男性ファッションにおける姿勢の重要性を理解しよう

ファッション基礎講座

男性ファッションと姿勢の関係

ファッション雑誌で紹介されていたカッコ良い洋服を、きちんと試着をして選んだとしても、普段の姿勢が悪いとカッコ良く着こなす事は出来ません。

誰もが試着室の鏡の前ぐらいであれば姿勢を正す事が出来るものですが、普段の姿勢が悪いと狙っていたフィット感にはなってくれません。

お洒落に洋服を着こなす方法というと、どうしてもコーディネートばかりが話題になってしまうのですが、そもそもの姿勢を正さない事には意味をなさないという事を、しっかりと理解してほしいと思います。

新しい洋服を購入する事よりも、ずっと大切な事です。

私自身もそうだったのですが、どうしてもファッションに興味を持ち出した頃というのは、手っ取り早くお洒落になりそうなアイテムばかりに注目してしまうのですが、それ以前にやるべき事がたくさんあり、その一つとして姿勢を正す事はかなり重要なポイントになります。

崩れた姿勢のデメリット

人間の身体というものは良く出来ているもので、デスクワークなどで長期間崩れた姿勢でいると、それなりに身体が適応するようになります。

猫背になると肩や背中や首の筋肉を使う事になるので、猫背を維持しやすい体型に変化していきます。

すると立ち姿でも背中が丸まりやすくなり、重心が変わってしまうので歩き方まで崩れてしまいます。この循環に陥っていると姿勢を正す事は簡単ではありません。

姿勢を正す為に筋肉を使わなければならないので維持する事が難しく、痛みすら発生してしまう事もあります。

背中が丸まって肩が前に入っていると、それだけで洋服はシワだらけになってしまいます。前に倒れてしまわぬよう腰が引けてガニ股になり、さらにアゴも前に落ちてしまうので首も短く見えてしまいます。

もちろん身長も低く見えてしまいますし、肩幅が狭まって顔が前に出ている分、顔も大きく見えてしまいます。

よく女性が友達と写真を撮る時に、わざと友達を前に出して顔を小顔に見せるような事をしますが、姿勢が悪いと自らの身体を使って顔を大きく見せる事になってしまいます。

姿勢が悪いファッションモデルなどいないように、姿勢が悪いだけで洋服は似合いようがありません。

逆に考えると、姿勢を正す事だけでグッと洋服が似合いやすくなります。試着室で確かめたフィット感に近づき、洋服のシワも減ってスマートな印象になります。

さらに細かな事を言えば、身体の健康状態にも影響があります。背中を丸めていると肋骨がロックされて肺が大きく含めなくなります。呼吸の質が悪化すると疲労回復にも影響が出てしまい、肌の血色や髪質といった要素にも悪影響です。

誰もが深呼吸をする時に自然と胸を張るものですが、姿勢の良しあしによって呼吸の質は大きく左右されますし、内臓の位置も押し付けられて機能が落ちてしまいます。

これといった運動や筋トレをしていなくても良いスタイルを保てている人というのは、普段の姿勢や歩き方が良いからでもあります。お洒落に洋服を着こなしたい男性は、正しい姿勢を取り戻さない事には難しいという事を理解しておいてください。

多くの人はお洒落と向き合っていく事で、遅かれ早かれ姿勢の重要性には気がつく事になるのですが、新しい洋服を購入する為に大枚をはたいてから気づくより、先に改めた方がずっと近道なのでしっかりと理解しておいてください

姿勢を正す方法

姿勢を正す方法といっても姿勢が崩れてしまう原因が人それぞれなので、絶対的な正解があるわけではないのですが、私なりに三つの目安を紹介していきます。

1 靴の影響

まずは靴のフィット感です。スリッパや長靴のようなブカブカな靴だと走る事など出来ないように、フィットしていない靴だと正しく歩く事などできません。

自分なりに正しく歩いているつもりでも少なからず影響が出てしまいます。フィットしている靴の目安は全速力で走れるようなフィット感です。

フィットしていない靴を履いていると、歩き方が崩れて姿勢にも悪影響が出てしまいます。これは女性にも多いのですが、太っているわけでもないのに太ももだけが太い場合、大抵は靴のフィット感がイマイチで歩き方が崩れてしまっているからだと言われています。

まるでフィット感のないスリッパを履いている時の歩き方を想像してほしいのですが、ピンと足を延ばして颯爽と歩くとスリッパが飛んでいってしまうので、そろりそろりと太ももの前側の筋肉を使って足を持ち上げるような歩き方になります。

