モデルと一般人の洋服の着こなし方の決定的な違い

ファッションコラム

モデルと一般人の着こなしの違い

男女問わずにお洒落が好きな人は、ファッション雑誌のモデルの洋服の着こなしを参考にする事が多いと思います。

当ブログのスタンスしては、容姿やスタイルの良いモデルの着こなしを参考にしても、一般的な体型の男性が上手く着こなす可能性は低いので、あまりおすすめはしていないのですが、実はこの容姿やスタイルによる相性の違い以外にも、一般人とモデルの着こなし方には決定的な違いがあります。

それは洋服を着こなす目的の違いです。

洋服を着る目的

一般人が洋服を着こなす目的というのは、自分をお洒落に魅せることで周囲の人からの評価を上げることです。

もちろん周りの人からの評価だけではなく、仕事着のように効率を重視した洋服(制服)もありますが、それも機能面で優れているだけでなく、仕事相手からの信用につながります。

きりっとしたイギリスの警察官の制服

もちろんお洒落好きの人の中には、自分の気分を高揚させる為という目的の人もいますが、そのお洒落で気分が高揚する理由も、周囲の人からの評価されたという経験を元に構築されたことが多いです。

中には誰からも評価されない奇抜な恰好をしている人もいますが、そのような人に対してお洒落な印象にはなりません。

自分の好きなファッションを楽しむのもお洒落の一つではありますが、これはコスプレのようなものなので時と場所を選ぶ必要があります。

これらのように自己満足のお洒落だとしても、周りの人からの高評価につながらないと成功したとは言えません。

一方でモデルが洋服を着こなす目的というのは、あくまでも洋服を際立たせることにあります。

自分をカッコよく魅せる為の着こなしではなく、あくまでも洋服の良さを引き出す為にモデルが存在しているので、その洋服のシルエットが良く見える姿勢や表情や仕草(ポージング)が重視されます。

大人の雰囲気が漂うシックなデザインの洋服の良さを際立たせる為には、その洋服をデザインした人が想定しているモデルを用意し、モデル側もその期待に合わせて姿勢や表情や振る舞いを変えます。

カジュアルな洋服であれば躍動感のあるポーズや弾ける笑顔をしますし、さらに髪型のセットも洋服の雰囲気に合わせて変えていきます。

他にもシチュエーションを工夫したり、ドライヤーで風を送って洋服の生地をなびかせるようなこともします。

さらに洋服のデメリットを隠す為に、照明を明るくして生地の質感をわからなくさせたり、裏地や背中側を写らないようにすることもあります。

実際に私が過去にネットで購入したニットのセーターは、表側のデザインが裏側には全くなくて驚いたことがありました。

改めて販売ページのモデルが着用している状態を確認してみると、裏側は全く写っていませんでした。

これらのように、あくまでも洋服の良さを引き出す道具として、モデルという存在があります。

様々なタイプのモデルがいるので、予めその洋服のコンセプトに合うモデルを選ぶのはもちろんですが、そこからさらに撮影技術を組み合わせて洋服の良さを引き出すので、一般人が雑誌のモデルのようにカッコ良く着こなせる可能性は低くなってしまいます。

一般人でも憧れのブランドの洋服を着こなす為に、スタイルや髪型を合わせようとする人もいますが、そもそもブランドのコンセプトに合っていない場合は残念な結果にしかなりません。若作りのファッションなどその典型です。

○○のブランドが大好きだったとしても、そのブランドが想定している客層と合っていないと、似合いようがありません。

モデルにだってそれぞれ好きなタイプの洋服があると思いますが、プロとして自分の好みは捨て去り、洋服の良さを引き出すことにフォーカスしています。

あるテレビ番組でパリコレを目指すモデルを育成する企画があったのですが、そこで優勝した人の選考基準の説明では、「身につける洋服によって表情や姿勢がガラりと変わる憑依タイプだった」という特徴があげられていました。

これがまさにモデルの仕事です。洋服側に合わせるのがモデルの技術であり、自分の良さを出す為に洋服を着こなすのではありません

これのように洋服を着こなす目的が一般人とモデルでは決定的な違いがあるので、安易に一般人がモデルの着こなしを真似してしまうと、スタイルの違いだけでなく、自分の良さも洋服の良さも引き出せなくなり、ちぐはぐな印象になってしまう可能性が高くなってしまいます。

一般人におすすめの着こなし

私が考える一般人におすすめの着こなしというのは、あくまでも自分を良く見せる目的にフォーカスすることです。

洋服の良さを引き出すのではなく、自分の良さをアピールできる洋服を選んだり、自分のコンプレックスを上手く隠せるような洋服を選ぶことです。

自分の良さを引き出すのに分かりやすいのは、オーダーメードの洋服です。自分の体型に合わせて洋服を仕立てるので、ブランドが想定しているスタイルと違っても似合う可能性が格段に高くなります。

