洋服をカッコ良く着こなす為に知っておくべきこと

ファッション基礎講座

洋服は着こなせない!?

ここからはファッション基礎講座の第Ⅱ章、洋服を着こなすという意味について紹介していきます。

そもそも洋服というのは、着こなしによって変化するポイントが多くありません。

これは和服の着こなしで考えると分かりやすいのですが、平面で出来ている着物というのは着る人のテクニックによって大きな違いが出てしまいます。

和服を着慣れていた昔の日本人は自ら着付けをする事ができたのですが、現在は着付けのプロにお願いしないとスマートに着こなせません。

この動画を見るとよく分かるのですが、再生する前のキャプチャー画像だけでも襟の角度によって印象が随分と違うのが分かると思います。

和服の着こなしは他にも帯の位置や合わせの位置など様々なポイントがあり、それぞれの人の体型に合わせて調節できるだけに、着こなす技術によって印象は大きく変わります

一方で立体的に作られている洋服というのは、この個人の着こなす技術によって差が出る要素は多くありません。

コーディネートという意味では色々とありますが、そもそものサイズが合っていない事にはどうにもならないケースが大半です。

あえて可能な要素を紹介すると、シャツの袖の長さがイマイチだと腕まくりして誤魔化したり、シャツのボタンを外してはだけたり、長過ぎるズボンの裾をまくって皺を抑えたり、ネクタイの結び目の大きさや長さを合わせたり、あとはマフラーの巻き方を変えるといったところでしょうか。

これが女性ファッションだと髪型やファッションに合わせてストールの巻き方を変えたり、シャツの前側だけをズボンに入れてボリュームをもたせたり、あえてジャケットに袖を通さないで羽織ったり、女子高生のようにスカートの長さを変えるような事も出来るのですが、男性ファッションとなると選択肢は多くありません。

昔はセーターを羽織ったり、腰に巻くようなテクニックもありましたが、現在それを取り入れたところでプラスになる事はありません。

和服であれば合わせの位置を調節する事ができますが、これはスーツで例えるとVゾーンが広い二つボタンから、Vゾーンが狭い三つボタンに変えるような事です。そんな事ができる洋服はありません。

ネクタイの結び目の大きさを変える事は出来ますが、ネクタイの太さは変えられないのでラペルの太さと相性が悪いと、どうにもならないような事です。

基本的に洋服は購入後に調節する要素が多くありません。

だからこそ購入前の事前準備が大切なポイントになります。その為にも第Ⅰ章で紹介した自分を知るという行為が凄く重要になってきます。

男性ファッションは着こなしで何とかなる要素が少ないからこそ、安易にオシャレな洋服を購入したからといって、スマートに着こなせるとは限らないわけです。

着こなしと着崩しの違い

よくファッション雑誌やファッションブロガーと呼ばれる人達が、人とは違う独自の着こなし方でお洒落に決める方法などを紹介しているものですが、あれは洋服の着こなしというよりも、着崩しに分類されるものです。

上手く着こなせない洋服だからこそ、あえて着崩して目線を反らせるような事であり、これで分かりやすいのは学生服の着崩しです。

ヤンチャな男子学生ほど、制服をラフに着崩しているものですが、制服というのは成長期に購入する事もあり、サイズがフィットする可能性が限りなく低いので、それを上手く誤魔化すようなテクニックが用いられます。

ジャケットの袖ごと腕まくりをしたり、ズボンをずり下げて腰パンにしたり、シャツをはだけてネクタイを緩めるなど、色々と頑張っているのですが、あれは普通に着るとバランスが取れないからこそ、あえて誤魔化す事でバランスを取ろうとしています。

一方で成長が止まっている成人男性であれば、着崩しでバランスを取る必要はありません。きちんと体型にフィットする洋服を選ぶ事こそが着こなしであり、わざわざ着崩さないとバランスが取れない時点で間違っています。

シルエットが現在の主流とは大きくかけ離れている古着などであれば、このような着崩しテクニックが有効に働くケースもあるのですが、かなり繊細にバランスをコントロールしなければならないので、ファッションレベルの低い初心者が真似できるテクニックではありません。

