腕時計のオーバーホールを安くする方法!格安店と激安店の違い!

ファッションコラム

腕時計のオーバーホールとは?

腕時計の構造は大きく分けると昔ながらゼンマイ仕掛けの機械式時計と、電池式のクォーツ時計に分かれます。

機械式の懐中時計

いわゆる高級腕時計と言われるタイプには機械式が多く、細かな部品が絡み合っているだけに油切れなどが問題になるので、定期的にメンテナンスが必要とされています。

このメンテナンスをオーバーホール(分解整備)と言います。

腕時計のオーバーホールを分かりやすく説明すると、車の車検のような事であり、定期的にオイル交換や整備や清掃をすることで良好な状態を保つ事ができます。

リフトであげた車

ただ腕時計のオーバーホールは車検のように定期検査が義務付けられているわけではないので、あくまでも腕時計の持ち主の判断に委ねられます。

この腕時計のオーバーホールの期間は「3年」とも「4年」とも言われているのですが、新しい腕時計に限って言えば「3年」で行う方が良いとされています。

車も新車だと初めのオイル交換が早めに設定されている事があり、新しい部品ほど馴染んでいないので摩耗が多くなり、金属カスといった影響が出やすい傾向があります。

新しい腕時計を購入した時点で、製造されてから結構な月日が経過しているケースもあるので、4年も待ってしまうとリスクも高まります。

ネット上では「腕時計のオーバーホールは動かなくなってからで十分だ!」といった意見もあるのですが、油の切れた状態で動作しているとキズが深くなり、長期間動かさないでいると錆びてしまう事もあります。

車のエンジンなどもそうなのですが、定期的にオイル交換をしていれば20万キロぐらいもつものですが、きちんとオイル交換をしなかったり、何ヶ月もエンジンを掛けずにオイルが落ち切ってしまうと、始動時にパーツが擦れて傷ついてしまう事があります。

機械式腕時計は細かなパーツが組み合わさっているだけに、僅かな歪みやズレが生じても狂ってしまうので、3年経っていなくても時間のズレが大きくなった場合は、オーバーホールをしてあげる必要があります。

ただ腕時計のオーバーホールの費用は決して安くありません。車検の整備費用のように整備工場によっても価格差があり、特に海外の高級ブランドの腕時計ほど費用も高くります。

そこで今回は腕時計のオーバーホールを安く済ませる方法を紹介します。

理想は正規店や正規代理店にお願いする事ですが、これも車の車検のように正規ディーラーでなければ出来ないという事ではありません。

オーバーホールの費用

腕時計のオーバーホールの費用はブランドによって様々です。国産の機械式腕時計に比べて海外ブランドの高級腕時計ほど費用も高くなる傾向があります。

またムーブメントが複雑な機構になればなるほど、オーバーホールの費用も高くなります。

複雑機構のトゥールビヨン

一概にいくらとは言えないのですが、基本的にはブランドのホームページでオーバーホールの費用を確認することができます。これがいわゆる正規価格です。

一方で時計修理の専門店でもオーバーホールを受け付けているところがあります。こちらの方がオーバーホールの費用を安くする為には有効です。

イメージとして国産ブランドだと正規料金よりも1~3割、海外ブランドだと2~7割ほど安くなります。

ディーラー車検の価格と、街の整備工場の車検の価格の違いのような事です。

あくまでも理想はメーカー指定のショップでオーバーホールを行う事ですが、車検もきちんとした整備工場であれば問題ないように、オーバーホールも費用を抑えたからといって問題があるわけではありません。

ただ珍しい外車ほど正規ディーラーでないと対応できないように、腕時計もマイナーなブランドや高級モデルだと受け付けていないケースがあります。車も街の整備工場でベンツやBMWのようなメジャーな外車の車検は受け付けてくれますが、フェラーリやマセラティなどになると難しくなるような事です。