あるブランドの洋服のLサイズが想定しているスタイルというのは、モデルのような細身で180センチぐらいの人です。

Lサイズの目安として170~180センチという表記があるかも知れませんが、この間の人に似合うという事ではありません。175センチでもガッチリ体型なら似合うかも知れませんが、肩幅や丈や袖の長さなどは人それぞれ違うので相性があります。

体重も人それぞれ違いますし、同じ体重でも筋肉量によってスタイルは大きく違いますし、さらに日頃の姿勢によってもスタイルは変わります。

オーダーメードであれば、これらの個性に合わせてしっかりと対応することが出来ますが、既製服だと裾上げ程度しか出来ません。

だからこそ、一般人は自分の体型に合うブランドの洋服を選ぶことが重要になります。

Mサイズの洋服でもブランドによって肩幅や袖や丈の長さが1~2センチ違うような事は珍しくないですし、細身の男性向けのブランドや太めの男性向けのブランドもあります。

女性だと胸の大きさに個人差が大きいだけに、大きな胸の人と相性が良いブランドや、小柄な女性向けのブランドもあるのですが、男性ファッションとなると体型別に相性が良い洋服のブランドを勧めている雑誌がほとんどないだけに、全く自分の体型に似合わないブランドを選んでしまう人が珍しくありません。

モデル体型ではない多くの一般男性に勧めるファッションというのは、あくまでも自分の体型やタイプに合う洋服という事です。

普段着がダサいお父さんでもスーツ姿はそれなりにカッコよく決まるのは、スーツはサイズ合わせを細かくできるからです。

ファッション雑誌のモデルの着こなし方やコーディネートを参考にするのは構いませんが、そのまま鵜吞みにするとフィット感や相性を見落としてしまうので気をつけてください

コーディネートそのものを参考にするのは構いませんが、全く同じ洋服が自分の体型に合うとは限らないので、そこをしっかりと見極める必要があります。この視点がないと残念な着こなしになってしまいます。

残念な着こなしとは

せっかくお金をかけてハイブランドの洋服を着ているのに、残念な着こなしになっている男性は珍しくありません。

お金持ちアピールのファッションで女性にモテることもありますが、それはあくまでもお金になびいているだけであり、付き合うことになってもお互いにとって良い結果になる可能性は低いです。

モデルのような端正な顔立ちでスタイルも良いのであれば、自分の年齢やタイプに近いモデルを起用しているファッション雑誌の洋服を、そのまま取り入れてもカッコ良く着こなせるかも知れませんが、多くの一般の人には当てはまらないと思います。

しばしばお洒落に自信がない人に対して、マネキン買い(お店のマネキンをそっくりまねる)を勧めている人がいるのですが、コーディネートのバランスが良くてもサイズがちぐはぐだと、大抵は残念な着こなしになってしまいます。

その洋服が想定しているスタイルと、自分のスタイルがかけ離れていると似合いようがありません。

あくまでも自分の体型に合う洋服を見極めた上で、雑誌のモデルやマネキンのコーディネートを参考にする必要があります。

これは似合う眼鏡を見極める方法で考えると分かりやすいのですが、

よく丸顔の人には○○、面長の人には△△といった感じの似合う眼鏡フレームを見極める目安がありますが、誰もがその条件に当てはまるものではありません。

眼鏡フレームは靴のように細かくサイズが分かれているわけでもないのので、特定のブランドの眼鏡フレームにこだわってしまうと、全くバランスが取れずにおかしな事になってしまいます。

ウェリントンという眼鏡フレームの形一つとっても、メーカーによってフレームの大きさや太さや素材も全然違うので、合うものもあれば合わないものもあります。

あくまでも自分の顔の大きさや髪型といった要素とバランスが良い眼鏡が似合うのであり、眼鏡が似合っているモデルのバランス感は参考になりますが、全く同じ眼鏡を選ぶ事ではありません。

「人からどう思われようと関係ない!俺が好きな恰好をして何が悪い!」

といった考え方が間違いというわけではないのですが、何の為に洋服をお洒落に着こなしたいのか、という本来の目的から逆算して考えると、モデルの着こなしを真似る事が良い結果につながらないのはイメージできるのではないでしょうか。

アニメキャラがプリントされたTシャツが好きなのは構いませんが、それは自宅やアニメ仲間の前だけで楽しめばいいことであり、仕事場にまで持ち込んでしまうとマイナスにしかならないのはイメージできると思います。

これぐらい目立つ要素だと多くの人が意識できているのですが、普通の洋服でも相性の問題があるので、しっかりと見極めるようにしてください。

そしてモデルのように洋服に自分を合わせる必要もありません。

女性の中には特定のブランドの洋服が好き過ぎて、スマートに着こなす為に体型維持を頑張る人もいるのですが、そんな事をしなくても自分の体型に合うブランドを選んだ方がずっと近道です。

