靴磨きにもTPOがある!?磨き過ぎにはご用心

ファッションコラム

ピカピカの靴が必ずしも良いとは限らない

当ブログでは靴の手入れについても色々と紹介しており、靴磨きによって学べる事や気づきが得られる事など、様々なメリットについて紹介してきました。

ただピカピカに光り輝く靴が、必ずしも良いというわけでもありません。

私自身もファッションに興味をもつようになり、靴磨きの楽しさにハマっていた頃というのは、ピカピカに輝く鏡面磨きこそが正義だとばかりにこだわっていた事があるのですが、現在は軽くしか行っていません。

ピカピカに光り輝く靴が良くないケースで分かりやすいのは、通夜や葬式のような法事の時です。華やかさが出てしまうと喪に服す感じではなくなってしまいます。

これはバッチリとオシャレな髪型にセットするような事なので、時と場合によっては、あまり良い印象にはなりません。

もちろん薄汚れた革靴だったり、寝ぐせ頭が良いわけでもないのですが、バシッと決めることが適さない場もあります。

実はビジネスのような場でも、靴磨きのやり過ぎがリスクになる事があります。

これは女性が求める男性の清潔感のバランスで考えると分かりやすいのですが、清潔感のある男性は人気でも、潔癖症の男性は人気ではないような事です。

鏡面磨きもほどほどに

先日、私が勤めている会社に訪れてきた営業マンがとてもお洒落で私は感心していたのですが、周りの女子社員からはまさかの不評でした。

その理由が、

  • カッコつけ過ぎ
  • チャラくて信用ならない
  • 上辺だけの奴

といった感じで、彼を警戒するような意見ばかりで驚きました。彼はお洒落ではあるのですが、特別イケメンというわけでもなかったので、初めは容姿が理由なのかと思っていたのですが、どうもそうではないようでした。

「あんな靴を履いてるナルシストはキモい」

のような発言まであり、私自身も少しショックでした。彼の履いていた革靴はアンティーク調の一枚革のホールカットで、それは見事に光り輝いていました。

革靴の鏡面磨きはつま先と踵を少し輝かせるのが定石なのですが、彼の黒い革靴は新品のガラスレザーのように前面が光り輝いていました。

結婚式のような華やかな席では、その魅力を存分に発揮できるかも知れませんが、初対面の人に信用してもらう必要があるビジネスの場では、やり過ぎるとマイナスに働いてしまうケースがあるという事です。

もちろんビジネスの場といっても様々なので、お洒落である事や清潔である事が求められる職種であれば有利に働くかも知れませんが、私が勤めている会社はそのような業種ではないので、ファッションに敏感な女性ほど、やり過ぎ感を察知して信用を落とすことになったのかも知れません。

女性はこの辺のバランス感覚に非常に長けているので、ビジネスの場でセクシーさを醸し出す女性に対して厳しいものですが、男性ファッションに対しても見極められるのだと感心しました。

私自身も靴磨きの奥深さについて、改めて考えさせられる出来事となりました。

革靴のTPO

靴磨きの楽しさにハマると、とにかくピカピカに磨きたくなる気持ちは理解できるのですが、やり過ぎには注意が必要です。

これは車で考えてみても分かりやすいかも知れません。初めて新車を購入した人が休日の度に丁寧にワックスをかけて磨くような事です。これも私が経験している事ですが、綺麗すぎる車は同乗者に嫌われてしまいます。

汚い車より綺麗な方が良いのは間違いないのですが、極端に綺麗過ぎてこだわりを感じてしまうと、周囲に気をつかわせてしまいます

たまに車内を土足厳禁にしている人がいますが、私なら二度と乗りたくありませんし、女性側もそのような判断をする人が多いです。

これは靴磨きやファッションの清潔感にも当てはまります。汚い洋服や靴が良いわけがありませんが、綺麗過ぎてこだわりの強さを感じられると、なんとなく面倒な人物といった印象になってしまいます。

この辺のさじ加減は人によっても違うので、一概に正解があるわけではないのですが、相手側が期待しているレベルを上回り過ぎても、避けられる要因となってしまう事があります。

ファッションのTPOを意識している人は少なくないですが、「葬式は黒いスーツに黒いネクタイに黒い革靴さえ履けばいいんだろ」程度の認識の男性も多いので、細かく見ていけばミスを犯しているケースは珍しくありません。

