洋服の毛玉を取るという発想の前に毛羽立たせない工夫をしよう!

ファッションコラム

洋服の毛玉の取り方

一般的に洋服に出来てしまった毛玉を取る方法というと「毛玉取り機」を使用する事なのではないでしょうか。

もちろんこれでも洋服の毛玉を刈り取ることは出来ます。最近は100円ショップでも売られているメジャーなアイテムなので、誰もが気軽に毛玉を処理する事ができます。

他にもカミソリで毛玉を剃ったり、ハサミでカットしたりといった方法があります。裏ワザとして食器洗いに使用するスポンジで毛玉を絡めとる方法がテレビで紹介されていました。

これらは、あくまでも「毛玉を取る方法」です。

毛玉というのは元々洋服の繊維です。なので毛玉を取る度に洋服の繊維も失われて生地が薄くなってしまいます

さらに丁寧に洋服の生地を伸ばしてこれらを行わないと、毛玉だけではなく生地まで傷つけてしまうこともあります。

頑固な毛玉はこれらのように刈り取るしかないのですが、毛羽立った程度の軽い毛玉であれば刈り取ることなく元に戻すことも可能です。こちらの方が洋服の生地を傷めるリスクがないだけでなく、薄くなるのも防ぐ事が可能です。

そこで今回は毛玉を取る前に出来る解決方法を紹介します。洋服の寿命が延びるだけでなく生地の風合いも良くなってくれるので、大切な洋服にだけでも意識するようにしてみてください。

毛玉が出来る原因

そもそも洋服に毛玉が出来る原因というのは、洋服の生地の繊維が擦れたり、静電気の影響で毛羽立ってしまうからです。

ウールやアクリルなどの静電気が出やすい繊維の生地ほど、毛羽立ちやすい傾向があり、それが毛玉として成長(絡まる)してしまいます。

毛羽立った繊維

また洋服の生地が擦れやすい箇所ほど毛羽立ちが起こります。ズボンだとお尻あたりが擦れやすいですし、上着だと背中や肩掛けバッグのストラップが原因で毛羽立ち事もあります。

他にも洗濯機の中で様々な洋服と絡まり合う時に出来る事も多いですし、中でも乾燥機を使用すると一気に繊維が荒れてしまうので毛羽立ちが起こりやすくなってしまいます。

繊維が毛羽立つとそこに隙間も出来るので、ゴミやホコリや花粉が間に入る事になり、ますます毛羽立ちが助長されてしまいます。これが大きく成長すると毛玉になってしまいます。

また毛玉が出来やすい生地というのは、繊維の毛足が長いという特徴があります。同じ素材の生地でも編み方によっても差があります。

これらの毛羽立ちが起こる原因そのものを避ける為には、購入時に生地の素材を気をつけるぐらいしかありません。

一方で毛羽立ちを抑えて毛玉に成長させない工夫は、あらゆる洋服の生地で取り入れる事が可能です。

代表的な洋服の毛羽立ちを抑える方法というのは、着用後の洋服にブラシをかけることです。

洋服ブラシの効果

洋服を脱いだ後に洋服ブラシで毛羽立った繊維をサッと整えることで、毛玉に成長することを抑えることが可能です。

この洋服ブラシの効果については、別のところで詳しく紹介した事があるのですが、

参考洋服ブラシの効果を知らない人が多い

簡単に説明すると生地の繊維の向きに逆らってブラシをかけると、毛羽立った繊維の隙間の汚れを掻き出する事になり、反対に繊維の向きに合わせてブラシをかけることで、毛羽立った繊維が馴らされて収まる事になります。

洋服のメンテナンスというと、洗濯やクリーニングだけと考えてしまいがちですが、洗濯機の中で他の衣類と擦れる事もなりますし、ウールのような天然素材だと油分が抜けて風合いが悪くなってしまう事もあります。

デリケートな高級生地ほど手洗いが推奨されているのは、まさに洗濯機による擦れによって影響を受けてしまうからです。

一方で洋服ブラシであれば汚れを優しく掻き出し、生地の繊維の向きを整える効果があるので、カットしなければならない毛玉に成長する前に対処する事ができます。

着用後の洋服全体に丁寧にブラシをかけるとなると大変ですが、擦れが酷くない箇所はサッとで良いので、それほど手間でもありません。毛羽立ちが起きている箇所だけ丁寧にかけてあげれば十分です

それぞれの生活習慣によって擦れやすい箇所が違うので、自分なりに毛羽立ちが多い箇所を理解しておくと、洋服ブラシもかけやすくなると思います。

腋の下あたりの生地も擦れやすいので、丁寧にブラッシングをして繊維の毛羽立ちを整えてあげてください。

ちなみに洋服ブラシというと、このようなタイプ(エチケットブラシ)を思い浮かべる人もいるかと思います。

このようなタイプの洋服ブラシが悪いわけではありませんが、出来れば毛足の長い洋服ブラシを使用してください。エチケットブラシでも繊維に挟まったホコリを取り除く事が出来るのですが、風合いよく仕上げるという意味では劣ります。

