洋服ブラシの手入れの効果を理解していない人が多い・・・

ファッションコラム

洋服ブラシとは?

洋服ブラシとは、名前の通りに洋服用のブラシのことなのですが、ファッションに敏感な人でも意外と持っていないようです。

つい最近知り合ったお洒落な男性も、毛羽立ちが目立つ洋服を着ており、それとなく指摘してみると、

「もう寿命なんだよね~、クリーニングに出してもダメなんだよ」

と言われてしまいました。

丁寧に洋服ブラシをかけてあげれば、生地の綺麗な風合いに戻る可能性があるのですが、洋服ブラシで手入れをするような事がないようでした。

基本的に洋服のメンテナンスは洗濯だけで、ちょっと良い服だけクリーニングに出すだけなのだそうです。

お洒落に興味がない人であれば普通の事なのかも知れませんが、彼はとてもお洒落だっただけに残念でした。

そこで今回は洋服ブラシによる手入れについて紹介します。単純にホコリを落とすだけのものではありません。

洋服ブラシによる手入れの効果

洋服ブラシによる手入れの効果というのは、

  • 洋服に着いた汚れを落とす(浮かす)
  • 潰れた繊維を起き上がらせる(風合いが良くなる)
  • 毛玉が出来にくくなる(初期段階なら抑えられる)
  • 洗濯やクリーニングによるダメージを減らせる

といった効果があり、洋服を綺麗な状態に保つ為には欠かせない工程になります。

洗濯やクリーニングをする事が悪いわけではないのですが、どうしても生地の負担になってしまうので寿命を縮めてしまいます。

シャツや下着のように皮脂汚れや汗の付着が多い衣類は、洗濯機で徹底的に汚れを落とす必要があるですが、ジャケットのような衣類は洋服ブラシを併用する事で洗濯やクリーニングによるダメージを防ぐ事ができます。

論より証拠なので、実際に洋服ブラシをかけた効果がわかるように写真を撮ってみました。

これは撮影用にあえて洋服ブラシをかけずに、しばらく使用していたウール100%のマフラーです。細かなホコリや毛羽立ちがあるのが分かるでしょうか。

マフラーは様々な方向にねじれて擦れるので、わりと直ぐに毛羽立ちが発生してしまいます。

このマフラーに洋服ブラシでサッとブラッシングすると、

細かなホコリが無くなり、繊維の毛羽立ちも抑えられたのが分かるでしょうか。これが洋服ブラシの効果です。

ホコリだけなら洗濯やコロコロクリーナーでも取れるのですが、洗濯機で脱水されると繊維が一方向に押し付けられてしまうので、どうしても風合いが失われてしまいます。

またウールのような天然の生地には油分が含まれているので、洗剤で洗うたびにカサカサになっていってしまいます。

コロコロクリーナーやガムテープなどは、必要以上に繊維がくっついてしまうので、毛羽立ちや毛玉が出来やすくなってしまいます。

一方で洋服ブラシは繊維の中に絡まっている汚れを掻き出した後、一方向にブラッシングすることで綺麗に繊維の向きを整えることが出来ます。

これが凄く重要なポイントになるのですが、毛羽立ちを抑えられるのでカットするしかない毛玉にまで成長する事がなくなります。

毛玉取り器で取り除いても綺麗になりますが、繰り返していくうちに生地はどんどん薄くなってしまいます。

洋服の寿命というのはメンテナンス次第で大きく変わるので、洋服ブラシで優しくケアをしてあげる習慣ないと、頻繁に買い替える事になってしまいます。

シーズン毎に洋服を買い替えるような使い方であれば、それでもいいのかも知れませんが、せっかく身体に馴染んできた洋服をみすみす処分する事になってしまいます。

お金に余裕がある人であれば、高価な洋服でも頻繁に買い替えられるのかも知れませんが、私も含めて多くの一般男性はそうではないと思うので、着用後の洋服にサッと洋服ブラシをかける習慣を身につけてほしいと思います。

ホコリや汚れを落とす事で頑固な汚れになるのを防ぎ、洗濯やクリーニングによるダメージを防ぎ、生地の風合いを良く保てるようになるので、身体に馴染だ洋服を長く愛用できるようになります。

洋服ブラシの使い方

洋服ブラシの使い方は特に難しくありません。ハンガーにかけた洋服を優しくブラッシングするだけです。

ポイントは手首のスナップを使いながら、洋服ブラシの毛先で軽くブラッシングしてあげることです。力を入れてしまうと毛先が倒れてしまうので、毛先で軽く汚れを掻き出すように使ってください。

一気に全体を擦るのではなく、一ヵ所をサッサと手首を返しながら何度か擦る感じです。

仕上げに毛並みを整えるように、毛羽立ちが収まる方向にブラッシングして終了です。

あまり難しく考えなくていいのですが、汚れが目立つ箇所や生地が押しつぶされている箇所だけ念入りに行い、他はサッと毛羽立ちが収まるようにブラッシングすればOKです。これだけなら1分もあれば可能です。

洋服の裏側や襟の裏側やポケットの中などは、たまに行うだけで十分です。

ただ注意してほしいのは、洋服ブラシそのものの汚れです。どうしても使用しているうちに洋服ブラシの中にゴミが貯まっていくので、たまに櫛で梳いてブラシの汚れを落としてください。

これも意外と大切なポイントです。洋服に余計な汚れを移さない為にもブラシ側の掃除もたまに行ってください。

おすすめの洋服ブラシ

洋服ブラシは生地との相性もあるので、シルク用やカシミヤ用の物も売られているのですが、基本的には洋服ブラシと名のつくものであれば問題ありません。

あえておすすめの洋服ブラシの素材を紹介すると、馬毛になるでしょうか。安い物ならamazonで1000円ぐらいからでも見つかります。

ポリエステルなどの化学繊維で出来ている洋服ブラシでも大きな問題はないのですが、上質なウールやカシミヤの洋服を所有している人は、洋服ブラシも少し上質なものを選んだ方が良いかと思います。

