才のネタを邪魔しない最高の衣装としてのスーツ姿だったのだと思います。

どんなお仕事でも真剣に向き合っている人というのは、しっかりと本質を理解しているのだなと、改めて感心した出来事となりました。

衣装としてのスーツ

「ゲッツ」というギャクで有名なダンディ坂野さんの黄色いスーツのように、トレードマークになる衣装としてスーツを利用する方法もあります。

同じ番組に出演していたcowcowの多田さんの伊勢丹の紙袋柄のスーツなどもそうです。このようなスーツの利用方法も芸人さんならではで素敵だと思います。

COWCOWのスーツ引用元:http://varadoga.blog136.fc2.com/blog-entry-69839.html

一方で漫才のネタやキャラとは関係なく、中途半端なオシャレをしてしまってダサいスーツ姿になる芸人も多いです。足し算のし過ぎで悪い意味で目立ってしまうことがあります。

本人たちの考えなのか、衣装を担当するスタイリストの暴走なのかはわかりませんが、スーツに余計なことをし過ぎると、漫才のネタがぶれてしまうことがあります。

特に最近多いのが、ジャケットの胸ポケットの目立つチーフです。

例えば狩野英孝さんやノンスタイルの井上さんのように、キザなキャラを演じるのであれば、派手なポケットチーフは武器になります。

WS000000引用元:http://plaza.rakuten.co.jp/elle0728/diary/200805170001/

奇抜なキャラ設定なので目立つポケットチーフは演出の一つとしてバランスも取れるのですが、そのようなキャラの設定がない芸人が、無意味に目立つ色のチーフや挿し方をしている事があります。

「おぎやはぎ」のスーツのポケットチーフのように、控えめな色でさり気なく挿してあればオシャレなのですが、主張が激しい派手なチーフや装飾品は無粋になります。

これはサラリーマンのスーツ姿でも同様です。ファッション業界や最先端の技術を売りにする職場であれば、程よい主張はセンスの良さをアピールしてプラス評価になるかも知れませんが、銀行のような誠実さが求められる職場では、過剰な装飾は軽薄な印象になって信用を失います。

美容師がオシャレなファッションをしているのは良いですが、弁護士がチャラチャラしたファッションや髪型をしていると、頼る気にはならないようなことです。

残念ながら私の大好きな漫才コンビの爆笑問題が一時そうでした。無駄にギラギラとカフリンクスやラペルチェーンを付けていた時期があります。

WS000000引用元:http://blogs.yahoo.co.jp/rapporto1974/62737525.html

おそらく売れっ子芸人になって予算があるからと、バカなスタイリストが暴走したのだと思われます。爆笑問題のお二人に全く似合っていませんでした。時事ネタを切る爆笑問題のネタが嫌味のある金持ち側の見た目になってしまうと、庶民側の意見ではなくなってしまいます。

消費税増税にかみつく漫才のネタで、成金丸出しのファッションアイテムを身につけていては説得力がありません。流石に最近は少なくなりましたが、一時期は本当に残念なスーツの着こなしをしていました。

(爆笑問題のことを悪く言ってすいません。あの、一応太田さんの本をほとんど読んでいますし、ネタも大好きで時々ラジオも聴いています。過去にはがきを送ったこともあります笑。だからこそファッションにそれほど興味がないであろう太田さんが、無駄に着飾されているのがイヤでした・・・)

漫才師のスーツ

漫才で演じる設定のキャラが常識人なのに奇抜なスーツを着ていると設定がブレてしまいます。逆に金持ちの設定でもないのに、これ見よがしな金ピカの高級腕時計をしていると違和感が出てしまいます。

「おぎやはぎ」と同じ番組に出演していた、博多華丸大吉の華丸さんのスーツも漫才の衣装として見事でした。

博多華丸大吉のスーツ(右の大吉さんはベストがブカブカで気になりました。急に痩せたのかも・・・)
引用元:http://varadoga.blog136.fc2.com/blog-entry-69839.html

漫才のネタの中に出てくる博多華丸さんのキャラが工務店のおじさんという設定で、それっぽく見えるように少し型遅れのシルエットのスーツでした。

しかもそのおじさんのキャラに入った途端に、すかさずジャケットのボタンを外し、だらしなさを演出したのも見事でした。上手にスーツをネタに活かしています。

博多華丸大吉の演技引用元:http://varadoga.blog136.fc2.com/blog-entry-69839.html

第一印象で分厚い腕時計が目立っていたのが気になっていたのですが、その後の工務店の設定のネタで時計を見るシーンが三度もあり、あえて目立たせる意味に納得させられました。

「おぎやはぎ」や「博多華丸大吉」のように、漫才に真剣に向き合っている芸人ほど、衣装のスーツや腕時計にも手を抜いていません。だからこそ、第一線で長く活躍出来ているのだと感じました。

ファッションセンスとオシャレの違い

ファッションセンスが良いのとオシャレなのは少し違います。オシャレでもファッションセンスが悪い人は珍しくありません。

オシャレに見せようと張り切り過ぎると、自分に似合わない流行まで取り入れてしまいます。オシャレな男性は女性にモテますが、オシャレが好きな男性が女性にモテるとは限りません。