腕時計のオーバーホールもロレックスやオメガのようなメジャーなブランドであれば、正規店以外でもオーバーホールをすることが可能なので、大幅に価格を抑える事が可能です

金のロレックス

ただネットで探すと正規料金の4分の1ぐらいの激安ショップも見つかるのですが、それらは正直おすすめしません。

オーバーホールの費用の多くは職人の人件費です。ある程度は企業努力で価格を抑える事はできるのかも知れませんが、極端な激安価格は工程を省いている可能性があります

車検も極端な激安店は最低限の整備しかしません。ギリギリ車検に通ればOKというメンテナンスしかしないので、次の車検までに安全に走れるとは限らないわけです。

腕時計のオーバーホールも極端な激安価格だと、ろくに調整もせずに簡単な清掃と油だけを挿し、とりあえず動く状態にだけ仕上げるところが中にはあるようです。

全ての激安店がそうだとは限りませんが、極端に価格の安い激安店は避けてください

これも腕時計の状態やブランドによって違うので、一概にどこが良いとも悪いとも言えないのですが、オーバーホールの費用の安さだけをアピールしている激安店は要注意です。

中には修理不可と連絡があり、割安な価格で買い取る事を目的としている悪質な業者があるそうなので、気をつける必要があります。

お店の探し方

私の機械式時計は国産でシンプルな構造の物なので、オーバーホールの正規料金は12000円でした(税別、送料別)。機械式時計の中ではかなり安い部類です。

初めてのオーバーホールは正規店で行いました。メーカーのホームページに受付窓口があるので、申し込みをしてから腕時計を送り、指定口座に代金を振り込みました。

それから3年が経ち、2回目のオーバーホールは格安店を試してみようとネットで色々と調べてみると、私なりに良心的なショップを見極める目安が見えてきました。

そもそも腕時計のオーバーホールは、素人が良しあしを判断できるものではありません。詳しい人ですら分解しないと見極められるものではないので、判断が難しいところなのですが、私なりに色々なショップのホームページを見ていると、ある法則を発見しました。

それは楽天やamazonなどでオーバーホールを受け付けているショップがあったという事です。大手ECサイトで受け付けているショップだと、レビューがあるだけに酷い事はできない可能性が高まります

大っぴらに偽物のブランド物を扱うお店が出店できないように、問い合わせ対応なども含めて一定のレベルが求めらるので、信用を評価する基準の一つになります。

自社のホームページだけで受け付けているショップもたくさん見つかるのですが、それらを個人が評価する事は難しいです。

やたらと高級感や誠実さをアピールしているホームページも多いのですが、外注すればどこでも出来てしまいます。

どこの会社でもそうですが、わざわざ自社に不利になるような評価を記載する事などありませんし、素人が見極める事などできるものではありません。

だからこそ大手ECサイトに出展しているショップには、一定の信用があると感じました。ショップにとっては手数料が発生する分、激安店よりは割高になってしまうのですが、消費者側からするとECサイトの仕組み(ポイント倍増セールなど)を使って安くする事ができます。

格安オーバーホールを試してみた

私が選んだのは楽天に出展していたショップで、正規料金よりも2000円ほど安い価格になりました。

【NUTS 時計修理】

ここだけが良いという意味ではないのですが、レビューにも評価が低いものがしっかりと表示されており、意見が分かれていただけに信用に値すると感じたからです。

しばしば高評価しかないようなショップがありますが、あれはステルスマーケティングの可能性があります。

悪質な業者でクレームが多いと楽天の方から外される可能性がありますが、何年も前のレビューも表示されていたので信用できました。

さらにクーポンで300円オフになり、楽天スーパーセールの期間を狙ったので、ポイントの還元率が通常よりも高くなり、楽天カードでの支払いだと5と0の付く日はポイント5倍というものがあるので、後日に合計1割ぐらいのポイントバックがありました。

これらは楽天という仕組み上、安くする方法があるという事であり、このショップの都合で安くなるわけではありません。

オーバーホールの申し込みの手順も簡単でした。一般的な楽天の商品を購入するのと同じで、自分の腕時計に当てはまる条件をクリックして決済をすると、数日後に自宅に空の箱が送られてきました。