若い男性の間で流行っているオーバーサイズの着こなしといったものも同様で、見事にバランスが取れている人は多くありません。大抵はズボラな印象になっていたり、だらしなさが際立ってしまっています。

若者は瑞々しい肌や髪のおかげで清潔感があるので、そのような着崩しを取り入れても悪くはないのですが、ある程度の年齢の男性が安易に取り入れてしまうと、ただただズボラで清潔感のない印象になってしまいます。

これはヴィンテージのジーンズなどで考えてみても分かりやすいのですが、マニアの中では垂涎の的のジーンズでも興味がない人からすると、ただただ不潔なジーンズにしか映りません。

ハイブランドの高級ジーンズでもダメージ加工された物が売られていますが、あれが似合うのはモデル体型のイケメンや美女だけであり、あえて選んでいるのが伝わってくるからこそ成り立つファッションです。

学生服の着崩しといったものも、似合っているのは残念ながらクラスで人気のあるイケメンだけです。髪型や態度やクラスの中のカースト上位といった要素も含めて、周りが一目置かれている存在だからこそ成り立つのであり、学校から出るとカッコ良い着こなしとは認識されません。

個性的な着崩しテクニックというのは、狭いターゲットにしか理解されず、その他多くの人からの評価は下がってしまいます。目立つ事はできるかも知れませんが、それがプラスに働くかというと別です。

お洒落自慢のファッション好きの男性が、左右で違う色のスニーカーを履いていたりするのですが、イケメンがやる分にはお洒落として認識されたとしても、普通の男性がやるとイタイ奴だと認識されてしまいます。

B系ファッションといったものもクラブの中ではカッコ良くても、他の場所では避けられるだけのファッションになってしまうように、着崩すようなテクニックというのは一般男性にとっては、あまり重要なテクニックではありません。

あくまでも自分の体型やキャラクターやTPOに合わせるといった要素が大事なのであり、周りの人からの評価を上げたいのであれば、客観的な視点でファッションを選ぶ必要があります。

自分の好きなファッションを楽しみたいというのであれば、自由に選べば良いのですが、そのような自分よがりなファッションというのは周りの人から評価されるわけではありません。

目立ちたいだけなら何でもありですが、お洒落になりたい目的が周りの人からの評価を上げる事なのであれば、基本に忠実な王道の着こなしテクニックが有効に働きます。

自分のファッションを客観視する事こそが、お洒落なファッションへの道のりであり、その為には自分の事を知れなければなりません。だからこそ第Ⅰ章では手持ちの洋服のチェックや鏡や姿勢といった要素を紹介したのですが、自分を客観視できないまま新しい洋服を購入したところで、スマートに着こなす事など出来ません。

勝負の分かれ目は試着室

洋服をカッコ良く着こなすうえで勝負の分け目になるのは、何といっても「試着室」での確認作業です。

実際に袖を通してフィット感やバランスを見極めない事には、似合う洋服を選ぶ事など出来ません。この作業こそ和服で言うところの着こなしの技術であり、洋服を着こなすうえで大事なポイントになります。

洋服のデザインやシルエットはブランドによって微妙な差があるので、Tシャツのようなシンプルな洋服でも、袖の長さがイマイチだったり、裾が短すぎるという事があります。生地の素材によっても伸縮性が変わるので、実際に着てみない事には分からない事がたくさんあります。

生地の柄やデザインといったものもサイズによって位置が変わってしまうので、身体にはフィットしたとしても、デザインの位置が下過ぎてバランスが悪いという事もあります。

女性は胸の大きさに個人差が大きいので、この辺のバランスを見極める作業を当たり前に行っているのですが、男性でも肩の筋肉や胸の筋肉の違いによってデザインのポイントが上下する事は珍しくありません。

ガリガリで長身の男性が上着の裾の長さだけで洋服を選んでしまうと、せっかくのデザインが下の方に配置されておかしなバランスになったり、肩の筋肉がごっついマッチョの男性だと、逆にメインのデザインが上の引き寄せられておかしなバランスになる事もあります。