参考オシャレな印象とオシャレ好きの違い

どんどん足し算のファッションをしてしまうと残念な着こなしになってしまいます。結果的に流行のファションなのにダサく見えてしまいます。これはファッションセンスが悪いということです。

この辺のやり過ぎは女性に多いのですが、「わたし、お洒落でしょ~」という主張の強過ぎる残念な着こなしの女性がいるものです。

それを見事に利用して役作りしていたのが、同じ番組に出演していた柳原可奈子さんです。

柳原可奈子のネタ引用元:http://varadoga.blog136.fc2.com/blog-entry-69839.html

オシャレ自慢の女性の典型ファッションを見事に表現していました。個性的な主張の強いファッションアイテムが多く、それを絶妙に狙って演出しているわけです。

ファッションセンスがある人というのは、自分に似合う物だけを取り入れるだけであり、全ての流行を追うことはありません。そして何かを足した後はバランスを取るように引き算をします。

そこをよく理解している「おぎやはぎ」は、カジュアルでもスーツでもカッコよく着こなせるのだと感じました。柳原可奈子さんもその辺のバランスを理解しているからこそ、ネタとして笑える程度の過剰さを演出することができるのではないでしょうか。おそらくプライベートでは凄くオシャレなんだと思います。

「おぎやはぎ」はカジュアルな格好もジャケパンスタイルも本当におしゃれです。だからこそ他の芸人と同じようなスーツ姿でも、別格な着こなしが出来るのではないでしょうか。

安易にオシャレに見せようとして高級腕時計や高級生地などに頼るのが足し算です。一方で「おぎやはぎ」は押し出しの強い光沢のある生地や装飾品よりも、顔色や体型に似合うものを選んでいます。足し過ぎていません。

この足し算、引き算のバランスがわかると、カジュアルでもフォーマルでも間違えることはありません。センスの良い着こなしをする事ができるようになります。

バランスの重要性

これらのようなバランス感覚は料理でも同じだと思います。高級食材ばかりを詰め込めば美味しくなるわけではありません。その食材の味を引き出すために、あえて薄味にしたり、他の食材を抑えたりします。

そのような本質がわかっている料理人であれば、初めての食材を試す場面でも失敗はしません。足し算、引き算でバランスを取りながら、その食材の良さを引き出すことができます。

ろくに経験もないのに創作料理に手を出す料理人ほど、平気で素材の良さを台無しにしてしまうものです。

一つ足し算で思い出しました。

数年前に私が住宅の購入を考えていた頃、様々なメーカーのモデルハウスを見て回っていたのですが、この足し算のし過ぎな住宅が多くて驚きました

モデルハウスは各住宅メーカーが実力をアピールするために、あらゆる装備が豪華に詰め込まれています。オプション装備満載の車のようなことです。

天井の扇風機(?)やロフト、さらに天井から階段が降りてきて屋根裏部屋に入れたり、物干し竿が天井から降りて来たり、壁から収納スペースが現れたりと、様々なアイディアが一杯でした。

階段

そのような装備を多く詰め込んでいるのがモデルハウスです。家の価格が2000万円だとしても、そこにある装備を全て足すと4000万円を超えていました。これも足し算のし過ぎでおかしなバランスになっています。

車でもオプション装備をごちゃごちゃ入れすぎて、ダサくなっている車を見かけることがあります。

中には静かで乗り心地のよい高級車をわざわざ改造して、車高を下げて薄っぺらいタイヤをつけてバランスがめちゃくちゃになっているケースもあります。そこにうるさいマフラーまで付けて、元の良さが台無しになっていることもあります。

このようなバランス感覚はファッションに限った話ではありませんが、足し算だけではなく、引き算でバランスを取ることはとても重要です。何でもかんでも詰め込み過ぎると、極端な話ですがゴミ屋敷のようなことになってしまいます。

このバランス感覚が抜群なのが、「おぎやはぎ」なのだと思います。私の記憶では漫才の冒頭のつかみの一言が、昔は、

「おぎやはぎですが何か問題でも?」

と言っていました。これだけでも引き算されながらも意味が伝わってくる絶妙なさじ加減ですが、数年前からさらに引き算をして、

「おぎやはぎですが、何か?」

となりました。引き算する事で引き立つ魅力というものを、よく理解しているのだと思います。

まとめ センスとはバランス

「おぎやはぎ」のファッションセンスが抜群なのは、足し算と引き算が絶妙だからです。このバランス感覚があるので、奇抜な眼鏡などでも上手に取り入れることが出来るのではないでしょうか。

また漫才のネタにもバランス感覚の凄さが表れています。詰め込みすぎないように引き算をしているのが伝わってきます。

第一線で活躍し続ける一流のお笑い芸人というのは、あらゆるバランス感覚が優れているのではないでしょうか。王道、常識、普通をしっかりと見極められる眼力があるからこそ、そこから絶妙にずれた「笑える程度の奇抜なこと」を選択できるのだと思います。

ただ目立つだけなら何でもありなわけです。裸にネクタイやブラジャーを付けるとか簡単です。そのような手法で売れる芸人もいますが、多くは一発屋で消えていってしまいます。

ある意味、お笑い芸人は誰よりも常識力、バランス感覚が求められる仕事なのかも知れません。「おぎやはぎ」のスーツの着こなしから、様々なことを学ばさせていただきました。こういう視点で様々な人のファッションを観察すると面白いものですよ。

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