手っ取り早くオシャレになる方法!は実は遠回り
手っ取り早くオシャレになる方法?
少し前にある雑誌の企画で「手っ取り早くオシャレになる方法」というものが紹介されていました。
簡単に内容を紹介すると、
- ○○のパンツで足スッキリ
- ○○の痩せ見えシャツが最高!
- 今は○○のスニーカーがきてる!
といった感じで特定のアイテムばかりを紹介しており、凄く違和感がありました。単なるタイアップ記事にしか見えません。
その雑誌はファッション誌ではなく、生活雑誌の一部のコーナーとして取り上げられていたのですが、その通りに真似ても手っ取り早くオシャレになれるとは思えません。
これは料理のレシピで考えると分かりやすいのですが、誰もが同じレシピで調理しても同じ味になるわけではありません。
食材も違えば調味料も違います。火加減なども微妙なものですし、レシピの通りに調理を作ったとしても、誰もが同じ味の料理になるわけではありません。
そもそもその料理の美味しさを知らない事には、それで良いのかも判断できません。一度も食べた事がないタイ料理をレシピ通りに作ったとしても、期待していた味にはならないものです。
オシャレになる方法というのも同じで、特定の方法だけに囚われてしまうと、肝心な事を見落としてしまいます。
正解などないと理解しよう
そもそも何をもってオシャレな印象になるかと定義する事は出来ません。流行に合わせている事をオシャレだと判断する人もいれば、特定の目立つアイテムをオシャレだと感じている人もいます。
同じような考えの人からはオシャレだと評価されるかも知れませんが、そうでない人からはむしろ残念な印象に映ってしまいます。
どんなに見事なタイ料理を作れたとしても、全ての人がタイ料理を好きなわけでもないですし、辛い物が苦手な人からすると相手にされません。
日本で繁盛しているタイ料理屋というのは、現地の味を忠実に再現しているわけではなく、日本人向けに辛さや量や盛り付けを合わせています。
海外で人気の日本料理屋も同じです。現地の人に馴染みのある味や香りにアレンジしていたり、大盛りだったりするわけです。
しばしばオシャレ好きな人が、ファッション雑誌で紹介されているような最新のオシャレを取り入れているものですが、大抵はどこか滑稽に見えてしまうのは、このバランス感覚が欠如しているからです。
東京の南青山に住んでいる人であれば似合うファッションだとしても、下町に行けば浮いてしまうかも知れませんし、下町で粋なファッションとして認知されたいのであれば、また違った観点から考えなければなりません。
要はTPOという事になるのですが、それだってよほどピンポイントで合致しない限り、分かりやすく目立つアイテムというのはリスクになります。
例えば喪服をスマートにカッコ良く着こなしても意味がないような事です。お通夜にバッチリメイクの女性が現れると浮いて見えてしまうように、やり過ぎる事でバランスが取れなくなる事もあります。
ファッション雑誌のコーディネートや料理のレシピを参考にするのは構わないのですが、判断基準がそれだけだと、どこかバランスが崩れてしまうものです。
料理上手は味見上手
料理が上手な人というのは、頻繁に味見をしながら微調整しています。一方でレシピ通りに作っても上手くいかない人ほど、全く味見をしていません。
そもそもの正解の味が分からない事には、味見をしても微調整できないかも知れませんが、少なくとも自分の好みの味付けに寄せるぐらいはできるはずです。
この味見を繰り返しながらバランスを整えていく経験こそが、料理の腕を上達させる上で重要になるのですが、これはファッションにも当てはまる要素です。
購入前の試着や鏡の前でコーディネートを確かめるような作業です。
ろくに試着もしないで洋服を選んでいると、この経験が得られないので、どこかイマイチな着こなしになってしまいます。
コーディネートというのは、料理でいうところの盛り付けに当たるところであり、そもそもの食材の切り方がイマイチだったり、色味が悪くなってしまっていると、どんなに綺麗な器に盛りつけても美味しそうに見えません。
センスの良い人であれば、彩りの為の備え付けの野菜のようなもので、それっぽく仕上げる事も出来ますが、これはファッションでいうところの着崩しに該当します。
サイズ感がイマイチなシャツの袖を腕まくりしたり、長過ぎるズボンの裾をロールアップするような事であり、それはそれで有効なテクニックではあるのですが、そもそもしっかりと試着をしてフィットしたものを選んでいれば不要な要素になります。
数年前からジャケットの腕まくりまで着こなしテクニックとして取り入れられるようになりましたが、腕まくりというのは、汚れ作業を行う時だからこそ様になるものであり、いつでもどこでも腕まくりをするようなテクニックというのは、TPOとのズレが生じやすくなってしまいます。
これは夜でもサングラスを掛けているような事であり、それをオシャレだと認識してくれる人は多くありません。
よほどのイケメンでもない限り、サングラスというのは外した時に落差が生まれて残念な印象になってしまいます。
陽射しが眩しい夕暮れ時のドライブ中にだけサングラスを掛けるのであれば、誰でも様になるのですが、常にサングラスを掛けている人というのは、勘違いしている滑稽な人物に見えてしまいます。
腕まくりやロールアップが悪いという事ではなく、それがオシャレな事だと勘違いしてしまうと、いつまで経っても試着の重要性に気が付けないので、経験を積む事ができなくなってしまいます。
「このレシピはイマイチだ!」
と決めつけて他のレシピを探し回る料理下手の人のように、自分の腕を棚に上げてしまいます。
醤油や味噌など銘柄によって随分と味が違いますし、「弱火で三分」という表示があっても、コンロが違えば火加減も変わりますし、鍋やフライパンの材質によっても差が生まれます。
それらと向き合う事なくレシピばかりを求めていると、よほど相性の良いレシピと出会えない限り上手くは出来ません。
ファッション雑誌で紹介されているコーディネートや、洋服屋のディスプレイやマネキンのコーディネートをそっくりそのまま真似ても、全然オシャレになれない人がいるのは、まさにこの経験の差です。
誰が作っても同じようになる料理などないように、手っ取り早くオシャレになる方法などありません。これを理解する事こそが、本当にオシャレになる方法でもあります。
近道はない!