ただ洋服ブラシを選ぶ際に注意してほしいのは、毛玉取り用のブラシではなく、あくまでも洋服ブラシを選ぶことです。

毛玉取り用のブラシは冒頭に紹介した毛玉取り器やハサミでカットする方法と同じで、硬くて短い毛で毛玉を刈り取ることが目的のブラシです。

毛玉取りブラシのホコリ

モノによっては毛羽立ちの段階でも繊維を引っかけて絡め取ってしまいます。これは繊維を整える為の洋服ブラシとは別物なので混同しないでください。

洋服ブラシはそれほど高いものではなく、無印良品や東急ハンズなどでも売られているのですが、そうそう買い替えるものではないので、なるべくなら良質な物がおすすめです。

楽天 洋服ブラシ

amazon 洋服ブラシ

ホームセンターなどでも売られている事がありますが、ポリエステルのような化学繊維のブラシより、天然の毛で出来たブラシの方がおすすめです。

こういうところに少し奮発すると丁寧に扱うようになり、洋服のメンテナンスが楽しくなっていくものですよ。

また洋服ブラシも時々は髪用のブラシなどで、内側に貯まったホコリを取り除いてあげてください。

洋服に毛玉が出来てしまった場合はカットするしかありませんが、毛羽立ちの段階であれば洋服ブラシで対処出来る事を覚えておいてほしいと思います。

洗濯も一工夫

繊維の毛羽立ちは普段の生活習慣による擦れだけではなく、洗濯機の中の擦れによっても引き起こされます。

これの簡単な対処方法だと洋服を裏返してから洗濯をすることです。単純に洋服の表側の擦れを防ぎ毛羽立ちを抑えることになります。

参考洋服を裏返して洗濯するメリット

皮脂汚れといったものも洋服の裏側に付着しているので、汚れも落ちやすくなってくれますよ。また毛玉の出来やすいウールなど生地は、洗濯ネットに入れることも効果的です。

洗濯ネットに入れたセーター

さらに柔軟剤の中には静電気を抑える効果があるものもあります。静電気が起きやすい冬場だけでも、そのような柔軟剤を選んで毛羽立ちを抑えてみてください。

静電気は季節や家庭環境や職場環境、体質によっても違うので何とも言えませんが、気になる人は柔軟剤や静電気防止スプレーなどに頼るのも一つの手です。

そして洗濯をして乾燥させた後にも、軽くでいいのでブラッシングをしてください

洗濯機の脱水時に一定方向に生地が引っ張られているので、繊維が偏っていることがあります。

これはバスタオルなどでイメージするとわかりやすいのですが、洗濯機の脱水で繊維が一方向につぶれてしまうと風合いが落ちてしまいます。バスタオルを干す前に軽く振ってあげるとふんわりと仕上がるように、洋服の洗濯後も軽く振って繊維を起き上がらせ、乾燥したら洋服ブラシで繊維の向きを整えてあげましょう。

全ての洋服に行うのは大変かも知れませんが、大切な洋服にだけでも洋服ブラシをかける習慣をもってほしいと思います。毛玉が出来ないだけでなく、洋服の生地の風合いも良くなりますよ。

まとめ 洋服の手入れを楽しもう

軽い毛玉であれば洋服ブラシのブラッシングだけで、綺麗にほどけて戻ることも珍しくありません。

頑固な毛玉は刈り取るしかないのですが、日頃からブラッシングを習慣にしていれば、頑固な毛玉に成長させる前に対処する事が可能です。

安易に毛玉取り機に頼ってしまうと、どんどん生地が薄くなっていってしまうので気をつけてほしいと思います。

もちろん大きな毛玉が出来てしまった場合は、専用の毛玉取り機で対処するしかありません。カミソリやハサミのようなものでカットすると、思わぬダメージを与えるかも知れないので慎重に行ってください。

毛玉を取ってまで着たい洋服というのは、あなたにとって大切な洋服だと思います。身体に馴染んだ洋服というのは、新品の洋服にはない着心地や愛着があるものです。

愛情を注がれた洋服というのは、あなたの魅力を最大限に引き出してくれます。これは神秘的な意味合いではなく、実際に身体に馴染んでフィットしてくれるからです

参考洋服の積極的に馴染ませる方法

長年着ている洋服は体型や動きに合わせて生地が柔らかくなり、ガチガチに縫製されている箇所も柔らかくなっていきます。

洗濯機だけだと全体的に生地が柔らかくなってヨレてしまうのですが、洋服ブラシを使用する事で洗濯の頻度を下げる事にもつながり、生地の良い風合いを保ちながらも寿命を大幅に延ばす事になります。

日頃から適当なメンテナンスを行っていると、せっかく身体に馴染んできた頃に寿命を迎えてしまいます。これは凄くもったいない事です。

毛玉が出来てきたからと安易に買い替えるような人は、洋服を大切に扱うことはありません。そのような考え方だと日頃から洋服を乱雑に扱うので、身体に馴染む前に寿命を迎えることになります。

洋服ブラシをかけるようになると、毛羽立つやすい箇所が分かるようになり、日頃の姿勢やクセなども意識できるようになります。すると姿勢や所作も洗練されていきます。

靴磨きをするようになると様々な気づきが得られるようなことです。靴底の減り具合から歩き方のクセを改めるようになったり、傷付きやすい箇所から脱ぐときに擦り合わせるクセを知る事になり、丁寧に扱えるようになるものです。

参考足音からわかる情報量は膨大

大切な洋服の毛玉をメンテナンスをしようと考えて、当ブログにたどり着いてくれた人は本当に素晴らしい感性を持っています。

洋服の毛玉をカットするのが悪いとは言いませんが、その前にやるべき事があるという事も覚えておいてください。なるべくなら毛羽立たせない工夫を取り入れ、毛玉に成長させないように意識してみてください。

そのような愛情を注がれた洋服というのは、必ずあなたの魅力を引き出してくれるようになりますよ!

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