キングオブコント優勝者の衣装が見事!細部に美が宿る理由
キングオブコント2016
2016年のキングオブコントの優勝者は「ライス」というコンビでした。
引用元:http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160930-00000366-oric-ent
おそらくキングオブコントの決勝の出場者の中で最も知名度がないコンビでしたが、見事に優勝を飾りました。なんとこの年の初めてのテレビ出演なんだそうです。
そんな「ライス」のお二人がコントで演じる際の衣装の選択が見事でした。
以前、お笑い芸人さんの漫才時の衣装の違いについて紹介したことがあるのですが、
コントは漫才に比べて衣装やセットの自由度が高いので、漫才のスーツほど細部にまでこだわる必要がありません。
コントのキャラクターをわかりやすく表現する為には、カツラやメイクなど一目見てわかる工夫をすることができます。キングオブコントに参加している多くの芸人も、そのようなわかりやすい衣装選びをしていました。
そんな中、優勝者の「ライス」のお二人の衣装選びが際立っていました。きちんと真剣に衣装と向き合ってきたのが伝わってきました。
ライスの衣装
「ライス」はキングオブコントで二つのコントを披露したのですが、初めに披露したコントでは「悪知恵で金持ちになったいけすかない奴」のファッションを見事に表現していました。
引用元:http://www.dailymotion.com/video/x4vodq4_
光沢のあるズボンやタイの結び目など、「俺は他の奴とは違うぞ!」といった生意気な雰囲気が伝わってくる衣装です。だからといって品のない成金ファッションとも違います。
そして命乞いをする土下座のシーンがあるのですが、
引用元:http://www.dailymotion.com/video/x4vodq4_
光沢のあるズボンが見事に皺を誇張していました。偉そうな奴がこびへつらう落差とでもいいましょうか、偉そうな奴の悲壮感が見事に表現されています。
もしこれがベストと同じような色だったら、この皺の感じが伝わりにくかったと思います。
また靴がダブルモンクストラップという、ベルトの留め具が二つある革靴なのも見事な選択でした。光り輝く二つの留め具が非常に目立っていました。
一般の方でも基本的にダブルモンクストラップを選ぶことは少ないと思います。履く手間もかかりますし、靴に興味がない人はまず選ばない靴です。「俺は他の奴とは違うぞ!」といった感じが見事に靴選びにもあらわれていました。
相方のファッションもジャケットの袖をまくって、腕時計がやたらと目立つと思っていたら、見事にネタにつながっていきました。
彼のファッションはシティーハンターの冴羽リョウを思わせる着こなしです。はぐれ者なりの正義感とでもいいましょうか、清潔感を残したジャケパンスタイルです。
そして二本目のコントでも見事な衣装を選択していました。
引用元:http://www.dailymotion.com/video/x4vodqc_
今度は店員に因縁をつける輩の役の衣装です。こちらはコントとしてわかりやすい一目見てわかるファッションです。
ネタのズボンの染みが目立つ色を選んでいますし、シャツの柄もそれっぽい人をイメージさせる見事な選択です。
引用元:http://www.dailymotion.com/video/x4vodqc_
そして、よーく見ると、胸元に金のネックレスがあります。このさじ加減も見事だと感じました。
ボタンをもう一つ外せば目立たせることが出来ると思うのですが、そこまで堂々と出来ない小心者の雰囲気を感じさせてもらえました。
そして一本目と違う普通の革靴を選んでいました。
おそらくこのような輩がダブルモンクストラップを選択することはありません。大抵は靴にまで意識が回らないものです。
だからこそ一本目のネタのダブルモンクストラップを、あえて選んでいたことに感心しました。きちんと演出として使い分けています。
いけすかない金持ちと成金ファッションは違います。その違いをしっかりと表現していました。「ライス」というコンビの本気さが伝わってくる見事な衣装だと感じました。
外見と中身
もちろん衣装選びだけでキングオブコントを優勝できるわけではありません。ネタが本当に面白かったのは間違いありません。
ただ、ネタだけで優勝できるほど簡単な世界ではないと思います。
例えば夫婦で食堂を営んでいるといます。調理をするのが旦那さん、接客や掃除などを奥さんが担当していたとします。
旦那さんが料理の腕を磨き、研究に研究を重ねて美味しい料理を作っていたとしても、奥さんにやる気がなければ食堂が繁盛するのは難しいです。
適当な掃除でスマホやテレビに夢中だと、お客さんが気分を害するかも知れません。
一方で旦那さんの夢である「日本一美味しい料理を提供する」に心から賛同している奥さんだと、接客も掃除も手を抜くようなことはありません。
おそらくお笑いの世界もネタを考えている人だけでは完成しません。相方も同じ夢に向かって全力で演じないと完成度や熟練度はあがりません。