特定の料理ばかりを作っていれば、誰でも少しずつ上達していくものですが、少しでも食材が変わったり、条件(調理場など)が変わると上手く出来なくなってしまいます。
ファッション雑誌で紹介されていたコーディネートがたまたま似合ったとしても、微調整するスキルがないとTPOに合わせる事ができませんし、加齢に伴う変化にも対応できません。
しばしば中年の男性が何十年も前のファッションを引きずっているものですが、たまたま誰かにカッコいいと評価された要素を、何も考えずに取り入れ続けてしまっているからです。
中年になっても活躍し続けている芸能人を見ても分かるのですが、誰もが現在の自分に相応しいファッションや髪型にアップデートしています。
若い頃ほど髪にボリュームが無くなってくれば、似合う髪型も変わっていきますし、肌色の変化や衰えによっても似合う洋服のカラーも変わっていきます。
これは流行に合わせるという事だけでなく、自分の身体に合わせる感覚です。料理人が常に味見をしながら微調整をするような事です。
一流の料理人は客の年代に合わせて食材の切り方を変えたり、隠し包丁を加えて柔らかくしたり、味付けを変える事があります。
過去に祖父と母親と私で老舗の洋食屋さんに行くと、三人とも同じメニューを注文したのに、ライスの盛り付けが全然違い、料理に入っている食材の大きさまで違っていて驚いた事があります。
私の祖父は年齢や身長に似合わずに大食漢だったので、「なんでオレのだけ少ないんだ?」と不満気だったのですが、私は感心してしまいました。
オシャレな着こなしというの同じで、それぞれの状況に合わせて調節する必要があります。
ファッションの初心者が「手っ取り早くオシャレになる方法」のようなものに頼るのが悪いとは言いませんが、そのままの基準だとオシャレのスキルはなかなか身につかないので、本質的にオシャレになれるわけではないという事です。
「手っ取り早くオシャレになる方法」や「最速でオシャレになる方法」などありません。近道はないと理解する事こそがオシャレへの道のりを歩む事になります。
まとめ 正解はないが不正解はある
特定のファッションアイテムを購入しないとオシャレになれないと考えてしまうと、自転車操業のように常に最新のオシャレを取り入れ続ける事になってしまいます。
スタイルの良いイケメンであれば、自分の年代にあったファッション雑誌のアイテムを取り入れる事でオシャレな印象になるかも知れませんが、私も含めて多くの一般男性はそうではないはずです。
中途半端な背伸びのファッションのせいで、違和感が出てしまっている男性は少なくありません。
やはり自分の身体や年代に合っているものを選べるようになる事こそが、オシャレへの道のりなのではないでしょうか。
そもそもオシャレな印象に映る人というのは、何か特別なアイテムが目立っているわけではありません。むしろ違和感なくバランスが取れているからこそ、スマートな印象に映ります。
一部の人からしか好かれないパクチー増量のタイ料理より、多くの日本人に受け入れられるようにアレンジしているタイ料理店の方が、安定してお客さんを呼び込む事ができます。
東京のように人口が多い地域だと、突出した個性的な要素で選んでくれる人もいるのですが、これをファッションで考えると、よほど出会いが多い職場や人脈がある人のような事です。
オタク丸出しのファッションでも受け入れてくれる女性がいないとは言いませんが、かなり確率が低いのは否めません。逆に誰からも違和感をもたれない無難なファッションをスマートに着こなしていると、多くの女性から選択肢に入れてもらいやすくなります。
個性的なファッションアイテムや雑誌で紹介されているような最新ファッションというのは、TPOに左右される要素が大きくなってしまうので、多くの一般男性にとってはメリットよりもデメリットの方が上回ってしまいます。
女性の方からどんどん近づいてきてくれるイケメン男性であれば別かも知れませんが、私も含めて多くの一般男性はそうではないはずです。
どんな女性にモテる正解のオシャレなどありませんが、多くの女性から嫌われてしまう不正解のオシャレは存在します。
一部の人からしか評価されない個性というのは、特定のコミュニティ内でしか通用しないので、それをオシャレと呼ぶのは間違いです。
オシャレな印象の人というのは、しっかりと不正解を避けている人です。
スタイルの良いイケメンというのは、適当に選んでも不正解になりにくいので、それだけでオシャレな印象になるのですが、多くの一般男性はしっかりと自分の体型と向き合いながら、不正解を避けていく必要があります。