白い箱の中にスポンジが入っており、間に腕時計を挟みます。

オーバーホールする腕時計を送る為の箱

さらにこの白い箱を緩衝材で囲んで送ります(送料は購入代金の別)。

オーバーホールする腕時計の送り方

あとはオーバーホールをしてもらう腕時計を送ったことをメールで伝えて待つだけです。

私の腕時計は送ってから一月半で戻ってきました。

腕時計のオーバーホールが終わってから送られてきた箱

これでもかと丁寧に梱包されていました。また別料金で外装の磨きもお願いしていたせいか、ブルーのテープに囲われていました。

オーバーホールで磨き終えた腕時計

テープを外してみると、見事にピカピカに仕上がってくれて嬉しくなりました。

ピカピカの機械式時計の裏側磨かれた腕時計

流石にフレームの大きな傷は消えていませんでしたが、綺麗に磨かれたおかげもあり、正規店でオーバーホールをした時よりも満足度は高かったです。

レビュー評価がつく楽天やamazonに出展していないショップでも、きちんとしたところがあるとは思いますが、それを素人が見極める方法はないので、一つの目安になるのではないでしょうか。

ちなみに私が色々と調べてみた中で、自社のホームページでも好印象だったショップがあります。

時計修理の千年堂

こちらの千年堂さんのページを確認してもらうと分かるのですが、悪質な時計修理業者について厳しく言及しており、見積もりも無料で、格安な料金設定ながらも料金が後払いで、しかも一年保証を設けています。

買い取りも行っていないので、後から難くせをつけて格安で引き取るような事も考えられません。

一部の高級そうなショップだと、ホームページも綺麗で良さげに見えるのですが、おそらく千年堂さんのホームページは自社制作のもので、それほど見栄えもよくありません。

オーバーホールをした後の時計も、過度に良さげに見える撮影をしていません。この辺にお金を掛ける業者だと、背景や照明を駆使して、オーバーホールのビフォーアフターをやたらとアピールしていることがあるのですが、千年堂さんは「THE職人気質」といった感じが伝わってきます。

時計修理の職人

ファッションでもそうなのですが、やたらと撮影ばかりに予算を掛けて見栄えを良くする業者が多く、実際に手に取った時にガッカリする事があるのですが、その辺を過剰にアピールしていない点にも好感をもちました。

私は楽天ポイントが余っていた事もあり、楽天の仕組みを使ってオーバーホールの費用を抑えましたが、ECサイトに出展しないショップを見極める場合は、ホームページの雰囲気から伝わってくる印象を重視してみてください。

きちんとした仕事をアピールしているのに、極端な激安価格になるのはおかしいです。部品交換がない場合は職人の人件費だけなので、格安店でも正規店よりも安く出来るのは、せいぜい1~3割程度なのではないでしょうか。

クォーツ時計のオーバーホール

ちなみに電池式のクォーツ時計でも、針が動いている腕時計だと可動部のパーツが徐々に摩耗していくので、機械式時計と同じようにオーバーホールをする事で良好な状態を保ちやすくなります。

電池交換を何度かしていると、電池の減りが早くなっていくのは、針の可動部の油が切れて抵抗が増してくるからです。

腕時計の針

大切にしているクォーツ時計であれば、機械式時計と同じように定期的にオーバーホールをする事で長く愛用できます。

クォーツは部品点数が少なくシンプルな構造だけに、オーバーホールの費用も機械式より安く設定されています。期間の目安は7~8年と言われています。

ちなみにクォーツは手先が器用な人であれば、自ら分解して針の可動部に油を注ぐような事ができるそうなのですが、傷つけないように分解する為の専用工具が必要なので、よほどたくさんの時計を所有しているのでなければ、お勧めしません。

またデジタル表示の腕時計は定期的な電池交換と簡単な洗浄(拭き掃除)だけでOKです。こちらは基本的にオーバーホールの必要はありません。

デジタル表示の腕時計はスーツに合わせるのは難しいと言われていたのですが、最近はスマートウォッチの普及もあり市民権を得てきました。

個人的にはスーツやジャケパンスタイルには針時計の方がスマートでカッコ良いと思いますが、オーバーホールといったメンテナンス費用の事も含めて考えると、今後は悪くはない選択肢になるのかも知れません。

それほど腕時計にこだわりがない人であれば、あえてクォーツを選んだり、フルデジタル表示の時計を選ぶのも一つの選択肢です。

まとめ 腕時計のオーバーホールはお店選びが全て

高級腕時計は社会的なステータスになるので、思い切って購入する男性も多いと思いますが、初めて購入するという人は、今回紹介したオーバーホールの費用のことも頭の片隅に入れて置いてください。