すると太もも前側の筋肉だけが発達してしまうので太くなってしまいます。スマートな歩き方というのは全身の筋肉をバランスよく使うので、特定の筋肉だけに負担が掛からないのですが、背中が丸まった猫背で歩いていると下半身の筋肉だけで足を動かす事になるので、ますます体型が崩れて歩き方も偏ってしまいます。

どうしても日本だと靴を脱ぐ機会が多いので、ついつい靴紐を緩めた状態で固定してしまっている人が多いのですが、そのような靴というのは重たいスリッパのような状態なので、まともに歩く事など出来ません。

いつでも走り出せるぐらいのフィット感がないと、まともに歩く事すら出来ないので気をつけてください。極端な事を言えば、靴紐をきちんと結び直すだけで姿勢が良くなる人もいます。

崩れた姿勢で歩いていると靴底のすり減り方も偏っていくので、ますますその歩き方を助長してしまうので、その場合は靴を買い替えてください。これは高価な靴である必要はなく、きちんと試着をして靴紐を結び、フィット感を確かめればOKです。

フィットしていない靴では姿勢を正す事など不可能なので、まずはきちんと靴紐を結ぶところから意識してください。

全身の姿勢を正す方法として靴のフィット感から紹介したのは、身体の土台でもあるからです。土台の位置からズレていると上の方を正してもバランスを取る事ができません。

だるま落としでもジェンガでも土台に近い方が傾いてしまうと、上にいくほど大きく傾いてしまうように、土台の傾きを修正しないで上側のバランスを取るのは不可能です。

人間の身体には筋肉があるので、一時的には無理やり筋力を使って支える事ができるかも知れませんが、ずっとそのような状態を続けられるわけではないので、直ぐに元に戻ってしまいます。

無理やり背筋を伸ばすと背中に痛みが出てしまう人が多いと思いますが、まさにこれが土台からバランスが崩れている証であり、筋力だけで抑え込もうとしても上手くいくものではありません

フィットしている靴を履いている事が前提ですが、次に意識してほしいのが足の指の使い方です。

2 足の指の使い方

足の指の使い方もフィットしないスリッパで考えると分かりやすいのですが、スリッパ履いたまま足のつま先で地面を蹴るような動作をしてしまうと飛んでいってしまうので、自然と足の指先を反らせて重心が後ろに下がってしまいます。

するとバランスを取る為に腰が引けてしまうので、まずはフィットしている靴を履くのが大前提なのですが、普段からそのような歩き方をしていた人というのは、なかなか足の指を上手く使って歩けません。

日本人で直立した姿勢で足の指が1本以上浮いている人は男性で6割、女性だと8割もいるという調査結果があります。これは欧米の人と比べてかなり多い数値であり、まさに靴を脱ぐ文化が影響していると言われています。

これは実際に試してみると分かるのですが、直立した姿勢であえて足の指を浮かせてみてください。自然と腰が引けて肩が前に出ると思います。逆に足の指で地面をギュッと掴むようにすると、上半身のバランスも変わるはずです。

女性がハイヒールを履くとスタイルが良く見えるようになるのは、強引に踵を浮かせて足指に力を入れた姿勢になるからであり、その影響が全身に出るからです。

ただハイヒールの場合は強引に足の裏の重心が前に行くだけに、指が窮屈になって外反母趾などになってしまう事があるのですが、フィットしていない靴というのは逆に後ろ重心になって全身の姿勢を崩す要因となってしまいます。

多くの男性も適当に大きめの靴を履いてしまっているので、日常的に足の指を地面を蹴るような歩き方が出来ていません。すると足の指が浮いてきたり、偏平足になってしまいます。

この浮指を改善する方法というと、タオルを足の指で掴むトレーニングや、足の指の握力を鍛える専用のグッズがあるのですが、私がおすすめするのは足の設置具合を意識に上げる方法です。

足の踵から地面に着地し、徐々につま先側に重心が移っていく流れを意識に上げるだけで、きちんと足の指で地面をギュッと掴む感覚を取り戻す事ができます。

長年崩れた姿勢で歩いていると、まるで足の裏を意識に上げられないかも知れないので、その場合は一時的に足の裏や指先の筋肉を刺激して鍛えるのも良いとは思いますが、基本的には普段の歩き方を意識にあげる事で自ら改善していく事が可能です

バランスよく足の裏が地面に設置して歩けるようになると、自然とその為に必要な筋肉が鍛えられますし、上半身の姿勢も自然と整っていきます。

私自身も浮指を改善するグッズを試した事があるのですが、これを装着すると目線の高さまで変わってしまうほどの効果がありました。たかが足の指の筋肉の使い方の違いで、全身の姿勢に影響がある事を覚えておいてください。

