革靴を履くと痛みを感じる時にするべき5つのアプローチ

ファッションコラム

革靴を履くと痛くなる理由

冠婚葬祭などでたまにしか革靴を履かない人や、革靴に慣れていない新社会人だと、革靴を履いた時に痛みを感じるケースがあると思います。

新しくて革が硬い黒い革靴

革靴はスニーカーのように生地に伸縮性があるわけでもなく、靴紐で調節できる要素も少ない(穴が少ない)だけに、フィットしていないと革靴の中の足がズレて痛みが出てしまいます。

基本的に痛みが出ている状態で、その革靴を履き続けることは望ましくありません。足と擦れて痛みが出るだけでなく、肌が傷がついてしまったり、魚の目やタコの原因となったり、最悪の場合は骨格にまで影響が出てしまいます。

歩き方や姿勢にも影響がでますし、転倒して大けがをする可能性もあります。

革靴が一足しかない場合は、とりあえず痛みの出ない革靴に買い替えることが一番です。痛みを我慢してまでその革靴を履き続けることはありません。

緊急の場合は靴の量販店で売られている安価な革靴でもいいので買い替えてください。安価な革靴ほど革が薄くて構造も弱いだけに、痛みが出にくい傾向があります(寿命は短いですが)。

最近はスニーカーのような履き心地を謳っている革靴もあり、実際にスニーカーのように靴の内側にクッション性をもたせてあります。

このような革靴であればフィットしやすいので、さっさと買い替えてしまうのが簡単です。安い物なら5000円前後で売られています。

一方で高価な革靴ほど頑丈な革で強固な構造で作られているので、僅かでもサイズが合っていないと靴擦れを起して痛みが出てしまいます。

革靴はスニーカーのように靴紐で調節できる範囲が狭く、靴の内側にクッション性がないだけに、フィットせずに痛みが出やすい傾向があります。

一般的にフィットする革靴のサイズは、スニーカーよりも0.5~1cmぐらい小さいと言われているのですが、購入時にしっかりと試着(試し履き)をしないでスニーカーと同じサイズを選んでしまっていると、かなりの確率で靴擦れを起して痛みが出てしまいます。

スニーカーは運動時に用いられるだけに、グッと片足に体重が乗った時に、足の指先が前に伸びても問題がないように少し大きめのサイズを選びます。

普段は足の長さというのは、土踏まずが浮いている分、全長が少し短くなっているのですが、歩く度に全体重が片足に乗ると指先が前に伸びるので、靴のつま先側には1cmぐらいの余裕が必要になります。

ただこれは足の踵が靴の後ろ側にしっかりと固定されている事が前提です

スニーカーは激しい運動にも耐えられるようにフィットする構造になっているので、少し靴紐を緩めて履いていても踵側に合ってくれるのですが、革靴の革は伸縮性がなくて滑りやすいだけに、サイズが大き過ぎたり靴紐を緩めて履いていると、靴の中で足の位置が固定されずにズレてしまいます。

よく靴を選ぶ時に踵側に指が一本ぐらい入る隙間があった方が良いと言われていますが、

これはあくまでも靴紐を緩めた状態で確かめる事であり、靴を履いている時に踵に隙間があるのはNGです。

踵側にしっかりと固定されていないと、体重が乗って指先が伸びる度につま先に当たって痛みが出てしまったり、靴の中でズレて擦れてしまいます。

これが革靴ならではの傷みが出る原因です。フィットさせるのが難しいだけに、足が靴の中でズレて靴擦れが起きてしまいます。

革靴に慣れていない新社会人ほど、スニーカーのような選び方をしてしまうだけに、痛みが出やすい傾向があります。

そのようなブカブカの革靴はさっさと処分して・・・とは言いません。微調節や積極的に馴染ませる事で、履き心地が改善する事もあります。

そこで今回は痛みが出てしまう革靴に出来る5つの方法を紹介します。必ずしも痛みが出なくなるとは限りませんが、革靴を捨てる前に一度試してみてほしいと思います。

1 きちんと履く

まず始めに意識してほしいのは、きちんと革靴を履く事です。

意外とこれを出来ている男性が少ないのですが、革靴のような伸縮性のない靴というのは、靴紐を結ばずにフィットするものではありません。

靴紐がない革靴もありますが、よほど運よく足の形と相性が良かったからか、少しきつめの革靴を選んで時間をかけて馴染んでくれたからか、ビスポーク(オーダーメード)だからです。

