「成功は服が決める」レビュー|外見の自己啓発本

ファッションコラム

今回は西岡慎也さんの「成功は服が決める」という本を紹介します。

この本はファッションに興味のある男性全員におすすめしたいと思います。

「成功は服が決める」のサブタイトルに「セルフイメージを上げる男の服選びと着こなし50」とあるように、自己啓発本でもあります。

よくあるファッション本というのは、コーディネートを中心とした内容になっていますが、「成功は服が決める」はそれらによってどのような変化が自分に表れるのかが、よくわかる内容になっています。

セルフイメージとは?

セルフイメージと言う言葉は、よく自己啓発本に使われる用語です。セルフイメージを上げるということは、自分自身に対する評価を上げるということを意味します。エフィカシーやセルフエスティームと表現する場合もあります。

右肩上がりのグラフ

多くの自己啓発本は、何らかの手法でセルフイメージを上げることを目的としています。

例えば「感謝」を利用する場合だと、

  • 神様に守られていると気づく
  • 周囲の人に支えられていると気づく
  • 苦手な相手にしてもらった過去の良い出来事を思い出す

など、解釈を変えて気持ちを落ち着かせるようなことです。それぞれの著者が「これだ!」という手法を主張しています。

どれが正しいというよりも、相性の良い方法と出会えるとセルフイメージを上げやすくなるわけです。

感謝の他にも脳科学的な生体反応を理解し、科学的な根拠を元にセルフイメージを上げたり、集中できない要素の排除(断捨離)だったり、様々なパターンがあります。

「成功は服が決める」は、ここに新しいパターンを加えてくれました。

外見を整えることでセルフイメージを上げる手法です。

カッコイイスーツ

新しい解釈や思考法によるモチベーションアップや、セルフイメージを上げる方法というのは、よほど深く心の奥に染みこまない限り、わりと簡単に書き換えられてしまいます(元に戻る)。

次から次へと新しい自己啓発本を読んだり、セミナー難民なんて言葉もあるように、もっと良い解釈はないかと、堂々巡りをしてしまう可能性があります(経験あり笑)。

落ち込んで涙を流す女性

一方で洋服は書き換えられません。

何かの拍子でセルフイメージを下げるような出来事に遭遇しても、洋服に変化はありません。

もちろん外見が整うことによる効果(周囲からの評価)もそのままです。

これが外見を整えることの強みです。

また多くの自己啓発のテクニックは、周囲の人に伝わるまでに時間差があります。本を読んだ瞬間に本人は内面が大きく変化したと感じていても、必ずしも周囲の人にまで伝わるとは限りません。

もちろん内面に大きな変化があれば、それが表情や姿勢となり、自信に満ちた声色や目つきとしてあらわれてきますが、周囲の人にはられたレッテルを覆すには時間がかかります。

一方で外見から変えてしまう方法だと、その瞬間に変わってしまいます。これが「成功は服が決める」の凄さです。

スピードがまるで違います。

外見から内面へ

実は当サイトも同じようなコンセプトを抱えているつもりです。

内面を正しく判断してもらう為に、外見を整えることの重要性を問いています。

外見を整えることで単純に魅力がアップすることもあるのですが、その前に失われている外見の魅力を取り戻すことが先決です。

それは清潔感だったり、だらしのない格好だったり、TPO(場違い)に合わせることだったり、これ見よがしな格好だったり、相手を不愉快にさせてしまう洋服の着こなしを正すということです。

汗臭い男性

このことの大切さについて、「成功は服が決める」でも深く考察しています。

人は中身が大切だなんて当たり前のことです。その素晴らしい中身を正しく判断してもらう為に、正しく洋服を着る必要があります。

この「正しく」の基準が曖昧だと、どんなにお金をかけても難しいと教えてくれます。

ファッション初心者向けの名著

正直に感想を言うと、この「成功は服が決める」を読んだからと言ってオシャレになるわけでも、成功するわけでもありません。

それは自己啓発本を読んだからと言って、誰もが成功するわけではないのと同じです。

洋服の着こなし例も写真入りでありますが、オーダーメードのスーツが多く、誰にでも参考になるとも言えない内容です。

また紹介している洋服の着こなしテクニックも一般的なものであり、特別なテクニックが紹介されているわけではありません。

もしこの本が女性向けであれば、ほとんど意味がありません。多くの女性は知っていることだからです。

女性は服が大きく印象を変えることを当たり前に理解しています。外見による差別(区別)を小さな頃から身に染みて感じているからです。

女性は小学校高学年ぐらいなれば、残酷なほどかわいい子が優遇される現実にぶち当たります。だからこそ女性は努力に努力を重ねて綺麗になっていきます。

頭皮マッサージをする女性

自分の体型や容姿と向き合います。髪型だけでも、長さやバランス、ボリューム、色など、研究に研究を重ねて成長していきます。成人式や同窓会で再開すると、驚くほど綺麗になっている女性が多いのは努力の証です。

