カンブリア宮殿のSADAスーツ特集が面白かった!

ファッションコラム

格安オーダーメードスーツのSADA

少し前にカンブリア宮殿というテレビ番組の中で、格安オーダーメードスーツで人気のSADAが特集されていました。

番組内容は赤字転落していたSADAが、格安のオーダーメードスーツに活路を見いだして立て直していった経緯だったのですが、私が面白いなと感じたのはSADAオーダーメードスーツを取り入れたある会社の営業成績が、前年比で2割ぐらい伸びたというものです。

そこは外国車を扱うディーラーの営業マンという事もあり、お客さんにより誠実さをアピールできるようになったからとの事のようでした。

さらに素晴らしかったのが、社長さんが

「真のオシャレは おもてなしのため 相手のためにするもの」

と発言していた事です。

自分の好きな恰好をするのが必ずしも悪いわけではありませんが、基本的に身なりというのは着ている本人には見えませんし、やはり相手からの視点を無視してしまうと、自分よがりな恰好になってしまいます。

相手から自由気ままに生きていると思われたい人であれば、あえてそのような服選びをする事がプラスに働く事もありますが、一般的な仕事だとマイナスに働く事の方が多いものです。

女性とのデートで着る洋服といったものでも、場違いなものだと相手の女性は嫌がりますし、デートで訪れたお店からも喜ばれません。

それこそ不潔な洋服だったり、全く似合っていない洋服は論外ですが、あくまでも着飾るのは相手のためという事を意識できるようになると、一つ上のレベルの着こなしになるものです。

採寸の技術

さらに面白かったのが、SADAの熟練職人さんによるオーダーメードスーツの採寸でした。

身体のサイズを計測するだけ(ヌード寸)であれば、研修を受ければ一日で出来るようになりますが、そのままスーツを仕上げてもスーツ姿としてカッコ良くなるとは限りません。

顧客が求めているスーツ姿をヒアリングし、そのイメージに近づける為の微調整の技術が優れていました。

本格的なオーダーメードスーツとなると、仮縫いといって軽く縫い合わせて全体像を仕上げてからフィット感や顧客の好みと合わせ、それから最終的な縫製をするのですが、格安オーダーメードスーツを実現しているSADAでは、熟練の職人さんによる採寸の技術によって一発で決めているようでした。

モデルのような立派な体型の持ち主であれば、普通に採寸して身体のボディラインに沿ったサイズで仕立てるだけでカッコ良くなるかも知れませんが、多くの一般男性はそのような体型ではないので、上手く調節してくれるわけです。

一般的な洋服選びでもきちんと試着をする事で、この辺のバランスを見極める事が重要なのですが、多くの一般男性は適当に試着を済ませてしまうので、どこかバランスの悪い残念な着こなしになってしまうものです。

試着のスキルを身につけるためにも、格安のオーダーメードスーツを試してみるのは良い機会になるのではないでしょうか。

大手の参入

そしてさらに素晴らしいと感じたのが、SADAの格安オーダーメードスーツの成功のおかげで、大手紳士服店が続々と格安オーダーメードスーツに参入してきた事です。

どんなにSADAのオーダーメードが素晴らしいとしても、ある程度大きな街にしか出店していないので、全ての人が気軽に試せるわけではありません。

一方で全国の小都市にも出店している大手紳士服店で同じような事が出来れば、日本全国のサラリーマンがフィットしたスーツを手に入れられるようになるわけです。

一度でもそのフィット感や着心地を知ってしまうと、吊るしのスーツとは雲泥の差を感じる事ができますし、普段の洋服選びといったものでもフィット感や着心地に意識が向くようになるので、格段に着こなしのレベルがアップする可能性があります。

これは本当に素晴らしい流れだなと、カンブリア宮殿を見て感心してしまいました。

似合う洋服とは

私服姿がダサいお父さんでもスーツを着るとカッコ良くなる事が珍しくないように、一般的な洋服のようにSMLといったサイズ展開しかない洋服より、細かくサイズが分けられているスーツの方が、自然と似合う可能性が高くなります。

だからこそ当ブログではサイズを合わせやすいジャケパンスタイルを勧める事が多いのですが、自分の好きなファッションをしたいという男性の心には、なかなか届いてくれません。

それこそ相手のためという視点を持つ事ができれば、自分よがりな服選びにはならないのですが、一度でもしっかりとスーツと向き合う事が出来れば、フィットした洋服の魅力が分かるようになるのではないでしょうか。