食堂の奥さんやネタを考えていない側の意識が低いと、どんなに味(ネタ)が良くても粗が見えてしまいます。
もちろん味さえ良ければ気にしないという方もいますが、お店が汚いと入りたくないという方もいるわけです。せっかく美味しい料理を提供していても、試してもらうことができないわけです。
おそらくお笑いの世界でも「ネタさえよければいいんだろ!」という意識で台頭するのは難しいのではないでしょうか。先輩やスタッフへの挨拶や気遣いが出来ないと、どんなに面白いネタを持っていても続かないわけです。
誰もが認める圧倒的なネタ(超美味しい料理)でもない限り、中身だけで勝負できる世界ではないわけです。
これは当たり前のことなので、多くの方が意識できていることです。サラリーマンでもショップ店員でも挨拶や清潔感はすごく大切です。
最低限の掃除や清潔感、礼儀は当たり前です。一般常識と言われるものです。これは多くの方ができています。一方で、この先があります、「ライス」のお二人はこの先に到達していると感じました。
美は細部に宿る
「日本一の食堂」が夢の旦那さんを心から支えている奥さんは、最低限の掃除や接客でとどまりません、もっと先に行きます。
少しでも旦那さんの夢の実現の為に、自分に出来ることはないかと考えます。
普段見落としてしまう箇所を掃除したり、店内のポスターや観葉植物の配置を考えたり、少しでもお客さんに喜んでもらえる工夫をするようになります。
料理の味や質に口を出すのではなく、自分で出来ることを全力で行うようになります。
すると本当に気づきが増えます、お客さんの立場になって食堂を見ることができるようになります。実際に椅子に座って考えます。すると調味料の入れ物が汚れていることに気がつくわけです。
多くの方がメニューやテーブルの調味料に触れた時に、ベタつきを感じたことがあるのではないでしょうか。
本気の奥さんは細部まで掃除をします。そこに気がつくことができるからです。これはアルバイトやパートでは難しいことです。
そして他のお店に行くと良いところ、悪いところが目に入ります。綺麗なトイレに感心したり、コートをかけるハンガーの質の差に気づいたり、あらゆる情報が目に入り込んできます。
物事に本気で向き合うと様々な気づきが得られます。「美は細部に宿る」と言いますが、まさに細部に違いがあらわれるということです。これは一般常識だけではなかなか到達しません。
成功している飲食店(チェーン店等)は、マニュアルで細部まで気を遣うようにしているわけです。これは成長する可能性の低いアルバイトやパートにとっては有効な方法です。
これは社会人としてもマナーの本なども同様です。細部の違いに気がつけない方には、様々なマニュアル本は有効です。とりあえずは悪くはありません。
ただし、その先の領域にいくためには、物事に本気で踏み込む必要があります。マニュアルだけでは、そのお店ならではの空間にはなりません。
個性にはなりません。
細部に美が宿りません。
今回のキングオブコント2016の出演者の中に、サイズの合っていないシャツを着ている方がいました。
引用元:http://www.dailymotion.com/video/x4vodpw_
シャツの袖がダブついて皺だらけですごく気になりました、袖の付け根が肩から落ち、袖も手首にかかってしまっています。
せっかくサイズを合わせたベストを着ているのに、シュッとした印象になっていません、もし身体にフィットしたシャツであれば、小気味のいいコミカルな動きがより活かされたのではないでしょうか。
ワイシャツはオーダーメードはそれほど高くありません。また袖の短い(長いも)ワイシャツも紳士服店やネット通販でお手頃価格で売られています。
これが細部の差です。タイの結び目は工夫していますが、ベストの下のボタンは留めてしまっています。やはり詰めが甘いかなと感じます。
どれもお金が必要なわけではありません、あくまでも意識の差です。外見が中身(ネタ)に与える影響を意識すれば改善できたかも知れません。
もちろんお笑い芸人はファッションモデルではありませんし、衣装にばかり気を取られる必要はありません。ネタが最も大切なのは間違いありません。これは普通のことだと思います。
だからこそ細部にまで意識をしていた「ライス」が凄いと感じました。衣装という外見から本気度が伝わってきました。
料理も器のセンスが悪いだけで、その料理の評価は下がるものです。テーブルの上がベタついているとイヤな気持ちになるものです。トイレが汚いとキッチンも汚いのではないかと思ってしまうものです。
メイン(ネタや料理)の評価を細部が下げることは珍しくありません。これはあらゆる業界でも言えることです。
まとめ 外見と中身の相関関係
優勝した「ライス」のお二人の衣装には、見事に細部に美が宿っていました。
あまり売れていたわけでもないので、おそらくコントの衣装や小道具にそれほどお金は使えないと思います。それでも真剣にコントに向き合っていたからこそ、出来ることは何でもやったのではないでしょうか。