一方で研究を重ねる男性は少数派です。「男は顔じゃない!」とばかりに努力を放棄する方も多いです。

中身が大切なのは当たり前ですが、同じ中身なら外見で選ぶのは当然のことです。同じ価格で売られているリンゴを手に取る時に、虫食いやキズがついているリンゴを選ぶことはありません。

そもそも初対面でその人の中身がわかるわけないので、外見はすごく重要な要素になります。

名刺交換をするサラリーマン

誰もが外見から内面をイメージするようになっています。無意識に過去の経験(記憶)を元に、自分の中で「○○のような人」と分類します。

過去に「だらしのない格好」の人が仕事で失敗をしたとすると、同じような外見の人と出会うと、無意識にダメなタイプと分類してしまいます。

また過去に「オシャレな格好」の人が仕事で失敗していた場合も、同じようなタイプと分類されることがあります。

一方でこれといった特徴がない場合、とりあえず「普通の人」と分類されます。少なくともマイナスにはなりません。

「普通の格好の人」が最も相手に警戒されません。スタートラインとしては最も良い位置です。

ただし、この普通の格好が難しいわけです。人によって普通の基準が違うからです。

これが洋服を正しく着る必要性です。

多くの人に対して悪いレッテルをはられない服装(清潔感のある無難な服)を目指す必要があります。

自分の基準はどうでもいいんです。相手の基準に弾かれない格好を意識する必要があります。

この普通の基準も地域や職場やコミュニティによって違いますが、そこから外れるとスタートから出遅れることになってしまいます。

マラソンのスタート風景

よほど実力のある大天才であれば別ですが、多くの方はそうではないと思うので、スタートから出遅れないようにする必要があるわけです。

そうならない為の重要さを「成功は服が決める」を読むことで、深く理解できると思います。

まとめ 相手の基準に合わせる

「成功は服が決める」というタイトルなので、「素晴らしい洋服を手に入れると成功する」ような印象を受けますが、著者が伝えたいことは「服(外見)によるマイナスのレッテルをはられないようにするとチャンスが増える」ということだと思います。

「成功は服が決める」は、ファッションに興味のある全ての男性に読んでもらいたい内容です。特にファッション初心者の男性におすすめです。

特別オシャレになる情報があるわけではありませんが、そもそも凄くオシャレになる必要はありません。ですが、ダサくならない(ダメな印象に思われない)ことは凄く重要です

そのことについては当サイトでも口を酸っぱくするほど言っているのですが、改めて「成功は服が決める」で勉強させてもらいました。

外見を整えるということは、自分をよく魅せようとすることだけではありません。正しく自分の内面を見てもらう為でもあります。

虫眼鏡を覗く女性

努力を重ねて美味しいラーメンを開発しても、店の外見が汚れているとお客さんに試してもらうチャンスすら訪れません。

お金をかけて改装する方法もありますが、日頃からしっかりと掃除をする習慣がないお店が改装をしても、綺麗な状態は長続きしません。

付け焼き刃ではなく、本質を見極めてほしいと思います。

「成功は服が決める」という本は、外見を整えることの大切さを教えてくれます。

この大切さを知ることで、外見を整えないことのデメリットも理解できると思います。さらには相手を正しく判断する能力も磨かれていきます。

有名な高級ブランドの洋服を着ている相手だとしても、それほど気後れしなくなります。雑な扱いやメンテナンス具合から、その人の内面を感じることができるようになります。

逆に一般的な格好でも、綺麗に磨かれた革靴から伝わってくる情報は膨大です。

きちんと靴べらを使って靴紐を結び直して履いている革靴と、雑に足を押し込んでいたり、脱ぐときに靴同士を擦りあわせていたりする革靴では、まるでオーラ(傷み具合)が違います。

そのような服やモノに対する扱いの大切さを知ると、日ごろの姿勢や歩き方まで変わっていきます。またそのような人に気づいてあげられるようになります。

ビジネスマンの歩き方

自分の変化に気づくことで、他人を評価する基準も変化します。

自分が大切(重要)だと思っていないことは気がつくことができません。目に入っていても認識することができません。

奥さんが妊娠した途端に、街の中のベビーカーが目に入ってきます。無意識が重要な情報だと認識するようになるわけです。

ベビーカーの子供をあやす両親

「人は外見じゃない」と大声で言う方は、その重要性に気づいていないということです。認識する能力がないだけです。

「人は外見じゃない」ではなく、「人は外見だけじゃない」です。正しく内面を判断する為にも、外見を整えることは大切です。

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決して大げさなタイトルではないと思います。

周囲の人に悪い印象を与える服が、成功を遠ざけるのは間違いありません。

内面が素晴らしい人が、外見を疎かにして相手を不快にするわけがありません。

容姿や体型は生まれ持ったものですが、外見の印象というのはその人の内面がよくあらわれているものですよ。

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