革靴を履く時は靴べらを使い、しっかりと踵に合わせてから靴紐をギュッと結んでください。人によってはこれだけでも踵側に足が固定されて痛みが和らぐ可能性があります

革靴には伸縮性がないと言いましたが、革は圧力が掛かると少しずつ伸びていく特性があるので、強引に足を押し込んで履いていたり、靴同士を擦り合わせて強引に脱いでいると、履き口のがどんどん広がって型崩れしてしまいます。

きちんと革靴を履くという当たり前の事を、しっかりと出来ている男性は本当に少ないです。宴会などの小上がり席で靴を脱ぎ履きする時に、きちんと靴紐を結び直す男性は多くありません。

適当な履き方をしているようでは、革靴が足にフィットする事など不可能なので、まずはきちんと履くという事を意識してください。本当に人によってはこれだけでも痛みが出なくなるケースがあります。

2 サイズの調節

きちんと革靴を履いても痛みが出る場合は、そもそものサイズが大きく合っていない可能性が高いので、フィット感を上げる必要があります。

これで簡単なのは中敷き(インソール)を変える方法です。厚みのある中敷きを入れる事で隙間を埋める事ができます。

靴の量販店や100円ショップにも、様々な厚みの中敷きが売られているので色々試してみてください。

中敷きの交換は全体的に底上げされるので、相性が良い物だと踵やくるぶしが擦れて痛い場合でも、位置が変わって痛みが和らぐ事があります。

中敷きにも様々なタイプがあり、踵側にだけ厚みをもたせている物や、土踏まずのアーチを持ち上げている物もあるので、色々と試して微調節してください。

それでも踵やくるぶしといった特定の箇所に痛みが出る場合は、スニーカーの内側のようにクッション性をもたせる方法があります。

このような専用品も売られていますし、絆創膏を貼って当たりを柔らかくする方法もあります。これも100円ショップで売られているので探してみてください。

また革靴は履いているうちに足の裏の形に合わせて、靴底(中底)が沈んでいくので、ブカブカになってきた場合も中敷きを替えて調節してください。

3 靴下との相性

革靴のフィット感を上げる方法として、もう一つ有効なのが「靴下選び」です。

靴下は生地の素材によって厚みが結構違うものなので、そのせいで靴のフィット感が変わる事があります。

明らかに厚みが違う冬用のモコモコ靴下という意味ではなく、一般的な靴下でも厚みが結構違うので、靴のフィット感に影響が出てしまいます。

革靴を履く事が多いビジネス用の靴下ほど、薄手の生地で長い傾向があるのですが、よほど目立つ柄やカラーの靴下でなければ問題ないので、革靴がブカブカな場合は厚みのある靴下を組み合わせてください。

逆に窮屈な場合は薄手の靴下を履いてください。靴下選びが適当だと革靴のフィット感に影響がある事を覚えておいてください。

冷え性の人だと冬用に厚みのある靴下を履いているかも知れませんが、その場合はその靴下に合うサイズの革靴を用意するぐらいの配慮が必要です。

仕事用のスーツに合わせる靴下と、プライベートのラフなファッションに合わせる靴下が混同しない事が大切です。

意外とこれも意識している人が少ないので気をつけてください。クッション性のある靴下のおかげでフィットする事もありますが、逆に窮屈になって痛みが出てしまうケースもあるので、相性の良い靴下を揃えるようにしましょう。

4 革靴を馴染ませる

きちんとサイズを合わせた革靴でも、新品の革は硬いので馴染まずに痛みが出てしまうケースもあります。

これは野球のグローブで考えてみると分かりやすいのですが、硬式用の新品の革のグローブはかなり硬く作られています。

一方で衝撃が弱い軟式用のグローブだと、もう少し薄くて柔らかい革が用いられるので、馴染むのも早い傾向があります。

基本的に革靴も良質な物ほど強固な革で頑丈に作られているので、馴染むまでにそれなりの時間が掛かってしまいます。

もちろん革靴のブランドや製法によっても違うのですが、量販店で数千円で売られている安い革靴ほど、革も薄くて構造も弱いだけに、新品時の当たりは柔らかい傾向があります。

革靴を馴染ませるには、単純に履く時間を延ばせば良いのですが、痛みが出るのを我慢してまで履き続けるにはリスクがあるので、少しずつ履く時間を延ばすのが有効です。

痛みを我慢してでも履き続けろという事ではなく、近所の買い物に行く時だけ履くような事です。少しずつ履く時間を延ばして足の形を革靴に馴染ませていくしかありません。

私のお勧めは自宅の中で革靴を履いてしまう方法です。

自宅の中だと激しい動きにならないだけに、片足に全体重がグッと乗るような事もなく、足の指先が伸びて痛みが出る事も少なくなります。

自宅の中なら痛みが出たらすぐに脱げるので、悪化させる心配もありません。

革靴が足に馴染んでいくのは、アッパーの革が柔らかくなっていくだけでなく、靴の中底も足の裏の形に合わせて沈み込んでいくので、自宅の中でも立って体重をかけた方が馴染むのも早くなります。