法事に平気で金の腕時計をしてくる男性もいますし、華やかなデザインのローファーや光沢のあるエナメルの革靴を履いている男性もいます。

ネクタイの結び目にディンプルが出来ている人も珍しくありませんし、シャツの生地も華やかななヘリンボーンだったり、カジュアルな要素が強いデザインのボタンダウンシャツという人もいます。

そんな細かなところまで合わせる余裕はないといった意見もあるのですが、どれもお金が必要なわけではありません。ちょっとした気遣いで対処出来る事ばかりです。

喪に服すような場であれば、金ぴかの腕時計よりホームセンターで売られている1000円ぐらいのシンプルな針時計の方がよっぽど適していますし、靴の量販店で売られている3000円ぐらいのシンプルなプレーントゥやストレートチップの方が、高価なローファーよりも適してきます。

ネクタイの結び目を変えるのにお金は一切かかりませんし、シャツだって安物の方が余計な光沢が無くて良いかも知れません。

TPOといっても自分をアピ―ルする為のものと、相手への敬意が求められるケースがあるので、しっかりと使い分ける必要があります。

靴磨きのバランスもここに含まれています。

照明が薄暗いバーの中であれば、鏡面磨きで光り輝く革靴が映えるものですが、昼間の明るい環境だとギラギラし過ぎて鬱陶しさや暑苦しさを感じる事があります。

これは明け方のホステスさんで考えると分かりやすいかも知れません。ホステスさんの髪型やメイクやファッションというのは、夜の妖しげな照明の下だからこそ輝くものであり、明るいところで見てしまうと、かなりケバい印象になってしまいます。

男性だって濃いメイクの女性が好きな人は多くないはずです。どちらかといえばナチュラルメイクを好むのではないでしょうか。

だからといってすっぴんが良いわけでもありません。初めてのデートで部屋着のような恰好ですっぴんで来られると、その程度の男としてしか見られていないのだと悲しくなります。

これは女性側も同じで、男性に清潔感のないずぼらな恰好で来られてもイヤですが、だからといってキメキメのファッションで来られても困ってしまいます

しばしば男性ファッションでもやり過ぎになっている人がいるものですが、「俺ってお洒落だろ?」という印象を強く受ける男性というのは、ビジネスのような場だと相手に避けられてしまったり、女性受けも悪くなるので、実際には誰の得にもなっていない事があります(本人は満足しているのかも知れませんが)。

靴磨きのTPOというのも同じで、ピカピカに磨かれているのが必ずしも良い結果になるとは限らないので覚えておいてください。

靴磨きの楽しさにハマるとピカピカに輝かせたくなるものですが、その革靴を履いていくシーンに合わせて、磨き具合も調整できるようになってほしいと思います。

まとめ バランス感覚

テレビの芸能人や雑誌のファッションモデルのお洒落というのは、かなり特殊な場だからこそ許されるファッションでもあります。

彼らだってプライベートでそのような目立つ恰好をしているわけではありませんし、一般人がそうそう出くわすシーンではないので、意外なほど参考にならないものです。

オシャレな街の南青山に似合うファッションというのは、その他の街だと浮いてしまって評価を下げる事になってしまうかも知れません。

オシャレな髪型もプロは撮影前や撮影中に頻繁に整えられるからこそ良い状態(90点以上)をキープできますが、一般の人が同じような髪型にしてしまうと、崩れた状態(60点未満)でいる時間が多くなって損してしまいます。

一方で風の影響を受けにくい無難な髪型(80点)であれば、常にそれなりの状態をキープすることが出来るようになり、結果的に高評価につながる事が多くなります。

100点を目指すことが悪いわけではないのですが、その状態をキープできるのは鏡の前や限られた場だけなので、無理に背伸びし過ぎてしまうと、平均すると80点にも満たなくなって損してしまう事が珍しくありません。

いわゆる王道のファッションや髪型というのは、本当に良く出来ています。多くの人がそれなりの点数を簡単にキープしやすいので、中途半端な背伸びをしてボロが出てしまっている人よりも、平均すると高得点(良い印象)になる事が多いです。