そしてこの足指と同時に意識してほしいのが、お尻の筋肉の使い方です。

3 お尻の筋肉の緩み

お尻の筋肉というのは骨盤の位置を支える上で重要な筋肉であり、お尻の筋肉が衰えていると骨盤も倒れて上半身が曲がりやすくなってしまいます。

このお尻の筋肉が衰えてしまう原因というのも正しく歩けていないからであり、良い姿勢で正しく歩けるようになると、自然と刺激が加えられて鍛える事ができます。

このお尻の筋肉によって姿勢が変化する様子も実際に試してみてほしいのですが、座っている姿勢でも良いので自分なりにお尻の筋肉に力を込めてみてください。

背中を丸めた状態だと力を入れにくいので、力強く力を込めようとすると、自然と骨盤がグッと入るはずです。この骨盤の向きが凄く重要なのですが、あえて骨盤を倒したまま胸を張ってみてください。無理やり肩や首の筋肉を使って持ち上げる事になるので辛い姿勢になるはずです。

一方でお尻の筋肉に力を込めて骨盤を起き上がらせてみると、自然と胸を張った姿勢になっているはずです。肩や首に違和感もないので疲れません。これは立ち姿でも同じで、軽くでいいのでお尻の筋肉に力を入れると骨盤が正しい位置に導かれるので、上半身の姿勢を意識せずとも良い姿勢に導かれていきます。

だるま落としやジェンガのように土台に近いところが狂っているとバランスは取れません。かなり前に姿勢矯正シャツを試した事があるのですが、足元や骨盤が崩れたままなので無理やり上半身の姿勢だけを補正する事になり、少し着ているだけで肩や背中に痛みが発生してしまいました。

逆に足元や骨盤の向きを意識できるようになってからこのシャツを着てみると、全く痛みは出ませんでした。わざわざシャツに引っ張られる事がないので当たり前なのですが、ただただ締め付けがあるだけの不快なシャツになってしまったので手放しました。

これはあらゆる姿勢矯正グッズやマッサージにも当てはまる事なのですが、それらに頼らないと良くならない状況を改善しない事には解決しないので、根本的な問題に向き合う必要があります。

日頃からフィットした靴を履き、軽くお尻の筋肉に力を込めて骨盤の位置を正し、足裏の重心が踵からつま先まで綺麗に流れるように意識して歩くようにすると、自然と全身の姿勢が良くなり、その為に必要な身体の筋肉に刺激を与えられるようになります。

すると長時間のデスクワークのような時でも良い姿勢を保ちやすくなるので、洋服の生地に引っ張られて疲れるような事も無くなっていきます。

まとめ 姿勢も基礎が大事

ファッションも基本的な事を疎かにしていると、付け焼き刃のような残念な印象になってしまいますが、姿勢を正す方法というのも姿勢矯正シャツのようなものに頼ったり、無理やり胸を張ったところで解決する問題ではありません。

正しい姿勢を知る為に一時的にグッズに頼るのであれば悪くはないのですが、常にそれを使用していないと正しい姿勢を維持できないままだと、根本的な解決にはなりません。

私が使用していた足指を改善するグッズも悪くなかったのですが、

これを使用せずとも同じような姿勢で歩けるようになる事が重要なので、そこは間違えないでください。全く足の指先を意識できないという人であればお勧めですが、必ずしも姿勢を正す為に必要なアイテムではありません。

ただ他の姿勢矯正グッズを試すぐらいなら、浮指を改善するグッズは安価なので悪くはないと思います。伸縮性のある素材なので寿命が2ヶ月ぐらいしか持たないのですが、むしろその期間内に正しい姿勢を認識するぐらいの方が良いと思います。

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浮指が改善されるとO脚やX脚が改善されて足が長く見えるようになりますし、そこのお尻の筋肉に軽く力を込めて骨盤が起き上がらせると、上半身の姿勢が良くなって前に落ちていた首も上がるので、普段から見える景色が変わってきます。

普通に歩いていても目線の下に靴が入ってこなくなります。大股で歩いた時に靴先がチラっと見えるぐらいにしかならないのですが、背中を丸めて歩いている人だと常に靴全体が視線に入ってくるはずです。