明らかに窮屈な場合は椅子に座ってもOKです。体重が掛からなければ、痛みはほとんど出ません。

野球経験者なら分かると思いますが、新品のグローブもいきなり練習で用いるのではなく、しばらく自宅の中で手を入れて動かして馴染ませていくように、革靴も少しずつ履く時間を延ばしていく事で、革が馴染んで柔らかくなってくれます。

5 積極的に馴染ませる方法

外反母趾対策や特定の箇所の革を積極的に伸ばす方法として、シューストレッチャーという専用品もあるのですが、

これはよほど上手く調節しないと、自分の足の形と違う形に変形してしまう事もあるので、個人的にはあまりお勧めではありません。

ブカブカの場合はドライヤーの熱を利用して革を縮めるような方法もあるのですが、これも失敗するリスクがあるので、あまりお勧めではありません。

やはり理想は自分の足の形に合わせて馴染んでもらう事なので、履く時間を少しずつ伸ばしていくのが良いのですが、この時に革のメンテナンスも意識してください。

これも野球の革のグローブと同じなのですが、革用の油を塗り込んであげると柔らかくなるのが早くなります。

一般的な靴磨きでも革に必要な油分が補われるので、革が柔らかくなって履き心地も良くなります。

ただ靴磨き用のクリームはワックス成分が含まれていて保護する目的もあるので、このワックス成分がない革用の油を用いた方が、より積極的に馴染ませる事ができます。

革靴用の乳化性クリームが理想ではあるのですが、

基本的に革用の油であれば問題ありません。私はその辺の靴屋やホームセンターでも売られているミンクオイルを使用しています。

これの良いところは、革靴の内側にも使える事です。

靴墨のような塗料やワックス成分がないので、革靴の内側の革も積極的に柔らかくする事ができます。

ただ注意点としては塗り過ぎない事です。そもそも革に必要な油分は僅かななので、薄く薄く伸ばしながら塗りこみ、しっかりと拭き取る事が大切です。

革靴の内側は拭きとりにくいだけに、塗り過ぎにだけはならないように気をつけてください。細かな隙間まで塗る必要はありません。

塗った後は靴下も捨てても良いような物を履いてください。綺麗に拭き取っているつもりでも、油分が残ってしまうものなので気をつけてください。

この革靴の内側に油を塗り込む方法は、あくまでも裏技のような事なので何度も行う必要はありません。

定期的に表側のメンテナンスをしていれば、革の中に油分が浸透していくので、わざわざ裏側から塗り込む必要はないのですが、新しい革靴は放置されている時間が長くて乾燥しているので、外側からだけだと革の裏側まで浸透するのに時間が掛かってしまいます。

この期間を短縮するという意味で、裏側から塗り込む事で革が柔らかくなりやすくなります。

他にも靴底が革の場合も油を塗ってあげる事で、履き心地が良くなるケースもあるのですが、塗り過ぎると滑ってしまったり、柔らかくなり過ぎて削れやすくなってしまうかも知れないので、靴磨きを終えた布に残っている油分で、汚れ落としもかねて軽く拭いてあげるぐらいが丁度良いかと思います。

革は乾燥してしまうと硬くなってひび割れてしまうのですが、だからといってオイルにどっぷりと付けて柔らかくなり過ぎてしまうと、強度が落ちてしまうので、ほどほどにする必要があります。

普通に履いてれば人間の肌から出る水分や皮脂によって適度に補わるのですが、新品の革靴やしばらく放置して乾燥してしまった革靴に限っていえば、裏側からも油分を補ってあげる事で良い状態に戻りやすくなります。

まとめ 革靴の痛みはNG

一般的な靴のサイズは25.5cm、26cm、26.5cmといった5mm刻みですが、これは長さ(足長)だけの目安であり、横幅の広さ(足囲、ワイズ)にも違いがあります。

26EEといった表記を見たことがあるかも知れませんが、このEEが足囲のサイズを表しています。このEの数が増える(EEEや3E)と足囲が広くなるので、新しく革靴を購入する際にはチェックするようにしてください。ただ足囲も広ければ良いというものではないので、現在履いているも革靴のサイズを参考に選ぶのが良いかと思います。