これは車の色で考えてみると分かりやすいのですが、ほとんどの車にも設定されているシルバーという色は、細かな傷や水垢が目立ちにくいだけに、簡単な洗車だけでも良い状態をキープしやすい傾向があります。

一方で車好きの人ほど変わった色を選んだり、白でも光沢のあるパールホワイトなどを選ぶのですが、すると小まめに洗車をしたりワックスをかけたり車庫に保管しないと、良い状態をキープできなくなって不潔な印象になってしまいます。

もちろん王道のファッションやシルバーの車だって、何もメンテナスをしなくても良いわけではないのですが、中途半端な背伸びをしたせいでメンテナスが難しくなり、結果的に清潔感を保てなくなるようなケースは珍しくありません。

この辺のバランスは靴選びにも当てはまるのですが、王道の黒のストレートチップを選んでおけば、大抵の場に対応する事ができますが、個性的な靴を選んでしまうと、TPOに合わせるのが難しくなってしまいます。

もちろんTPOに合わせて使い分ければ良いのですが、芸能人のように撮影現場に合わせて衣装を変えてくれるスタイリストがいるわけでもないので、バシッと一ヵ所にだけ合わせてしまうと、その他の場所で場違いになりやすくなってしまいます

運転手付きの車の後部座席に乗っている人であれば、バシッと決めた恰好でコンビニの中に行く事もないですし、電車に揺られる事もないので、耐久性よりも見た目を重視した高級生地や高級革のアイテムでも良いのかも知れませんが、多くの一般人はそのような環境ではないはずです。

満員電車の中で誰かに靴を踏まれてしまう可能性もありますし、ちょっと雨が降ってきたからといって、誰もがタクシーで済ませられるわけでもありません。

もちろんTPOを全く無視したファッションは論外なのですが、バシッと合わせ過ぎる事にもリスクがあり、多くの一般人にってはそのリスクを回避する事が難しいだけに、80点ぐらいの万能なアイテム(定番のファッション)の方が、結果的に平均点を保ちやすくなります

靴磨きのTPOというと少し大袈裟な表現になってしまいますが、ピカピカに磨いてしまう事もリスクになってしまう可能性があるので、この事を頭の隅にでも入れておいてください。

最近はYouTubeなどで靴磨きの解説動画が簡単に見つけられるだけに、鏡面磨きといったテクニックも取り入れやすくなっていますが、それが活きる場面などそうそうあるものではないので、あまり極端な事はしない方が良いかと思います。

女性とのデート中に雨が降ってきた時に、靴の汚れを気にして行動範囲が狭まってしまうと、「私よりも靴の方が大事なんだ・・・」とイヤな気持ちになってしまうかも知れません。

彼女よりも愛車を大切にして愛想をつかされる男がいるように、お洒落にこだわり過ぎるのもリスクになるので、気をつけてほしいと思います。

土足厳禁の車が女性に不人気なように、ファッションからでも潔癖症や完璧主義者といった印象になってしまうと、相手によっては避けられる要因となってしまいます。

もちろん汚い靴や車が良いという意味でもないので、そこは勘違いしてほしくないのですが、上手くバランスを取ってください。普段はほどほどに綺麗にしておくだけで十分なのかも知れません。

銀座の飲み屋に運転手付きの車で通える大企業の重役であれば、自宅に戻ってお風呂に入って着替えてから行くので、飲み屋で映える恰好や靴に変えてTPOに合わせる事ができますが、多くの一般人には難しいはずです。

それでも髪型をセットし直したり、ネクタイを結び直したり、ボディシートで汗を抑えたり、靴磨きシートで軽く磨いたりすることであれば、それほど難しい事ではありません。

バシッとTPOに合わせた100点を目指す事は難しいですが、80点をキープするような努力はできるので、この辺のバランス感覚を磨いた方が結果的に有利に働く事が多いのではないでしょうか。

多くの女性はケバいメイクをしているわけではなく、ナチュラルメイクをしているものですが、彼女らは小まめにトイレの鏡の前でメイク直しをしています。

靴磨きといったものもバッチリと仕上げる事が悪いとは言いませんが、靴を脱いだ後にサッとブラシやシートで汚れを落とし、磨くのはたまにで十分かと思います。磨き過ぎにはご用心ですよ。

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