フェラーリのような超高級車は、街の整備工場では車検を受けることができません。部品も簡単には手に入らないので、維持していくだけでも想像以上に大変なものです

フェラーリとランボルギーニとフェラーリ

一方でベンツやアウディのように普及している高級車であれば、田舎の方の整備工場でも対処してもらえます。

もちろんベンツやアウディでも、一部の超高級モデルだと正規ディーラーでしか車検を受け付けてもらえない事があるのですが、腕時計も同じで珍しいモデルほどオーバーホールの費用も高くなります。

腕時計は車と違って輸送が簡単なので、ネットで探せば珍しい腕時計でもオーバーホールを受け付けてくれるショップが見つかりますが、高価で複雑な機構の機械式時計ほどその費用も跳ね上がるので、購入前にはメンテナンス費用も含めて考えてみてください。

私の機械式時計は国産のシンプルな構造のものなので、2000円(+ポイントバックで1000円相当の割引)しか安くなりませんでしたが、これがロレックスだと万単位で差があるものです。

極端に激安価格のショップは注意が必要ですが、正規価格よりも1~3割安く済ませられる格安店は珍しくないので、信頼のできそうな時計修理業者を上手く選んでみてください。

あともう一つオーバーホールの費用を安く済ませる方法を紹介しておくと、腕時計を購入した販売店経由で正規店にお願いすると、送料が掛からないケースもあります

この辺はお店によっても違うので何とも言えないのですが、超高級腕時計を扱っているお店は顧客との繋がりを大切にするので、お店側が負担してくれる傾向があります。

流石に時計修理専門のショップより安くなるわけではないのですが、送料分は自ら正規料金に申し込むより安くなってくれます。

腕時計の中身は密閉されているので、はっきり言って素人がオーバーホールの良しあしを判断することはできません。プロですら分解しないとわからないと思います。

だからこそ、大切な腕時計ほど極端な激安店は避けるようにしてください。価格が安いのは嬉しい事ですが、極端な激安価格を売りにしているショップにはリスクがあるので気をつけてください。

またオーバーホールの期間が短い(早い)ことをアピールしているショップも要注意です。車検であれば国の定めた検査の基準がありますが、腕時計のオーバーホールにそのような基準はありません。手を抜こうと思えばいくらでも出来てしまいます

腕時計の調整は非常に繊細な作業なので、僅かな調整でもその結果を確かめる為に時間がかかります。

ほんの僅かな調整でも様々な歯車が重なり、秒針のスピードに影響を与えます。1秒当たり0.001秒早くなったとすると、1分間で0.06秒早くなります。

腕時計の歯車

これが1時間だと0.36秒早くなります、そして1日だと8.64秒もの差が生まれてしまいます。

僅かな調整を確かめる為だけでも、それなりの期間が必要な作業です。

オーバーホールによる清掃やメンテナンスだけであれば、それほど期間が掛かるわけではないのですが、微調整による確認作業に時間が掛かるので、極端に期間が短い事を謳っているショップや激安店ほど、適当な可能性があるので気をつけてほしいと思います。

良心的な価格の格安店と極端な激安店を上手く見極め、大切な腕時計をオーバーホールしてほしいと思います。

私のように楽天やamazonに出店しているお店を選ぶのも一つの目安になるかと思います。ECサイト側の都合で価格を抑える事もできますし、ポイントが余っている場合も有効活用できるかと思います。

もちろんECサイトに出展していないショップが悪いというわけではありません。先ほど紹介した千年堂さんのように、無料で見積もりを取ってくれる紳士的なショップもあるので上手く見極めてみてください。

時計修理の千年堂

千年堂さんのホームページを読むだけでも、かなりオーバーホールの知識が身につくと思いますよ。

もちろん他のショップでも良いところがたくさんあるのだとは思いますが、素人が見極められるものではないので、やたらと良い点ばかりをアピールしているようなショップは、気をつけてほしいと思います。

オーバーホールをしてまで長く愛用したくなる腕時計を所有しているのは幸せな事なので、上手く激安店と格安店の違いを見極め、この先も長く愛してあげてください。