モデルがサングラスをカッコよくかけていても、サングラスが合う場など限られています。西日が目に入るドライブ中だけであればいいのですが、日が落ちてからもサングラスをかけていると、大抵は残念な印象になってしまいます。

サングラスの良さを引き出すために、ファッション雑誌ではわざわざ日差しがまぶしい海辺のリゾート地で撮影をしていますし、髪型も含めて合わせていきます。

南青山のオシャレなオープンカフェで映えるファッションなど、その他の場では浮いてしまうファッションです。個性的なファッションほどTPOを限定されるので、多くの一般人には向いていないことが多いです。

お金に余裕があるのであれば、その時々に合わせることも可能かも知れませんが、それこそ予算が限られている一般人が踏み込むべき領域ではありません。

車を何台も所有できるお金持ちであれば、二人乗りのスポーツカーや大きなSUVや高級セダンといった具合に使い分けることが出来ますが、一般人が背伸びしてスポーツカーを手に入れてしまうと、使い勝手が悪くなるようなことです。

ある車の本に悲しい話が紹介されていたのですが、子供の頃にスーパーカーブームにハマり、中年になってやっとフェラーリを手に入れた男性が、娘の学校の参観日にフェラーリで乗っていくと、学校中の生徒から注目を浴びて娘が困ってしまい、「二度と来ないで!」と言われて助手席にも乗ってもらえなくなったエピソードが紹介されていました。

これこそが自分よがりな基準で選んだ典型です。娘よりも自分の事が大好きな人であれば、このような選択をしても良いのかも知れませが、家族や娘の事を大事にしているお父さんであれば、もっと相応しい車があるのはイメージできると思います。

ここまで極端な事はファッションでは多くありませんが、参観日にギラギラと金持ちアピールのファッションで参加してしまうと、同じようなことになるかも知れません。

実際に私が学生の頃に同級生の親がホステスだったようで、色気たっぷりのメイクや煌びやかな洋服で参観日に来てしまい、クラス中で「誰の親?」とザワついたものです。

中途半端な背伸びのファッションというのは、結果的に残念な印象になってしまうので、ファッション初心者の人こそ気をつけてほしいと思います。

モデルだってプライベートのファッションは落ちついているものです。ファッションショーや雑誌の中だけでしか映えない洋服など選ぶわけがありませんし、知識や経験も豊富なだけに、自分を良く見せられるブランドを熟知しています。

まとめ 普通の凄さ

多くの男性が適当に洋服のサイズを選んでいるのでフィット感がいまいちですし、ろくにメンテナンスもしていないので清潔感もありません。

そもそもお洒落な印象の人というのは、目立つブランドの洋服を身につけているからではなく、むしろ隙がなくて違和感がないからこそ、スマートな印象になってお洒落な人という認識をされるものです。

ファッション初心者の男性ほど、この違和感の原因である隙を理解していないので、どうしても分かりやすいアイテムに頼ってしまうのですが、普通のファッションでも隙を排除していくとバランスは良くなっていくものです。

逆に考えると、普通の洋服でもしっかりとサイズを合わせて選び、日頃からメンテナンスを心掛け、TPOも意識しながらコーディネートすることで、グッとお洒落になる可能性があります

靴を磨くだけでも清潔感は随分と良くなりますし、靴と向き合うようになると歩き方や姿勢といったものも改善されていく事が多いので、スタイルも良くなって洋服も似合いやすくなります。

多くの一般男性にとっては普通のファッションでも、まだまだ伸びしろがあるので、しっかりと基本的にな事を向き合ってください。

モデルの着こなしように洋服のコンセプトに合うモデルを厳選し、さらに姿勢や表情や髪型やシチュエーションまで含めて、洋服の良さを引き出している雑誌の着こなしというのは、意外なほど相性が良い一般人は多くありません。

女性向けのファッション誌だと、年代別に細かく分かれており、さらにバリエーション(ファッションの方向性)も多いので、自分のタイプに近い雑誌の着こなしが参考になるのですが、男性向けのファッション誌となると年代もざっくりでバリエーションも少ないので、自分のタイプに合うとは限りません。

ファッション誌の男性モデルの洋服の着こなしというのは、そもそもの目的が違うので、安易に真似をしないでください。洋服のデザインやコーディネートを参考にするのは構いませんが、似たような洋服の中から自分に合うものを探すことがポイントなので、そこは間違えないでください。

全く同じ洋服である必要はありません。

そもそも一般人が洋服の良さを引き出す必要は全くないので、自分の良さを引き出せる洋服を上手に選べるようになってほしいと思います。

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