男性ファッションを紹介する基礎講座で姿勢の事ばかりが紹介されて物足りないかも知れませんが、本当に大事な事なのでしっかりと理解してほしいと思います。

姿勢が良くなるだけでスタイルが良く見えるようになり、上着の重みがバランスよく肩に乗る事で疲れにくくなり、肌の血色といった人間的な魅力にも影響があるので軽視しないでください。もちろん洋服のシワが減ったり、靴底のすり減り方にも影響があるのでお洒落な見た目にとってもメリットがたくさんありますよ。

日頃からモデルさんのように綺麗に歩けるようになると、通勤やトイレ休憩で少し歩くだけでも全身の筋肉に刺激が与えられて血行が良くなりますし、わざわざスポーツジムに通って鍛えなくても良いスタイルを維持できるようになるかも知れません。

狭まっていた肩幅が広がると普通に歩いているだけで自然と腕が振られるようになり、肩こりや首こりといったものも改善されていきます。

ここまで説明しても納得できないという人は、あえて姿勢を崩して歩いてみてください。腰を引いて背中を丸めて歩いてみると、まるでゾンビのようなアンバランスな歩き方になるはずです。歩幅も狭くなるのでガニ股になり、上半身もユラユラと揺れてしまうはずです。

ここまで姿勢や歩き方が崩れてしまっている人は滅多にいませんが、大なり小なり影響が出ているで、改めて日頃から自分の姿勢や歩き方を意識に上げるようにしてください。

私が見る限り、世の中の9割以上の人がまともに歩けていません。歩き方を改善するだけで姿勢が良くなり、見た目の印象が良くなる可能性がある人は少なくありません。

姿勢が良くなると手持ちの洋服でもグッと似合うものが出てくるかも知れませんし、その後に新しい洋服を購入するにしても選択基準が変わってくるはずです。

もちろん姿勢を良くする為に適度な運動や筋トレをするのも良いのですが、普段の身体の使い方を改善しない事には、マッサージのような一時的な効果しか期待できないので、完治するまでもっていくのは難しいです。

長時間のデスクワークによる肩こりだって、毎日のようにマッサージに通えば状態は悪くならないのかも知れませんが、そんな事は現実的ではありませんし、正しい座り姿勢やデスク周りの環境を整えて肩がこらない状態を意識した方が根本的な解決につながるはずです。

お洒落なファッションにも姿勢を正す方法にも近道はありません。基本的な事と向き合わない限り、根本的な解決にならないばかりか、余計なお金ばかり掛かってしまうので気をつけてください。

ファッション初心者の男性こそ、この現実をしっかりと理解してください。散々遠回りして無駄なお金を使ってしまった先輩からのアドバイスです。

この前の講座で紹介した全身が写る鏡もそうなのですが、多くの男性は自分の姿がどう見られているか理解していません。だからこそ、お洒落なファッションアイテムさえ購入すれば良いと考えてしまうのですが、その前にやるべき事がたくさんあります

姿勢を良くする方法というのもその一つであり、男性ファッションにとって本当に重要な事なので理解してください。今回私が紹介した三つの目安(靴の影響、足指の使い方、お尻の筋肉)の他にも色々と良い方法があると思うので、自分の姿勢が崩れてしまっている要因と向き合いながら相性が良い方法を探してみてください。

デスクワークの人ならPC用の視力を調節した眼鏡が適しているかも知れませんし、モニターの高さ調節や使い勝手の良いキーボードに変える事で、姿勢が崩れてしまう要因を減らす事になるかも知れません。

ノートパソコンだって専用のラックに載せてキーボードを別にするような事も出来ます。意外とやるべき事がたくさん見つかるものですよ。

お洒落な印象に見えるファッションというのも、何か特別なアイテムを身につけているからではなく、マイナス要因を排除していった結果、バランスが良くなってお洒落に見えるようになるのであり、姿勢が崩れてしまう要因を排除していく事も大切です。

そういった基本的な事と向き合う事で、少しずつ良い姿勢を取り戻す事につながり、巡り巡って洋服が似合いやすい正しい姿勢へ導かれていきます。

適当に大きめの靴を履いて靴紐を緩めてしまっているようでは、いつまで経っても本質的なお洒落にはつながっていかないので気をつけてください。

次は多くの男性が勘違いしている清潔感について紹介します。男性が考えている清潔化と女性が期待している清潔感には大きな隔たりがあるだけに、多くの女性が好きな男性のタイプを上げる時、「清潔感のある男性」が上位にランクインされてしまいます。

これはそれだけ多くの男性の清潔感が不十分だという証でもあるので、しっかりと認識を改めてください。

次は:Ⅰ-3 女性が男性ファッションに求める清潔感