ただ洋服ブラシといっても毛玉を取る機能に特化しているタイプもあるので、それは別物として考えてください。

これは毛玉取り器のようなものなので、普段の洋服のメンテナンスには向いていません。

また洋服ブラシと似たようなもので、エチケットブラシ(ハンディークリーナーやホコリ取りブラシ等)というものもあります。

これらのようなエチケットブラシでも生地のホコリや汚れは落ちるのですが、どうしても生地に押し付けながら使うことになるので、仕上がりの生地の風合いという意味では、洋服ブラシの方が断然良くなります。

右側のエチケットブラシはコンパクトなので、私は鞄の中に忍ばせており、出先でホコリや汚れが気になった時に使用しているのですが、着用後の手入れという意味では、洋服ブラシの方が簡単で効率よくブラッシング出来るのでおすすめです。

真ん中の切り替え式のエチケットブラシも便利かと思って購入したのですが、普通の洋服ブラシの方がずっと楽でした。

まとめ 洋服ブラシは必須アイテム!

洋服ブラシによる手入れをするとしないでは、洋服の寿命は大きく左右します。

せっかく高価な洋服を購入しても、メンテナンス次第では直ぐにダメになってしまいますし、むしろ高価な洋服ほど耐久性のない天然生地が使われている事が多いので、洋服ブラシは必須アイテムです。

洋服の寿命は洗濯の仕方や着用時の姿勢やハンガーとの相性などによっても変わりますが、つぶれた生地を元に戻せるのは洋服ブラシぐらいなので、お洒落になりたい人は用意してください。

そうそう買い替える物でもないので、馬毛の洋服ブラシを一つ用意すると良いのではないでしょうか。

ちなみに本格的な洋服ブラシはあまり売られていません。高級紳士服店には上質な洋服ブラシが売られていることがありますが、一般的な洋服屋だと滅多に売られていません。

洋服ブラシで手入れをされてしまうと、洋服の寿命が延びてしまうので、もしかしたら推奨したくないのかもしれません。

ホームセンターのようなところでも洋服ブラシが売られている事があるのですが、種類も少なく簡易的な物が多いので、ネット通販で探した方が手っ取り早いかと思います。

【楽天】洋服ブラシ

【amazon】洋服ブラシ

現物を確認したい人は東急ハンズがお勧めです。かなり豊富な品揃えになっていました。

洋服ブラシをかけた事が無い人だと、なかなか手入れの意味をイメージできないかも知れませんが、本当に様々なメリットがあるので、ぜひ習慣にしてみてください。

クセで足組や腕組をしていたり肘をついていると、生地がどんどん擦れて潰れてしまうのですが、洋服ブラシをかけるようになると、これらを改める事ができました。

他にもポケットの中のホコリを掻き出していると、洋服の裏側の縫い目のホコリにも気がつくようになりました。

縫製の違いや裏地の存在意義についても考えるようになり、洋服を見極める眼力がどんどん磨かれていきました。

他にも車のシートベルトによる擦れも気になるようになり、肩に掛ける鞄のストラップを外し、手で持つようになりました。

たかが洋服にブラシをかけるという行為でも、様々な気づきがあるものです。単純に洋服を綺麗にするメリットだけではありません。

これは靴磨きで考えてみても分かりやすいのですが、靴を磨くようになると様々な傷が気になるようになり、靴同士を擦り合わせて雑に脱ぐ事もなくなります。

靴底のすり減り方の偏りで、歩き方のクセを改めるきっかけになり、姿勢まで改善してくれるかも知れません。

これらのようなメンテナンスというのは、単純に綺麗になるだけでなく、普段の自分の行動や習慣にも目を向けるきっかけとなってくれます。

靴紐を適当に緩めてしまっていたばかりに、歩き方が崩れて様々な弊害が出てしまっている男性は珍しくありません。

姿勢や歩き方が良くなると見た目の印象が良くなるだけでなく、身体の内側からも健康になっていくので、どんどん生物としての魅力も上がっていきます。

もちろん姿勢が良くなると、洋服もグッと似合いやすくなります。試着室の前だけ姿勢を正しても、普段の姿勢が悪いと皺ばかりになってしまいます。

洋服のメンテナンスを奥さんやクリーニング屋に丸投げしていると、このような気づきが得られずに成長につながりません。

よく成金ファッションといった表現をしますが、あれは分不相応な恰好という意味だけでなく、ちょっとした姿勢や扱い方やフィット感などによる違和感も影響しています。

お洒落な人の中には新しい洋服を自宅の中でしばらく着て、ある程度馴染ませてから外出着として着用する人もいます。

適切なメンテナンスを行えないと、せっかく馴染んできた頃には薄汚れて寿命になってしまうので、いつまで経っても違和感が残ってしまいます。

学生の中にも3年間同じ制服を着続けた事で、抜群にフィットしている事があります。ただ学生は成長期に購入するのでサイズがピタリと合う生徒は滅多にいないのですが、丁寧に扱っている制服だと3年ぐらいでは良い状態を保てるものです。

たかが洋服ブラシと軽視するのではなく、しっかりと向き合ってみてください。単純に綺麗になるだけでなく、様々な気づきが得られるはずです。

身体に馴染んできた洋服を長く愛用できるようになり、日々の行動や所作といった要素も洗練されていくので、人としての魅力まで引き上げてくれますよ。

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