そもそも洋服が似合っている人というのは、何か特別なアイテムを身につけているからではありません。

似合っている事よりも、似合っていない要素や違和感がない状態だからこそ、どことなく似合っていると感じられます。

そういう意味ではカンブリア宮殿に登場していたSADAの社長さんが身につけていた腕時計が、かなり大きくて目立っていたので違和感がありました。

参考腕時計が似合わない人の特徴

せっかくのオーダーシャツの袖が隠れてしまい、ピタリと合わせた意味が無くなってしまっていました。

もちろんこれらの違和感はTPOにも当てはまります。どんなにスマートに似合っているスーツでも、お葬式のような場だと不釣り合いという事もあります。

個性が大事と叫ばれる事が多い時代になりましたが、個性というのはまともな部分があってこそキラリと輝くのであり、自分よがりな個性は誰からも評価されません。

相手が期待している人物像を意識する事が出来ないと、いつまで経っても着こなしのレベルは上がっていきません。

「オーダーメードのスーツさえ着ればいいんだろ!」

と考えるだけでは足りません。普段の姿勢や所作やメンテナンスといった事も含めて向き合う事がないと、オーダーメードの魅力もメリットも活かせません。

腕時計といったものでも「ロレックスさえしとけばOKだろ」程度の認識だと、ファッションとのバランスやTPOを無視してしまう事になってしまいます。

逆に言えば、これらとしっかりと向き合っている人であれば、必ずしもオーダーメードの洋服でなくても、違和感なくスマートに着こなす事が可能です。

オーダーメードスーツを試してみるのは素晴らしい経験になりますが、それだけで満足するのではなく、より上のレベルを目指してほしいと思います。

まとめ 違和感を無くすメリット

人の好みはそれぞれなので、個性的な要素というのは諸刃の剣です。

ロン毛の男性が大好きな女性であれば、ロン毛が有利に働く可能性があるわけですが、その他多くの女性からは嫌われる要因となってしまいます。

坊主頭でも茶髪でも同じです。突出した個性というのは、特定の相手にしか通用しません。

一方で誰からも嫌われない清潔感のある恰好やフィットした洋服というのは、一部の人から強烈に好かれる事がなくとも、嫌われる事もありません

初対面の女性に「生理的に無理!」と思われてしまうと、よほどの事がない限りひっくり返す事など出来ないように、初手で嫌われてさえいなければ、その後にチャンスが巡ってくる可能性が残ります。

これは普通のファッションのメリットであり、違和感がない(似合っている)ファッションの凄さです。

芸能人やミュージシャンのように、何か特別な魅力がある人であれば、個性的な要素も魅力の一つとして昇華するのですが、多くの一般人のように事前情報がない人にとっては、ただただ違和感としてしか機能しません。

容姿や身長は変えられませんが、身なりで損をしてしまっている男性は少なくありません。しかもその事に気づいてもいません。

特定のコミュニティ内や職種に合った個性は構いませんが、そのような個性を普段から押し通してしまうと、損する機会が増えてしまいます。

極端な事を言うとタトゥーのような事です。銭湯や温泉や海やプールといったところにも行けなくなってしまいますし、夏場でも頑なに生地の厚い(透けない)長袖を着ていると、やはり違和感が漂います。

そのような違和感を察知した人からは、どうしても避けられてしまいます。

ヴィンテージもののファッションも分かりやすいと思います。仲間内からは評価されるかも知れませんが、その他多くの人からは、ただただ汚いものとして認識されてしまいます。

プライベートでそのような好みを楽しむのは自由ですが、タトゥーや髪色のようにコントロールできる余地が少ない個性を取り入れてしまうと、何かと損する機会が増えてしまいます。

一方でファッションや髪型のセットを変えるぐらいであれば、TPOに合わせる事ができますし、相手のための真のオシャレとして機能します。

オーダーメードスーツの魅力というのも同じで、過剰なほど個性的な要素を取り入れてしまうと、どんなに似合っていても違和感が出てしまいます。

あくまでも普通の凄さを理解するという意味では、オーダーメードスーツに挑戦する事は良い経験になると思いますが、その経験が身になると必ずしもオーダーメードでなくても似合う洋服が見つけられるようになります。

私はSADAのオーダーメードスーツを所有しているわけでもないので、良しあしを判断する事はできませんが、大手紳士服店も含めて格安のオーダーメードが普及してきているので、機会があれば試してみるのも良いと思います。

自分の身体に違和感なくフィットするサイズ感やシルエットが理解できると、普段の洋服選びでも確実に役に立ってくれますよ。

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