痩せている男性ならスリムなシルエットのブランドを選ぶ事で、このようなバランスを取る事ができますし、マッチョな男性なら大きめのサイズに強いブランドを選ぶ事で裾が短すぎるような事が無くなります。

大きめのサイズを取り扱っているお店というのは、単純に3L や4Lを取り扱っているだけでなく、そのような体型に合わせてデザインされているので、全体的に大きくなるというわけでもありません。

ゴリゴリのマッチョだと屈強な肩や腕のせいで袖が通らないので、市販の洋服から選ぶとかなり大きめのサイズを選ぶ事になってしまい、せっかく引き締まっているお腹周りがブカブカになったり、裾が長過ぎるような事になってしまうのですが、がたいの良い欧米人向けのブランドの洋服を着ると、スッキリと収まるような事もあります。

ファストファッションでもユニクロやGAPやZARAでは随分とシルエットが違うものなので、お洒落なデザインだけで選ぶのではなく、自分の体型と相性が良いブランドから選ぶといった視点が重要になります。

海外の有名ブランドのお洒落な洋服といっても、骨格から違う日本人の体型に合うとは限りませんし、デザイナーが狙っているシルエットが出ないと上手く着こなせないので、しっかりと試着室で確認する必要があります。

どこそこの洋服がお洒落なのではなく、あくまでも自分の体型に合う洋服が良いのであり、それを見極める能力がない事には、微調整する事ができない洋服を着こなす事が出来ません。

和服のように後から調節できる要素がないからこそ、洋服は購入前に勝負が決まってしまいます。

スーツのように店員さんがある程度確かめてくれるような洋服であれば、ファッションに無頓着な男性でもそれなりにカッコ良く着こなす事ができるのですが、カジュアルなファッションとなると自分で見極めるしかないので、新しい洋服を購入する前に自宅でその能力を磨いておく必要があります。

多くの女性は小さな頃からこの能力を磨いていたからこそ、男性よりも圧倒的にレベルが高いのですが、ファッションに無頓着だった男性の多くは、とんでもなくレベルが低い状態なので、そのまま新しいお洒落な洋服を購入したところで上手く着こなす事ができないわけです。

私自身もそうだったのですが、ファッション雑誌で紹介されている有名ブランドの洋服を購入しても似合わないどころか、普段着として着るには豪華すぎるデザインだったりするので、成金のような滑稽な印象になってしまいました。

南青山に住んでいるような男性であれば、そのような洋服でも違和感なく収まるのかも知れませんが、多くの一般男性の生活圏にとっては、有名ブランドのロゴがバランス崩す要因となる事もあるので気をつけてほしいと思います。

まとめ 購入後に出来る事は少ない

購入済みの洋服でもお直しをしたり、着崩すテクニックを用いて上手くバランスを取るような事ができないわけではないのですが、それこそファッション初心者が出来るようなことではないので、あまり参考にはなりません。

シャツの袖やズボンの裾ぐらいであれば、後からでも数センチ詰めるような事は可能ですが、そもそものサイズ感を大きく変える事は難しいですし、よほどの高価な生地の洋服でもない限り、仕立て直すと高くついてしまいます。

ある女性のファッションアドバイザーの本の中で書かれていた事なのですが、女性は胸の大きさに個人差があるだけに、ハイブランドの10万円のジャケットを購入するぐらいなら、3万円のジャケットを購入して2万円かけてお直ししてもらった方が、ずっと似合いやすくなると紹介されていました。

おそらくファッション初心者の男性であれば、高価な洋服を所有していないと思うので、お直しに予算をかけるよりも新たに購入した方が安く済むので、この方法が適しているとは言いませんが、身体にフィットしている事が大事だという事を覚えておいてください。

フィットしていない洋服というのは余計な皺が出てしまうだけでなく、せっかくの男性らしい体型をアピールする事ができません。

これは女性ファッションで考えてみても分かりやすいのですが、特別スタイルが良くない女性でもフィットした洋服を着ていると、何かの拍子に女性らしいボディラインが浮き出た時に、ドキッとした経験がある男性も多いのではないでしょうか。