手持ちの洋服の中にも自分なりに似合うものとそうではないものがあると思いますが、それらと向き合って違い(シルエットや生地やカラーなどの相性)を認識する事で、次回の洋服の購入時の目安になってくれます。
この相性を見極められるのは自分だけであり、そのスキルを磨かない事には、たまたま運よく合致したコーディネートに出合えない限り、オシャレな印象になる事はありません。
肉じゃがのレシピ通りに作っても上手くできないのは、ジャガイモ一つとっても様々な硬さがあるからであり、煮崩れしやすいキタアカリなら煮込む時間を減らすなり、硬いメークインなら小さめにカットするなど、微調整する必要があります。
マネキン買いをしてもオシャレになれないのは、まさにこのような微調整をすっ飛ばしているからであり、それなしで運よく似合ってしまう人はスタイルの良いイケメンだけです。
スタイルの悪いマネキンなんていません。誰もが理想的な細マッチョではありませんし、身長だって人それぞれ違います。
塩コショウして適当に焼くだけで美味しいお肉もありますが、脂身の多いバラ肉や硬い肉であれば、それぞれ適した調理法を取り入れないと、バランスよく仕上がりません。
安いバラ肉にはバラ肉なりの戦い方があります。豚の生姜焼きなら分厚いロース肉よりも相性が良いかも知れません。
高級食材を詰め合わせた料理というのは、意外とお互いが邪魔をして美味しくないものです。中途半端にこだわった塩のせいで雑味が残ったり、香りが強過ぎるゴマ油のせいで風味が台無しになる事もあります。
一方でありふれた食材でも丁寧に下ごしらえをしたり、アク抜きを怠らない事でバランスよく美味しい料理に仕上がってくれます。
身長が低い事にコンプレックスがあるなら、シークレットブーツや底上げできる中敷きを取り入れたり、なで肩なら肩パッドのあるジャケットを選んだり、太っているなら膨張色を避けたりと、真剣に向き合う事で何かしらの相性の良い選択肢が見えてくるものです。
姿勢や歩き方の違いによっても洋服のフィット感が変わりますし、それらを改める事で全身から健康になっていき、肌ツヤや髪質まで改善していってくれるかも知れません。
髪型の分け目を変えるだけでグッとバランスが良くなる事もありますし、薄毛が目立ちにくい髪型もあります。
眼鏡を変えるだけで目力が変化したり、離れている目が違和感なく収まるような事も珍しくありません。
当ブログでは以前にファッションセンスのない男性の特徴として、鏡を見る習慣がない事を紹介した事があるのですが、
これこそが味見をしない料理下手のような事であり、たまたま運よく相性が良いものを手に入れても、その理由も分からないので、ちょっと条件が変わるだけで再現できなくなってしまいます。
オシャレな男性になろうと「手っ取り早くオシャレになる方法」を実践する事が悪いとは言いませんし、それも立派な第一歩ではあるのですが、そこで立ち止まって思考停止になっていう人も多いので、気をつけてほしいと思います。
料理上手な人は初めて手にする食材や初めて作る料理でも、味見を繰り返しながら上手くバランスが取れるように、オシャレな人というのは、どんな洋服でも上手くアクを抜いてバランスを取る事ができるものです。
自分の身体や年代に合わない流行は取り入れませんし、バランスが取れる要素だけを程よく取り入れられるので、流行に敏感な女性からも評価され、そうではない多くの男性からも煙たがられる事もありません。
趣味のような世界の中だけであれば、そこで評価されるオシャレを取り入れるのも良いのですが、一部の人以外からは減点されてしまう要素というのは、不正解なので気をつけてほしいと思います。
誰からも減点されない無難ファッションを丁寧に着こなす事こそが、結果的に「最も手っ取り早くオシャレになる方法」なので、しっかりと自分と向き合ってみてください。
手持ちの洋服の違いを認識する事だったり、メンテナンスといった要素も大事なポイントになります。それらが分からずに次から次へと新しい洋服を購入しても、いつまで経ってもオシャレな男性にはなれません。
どんなにオシャレな洋服でも、背中を丸めて自信なさげな表情をしているだけでオシャレな印象では無くなってしまうものです。これらのような些細な違和感を排除していく事こそが、オシャレな男性への道のりであり、最も近道ですよ。
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