あと靴の形(元となる木型)はブランドによっても微妙に違います。「俺は26cmだから」と決めつけるのではなく、しっかりと試し履きをして確かめてください

洋服のサイズでも同じなのですが、試着なしで確かめる事など不可能なので、革靴の購入前にはしっかりと両足試し履きをして確認してください。

革靴を履いた時に痛みが出た場合の対処法をまとめると、

  1. きちんと履く
  2. 中敷きで調節
  3. 靴下選び
  4. 履いて馴染ませる
  5. 積極的に馴染ませる

になるのですが、革靴が窮屈で痛みが出るケースと、ブカブカで靴擦れを起して痛みが出るケースがあるので、混同しないで対処してみてください。

人によっては本当に靴紐をしっかりと結ぶだけでも解決するケースがあるので、きちんと踵に合わせてから靴紐を結ぶ習慣を身につけてください。

基本的な事ですが、伸縮性の少ない革靴をスニーカーのように靴紐を緩めて履いているようでは、フィットさせることなど出来ません。

靴紐がゆるいスニーカー

どうしても日本に住んでいると靴を脱ぐ機会が多いので、ついつい靴紐を緩めたまま固定したくなってしまいますが、それだけにフィットしていない革靴を履いて痛みや疲れが出てしまう人が多いです。

素早く靴紐を結び直すテクニックといった事も、革靴を履きこなす上で大事なポイントになるので意識してみてください。

もちろん極端にサイズが合っていない革靴は、これらの対処をしても無理なので、潔く買い替えてください。

経済的な問題もあるので、誰もが良質な革靴を購入できるとは限りませんが、手頃な価格帯の革靴から選ぶのであれば、スニーカーのような履き心地の革靴がお勧めです。

この手の革靴が出始めの頃は、明らかに見た目も野暮ったくて残念な感じだったのですが、最近はデザインも悪くないものが増えてきたので、悪い選択肢ではないと思います。

とはいえ、流石にスニーカーと全く同じように選だり、雑に履いているようだと、直ぐに型崩れしてヨレヨレになってしまうので、きちんと履きながらメンテナンスをしてあげてください。

高価な革靴には頑丈な革が使用されており、負担の掛かるつま先や踵部分が強化されているので、簡単に型崩れするような事はありませんが、その分馴染むまでに時間が必要です。

窮屈で痛みが出てしまう革靴や、硬さで痛みが出てしまう革靴であれば、自宅の中で履いて少しずつ馴染ませてください。

革靴の内側に油を塗るのは、何度も行う必要はありません。定期的に外側から油分を補っている革靴であれば必要ありません。

最後にもう一つだけアドバイスをすると、姿勢や歩き方にも意識を向けるようにしてください。カッコよく歩いている男性を観察してみるとよく分かるのですが、スッと胸を張った良い姿勢で大股でスマートに歩いているはずです。

足のつま先の向きや足音もチェックしてみてください。つま先の向きが左右で違ったり、足音も左右で違ったり、リズムがおかしい人も多いです。

ダラダラと小幅でガニ股で歩いていると、フィットしている革靴でも痛みが出てしまうかも知れません。こんな本があるぐらいです。

たかが歩き方と軽視しないでください。痛みが出てしまう革靴で正しく歩くことなど出来ませんが、逆に正しく歩けないと靴底のすり減りに偏りが出来てしまいます

きちんとサイズ合わせをしてフィットしている革靴を履いていても、歩き方が悪いせいで痛みが出るケースもあるので、普段の姿勢や歩き方にも意識を向けてください。

歩き方や姿勢が良くなると洋服も似合いやすくなりますし、身体の健康状態も良くなってくれます。

どうしても日本では靴を脱ぐ機会が多いので、ついつい脱ぎ履きしやすいように、大きめの靴を選んでしまうものですが、靴紐を緩めた状態で履いていると、まともに走ることができないように、まともに歩くこともできません。

まるでフィット感のないサンダルやスリッパだと歩き方まで変わってしまうように、フィットしていない革靴を履いているとまともに歩く事もできません。

フィットしている革靴というのは、全力で走っても不安がありません。これも一つの目安になるかと思います。

足が痛くなる革靴を履いていると様々な弊害が出てしまうので、本当に気をつけてほしいと思います。

靴のせいで健康を害している人は多いですし、姿勢や歩き方が崩れてしまっている人も凄く多いので、今回紹介した方法を参考に、いつでも全力で走れるぐらいフィットした革靴を履いてほしいと思います。

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