靴がダブルモンクストラップでなく普通の革靴だったら優勝できなかった、なんてことはありませんが、細部にまで気を巡らせた想いが、メインのネタの質も向上させたのだと思います。
日本一の食堂を目指して料理の研究に没頭している旦那さんが、少しでもお店を良くしようと頑張ってくれている奥さんを見て何も感じないわけがありません。心から奥さんに感謝するようになれば、奥さんの意見も積極的に取り入れられるのではないでしょうか。
これが自分よがりになると素直に奥さんの意見など聞き入れません。「お前に何がわかるんだ」とばかりに、自分よがりな個性が強すぎる料理になってしまいます。
「ライス」のお二人は真剣にコントと向き合い、少しでも出来ることはないかと試行錯誤したのだと思います。ファッションに詳しい方の意見を真剣に取り入れたのだと思います。
中身が大切なんて当たり前のことです。これ以上中身を向上させることが出来ないぐらい突き詰めたからこそ、細部にまで気が巡ります。
食堂の掃除を徹底したからこそ、調味料のベタつきに気がつくわけです。いきなり調味料の容器から掃除をすることはありません。
もう一度言います。中身が大切なんて当たり前です。
「人は外見じゃない、中身が大切なんだ」という方がいますが、そんなのは当たり前なんです、ただ中身を大切にしていると、必ず外見ににじみ出てきます。
外見をおろそかにしている人は、中身が伴っていない可能性があります。本気で中身と向き合っていれば、必ず外見にもあらわれます。
真剣に料理と向き合っている料理人が、器や盛り付けを適当にするなどありえません。テーブルがベタベタなどありえません。店内が臭くて料理の香りを邪魔するようなことはありえません。
外見というと容姿や高級ブランドの洋服だと思う方もいますが、それは全然違います。
料理を盛り付ける器は必ずしも高価な器である必要はありません。個性的な器は料理を邪魔します。一方でビールに合わせたグラスやジョッキは、ビールの味を引き出してくれるものです。
中身を引き立たせる為に真剣に外見と向き合うことが大切です。素晴らしい大吟醸が紙コップではもったいないわけです。
だからといって高級なとっくりが偉いというわけではありません。お店の雰囲気に合わせた容器や地元の焼き物、日本酒の産地と同じ陶器など、様々な選択肢があるものです。
若い営業マンが金ピカの腕時計をしていると怪しさが出てしまいます。黒塗りのベンツを乗っていたら色々想像してしまいます。シンプルな腕時計やカローラの方が誠実な印象になるものです。
デパートの化粧品売り場の女性の肌が荒れていたら説得力がありません。彼女らは日々食生活に気をつかい、顔のマッサージを欠かさないと言います。
あくまでも化粧品がメインですが、そのメインを活かす為に細部にまで気を遣うことがプロなのではないでしょうか。
真摯に仕事に向き合っているサラリーマンのスーツ姿はカッコいいものです。そして適当にスーツを選んでいるサラリーマンはダサいものです。
取引先や周りの人達に対して真剣に向き合うと、不潔な洋服など着られるわけがありません。少しでも魅力的でいることは周りの人の幸せにもつながります。
外見を整えることは大切な中身を評価してもらう為にも大切なことです。外見ばかりで中身が伴わないのはもちろんダメですが、少なくとも外見が整っていると中身を評価してもらうチャンスが増えます。
「中身で勝負だ!」という意識が強い方は、おそらく立派な中身に自信があるのでしょうから、その中身で勝負する為にも外見を整えてください。勝負するチャンスが確実に増えます。
容姿や体型は生まれもったものがありますが、少なくとも現状から向上させることは難しくありません、イケメンや美人や高級料亭と比べるのではなく、現状の状態を少しでも向上させることに学びがあります。
そして確実にチャンスが増えます。自信のある中身を評価してもらう機会が増えます。すると確実に中身の質も向上します。様々な人の意見を聞く機会が増えるので、修正する道筋も見えてくるものです。
修正する方法を探ると他の店や人の良さが見えてきます。自分よがりだと他の店や人の粗しか見えません、悪口ばかり言っているような人です。
外見をおろそかにしている人は、他人の悪口が多いのが特徴です。自分に悪いところがないと決めつけています、これでは成長がありません。
外見を整えることで得られる学びはとても大きいです。周りの反応も変わるので実感しやすいのも特徴です。どんなに中身を磨いてもチャンスがなければ意味がありません。
「人は外見じゃない」という意識が強い人ほど、外見が整う伸びしろがあるので努力してみてください。その効果に驚くと思います。
2016年のキングオブコントで優勝した「ライス」の衣装のように、真剣に中身と向き合うと外見ににじみ出てきます。そして外見を整えることで中身の質も向上します。
外見と中身には相関関係があることを忘れないでください。
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