これは男性ファッションでも同じであり、男性らしい胸板や肩幅や背中の大きさといった体型が洋服の上からでも伝わってくると、魅力的に感じる女性が少なくありません。

適当に大きめのサイズの洋服を着ていると、皺が増えて見た目の印象が悪くなるだけでなく、生地も大きくなって疲れやすくなりますし、何よりも男性らしい魅力まで失われてしまいます。

明らかにマッチョな男性であれば、ラフな恰好でも首の太さやシルエットから男らしさが伝わる事もありますが、私も含めて多くの男性はそうではないと思うので、わざわざ魅力を下げるような洋服は選ばない方が良いと思います。

お下がりを着ている子供であれば可愛げもありますが、成人した大人がラフな恰好をしていると、ただただ清潔感のないだらしなさが際立ってしまうので気をつける必要があります。

洋服を着こなす方法というのは、いかに購入前に準備を整えておくかであり、試着室でしっかりと相性を確かめる事が全てと言っても過言ではありません。細かな着崩しテクニックもありますが、あれは料理の上級者が仕上げのスパイスを加えて味を引き締めるような事であり、初心者がそこに頼っても料理は上達しません。

ファッションも基本を疎かにしたまま何とかなるものではないので、自分のファッションを客観視できるようになる事が肝心です。

たまたま市販の洋服のサイズと相性が良いモデル体型の男性でもない限り、準備なしで洋服をカッコ良く着こなす事など出来ません。

ちなみに洋服が似合う体型の男性で分かりやすいのは、「ミキティーーー!」と叫ぶギャグが特徴の品川庄司の庄司智春さんの体型です。

彼自身がファッションショーに参加した時のエピソードを語っていたのですが、彼の体型はデザイナーが洋服を作る時の元となるマネキンの体型と酷似しているそうで、絶賛されたのだそうです。

私も含めて多くの一般男性は彼のような立派な体型ではないので、デザイナーが想定していた体型とはかけ離れています。

市販の洋服のサイズというのは似合わなくて当然なので、自分の体型と相性が良いブランドやデザインやシルエットを見つける事こそが、洋服を洋服を着こなす技術という事になります。

全く同じチェック柄でもサイズが違えば相性も変わります。モデル体型のLサイズ向けにデザインされた洋服がSサイズになると、チェック柄のバランスも変わってしまいます。そもそものサイズが小さい子供服に、大柄のチェックを合わせても難しくなります。

スーツのストライプといったものも身体の大きさによって印象は大きく変わります。細身の男性が線の太いストライプのスーツを着てしまうと小柄さが引き立ってしまいます。

洋服のバランスというのはフィット感だけでなく、デザインそのもののせいで崩れてしまう事もあります。だったら余計なデザインがない洋服の方がスマートな印象になるかも知れません。

スーツのようにサイズを合わせやすくて余計な装飾も少ない洋服であれば、ファッションに無頓着なお父さんでもバランスが取れるものですが、カジュアルなファッションだと自分で試着を繰り返しながら相性を見極めていくしかありません。

その為にも自分のファッションを客観視できる視点が必要なので、新しい洋服を購入する前にその技術を磨いておいてください。

Tシャツのような洋服だと地肌で試着できるお店は多くありませんが、手持ちのTシャツの中から自分の体型と相性が良いサイズ感やシルエットのものを理解しておくと、新たに購入する際の目安になってくれます。

ズボンだとユニクロのようなところでも何パターンかシルエットが用意されており、三センチ刻みでサイズ展開があるので、しっかりとフィットした物を選んで裾上げをすれば良いのですが、上着は調節が難しいだけに試着の技術が勝負の分かれ目になります。

こればっかりは鏡の前に立つ事でしか磨かれない技術なので、自宅の中で手持ちの洋服を着ながら経験を積んでいってください。

洋服の着こなしは購入前に決まってしまうという事実を理解し、しっかりと事前に準備を整えるようになってほしいと思います。

次は自分のファッションのバランスを見極めるポイントについて紹介します。これも経験がものをいう世界なのですが、いくつかの目安を知っておくと成長が早くなるので、しっかりと学んでほしいと思います。

次は:Ⅱ-2 自分のファッションのバランスを見極める方法