靴(足元)からわかる情報量をなめてはいけない!
足元を見る
「足元を見る」という言葉があるように、靴から推測できる情報(その人の内面)は少なくありません。
そもそも「足元を見る」という言葉には、「相手の弱みにつけ込む」といったネガティブなイメージがありますが、語源の由来は駕籠屋が旅人の草履のへたり具合から疲れ具合を推測し、値段を変えていた事だと言われています。
おそらく「相当草履が傷んでいるから、もう歩きたくないのだろう。少し高めでもイケるな!」といった感じです。
これだけを切り取るとあまり良いイメージにはなりませんが、逆に言えば、「あまり傷んでいないな、まだまだ体力があるだろうから、乗ってもらえないかもな~」と推測する事になれば、割引をしていたかも知れません。
これは現代の営業マンでも当たり前に行っているのではないでしょうか。外見や会話の内容から相手が求めているモノや懐具合を推測し、それに合わせたモノや価格を用意することになります。
営業マンにとって都合の良い商品ばかりを押し付けても、上手くいくものではありませんし、本気で相手にとって為になる事だけを提案していては営業成績は上がりません。
誰だって初対面の相手の外見を気にするものです。怖い顔のような分かりやすい印象だけではなく、自らの意思でファッションや髪型を強面に寄せている人には近づかないという人も多いのではないでしょうか。
一方で生まれ持った容姿が怖かったとしても、清潔感のあるファッションや物腰の柔らかさが伝わってくる立ち振る舞い(姿勢や表情など)をしていると、安心して話をすることが出来ます。
これらのように誰もが相手の外見から内面の情報を受け取っています。
「人は外見じゃない!」
という人もいますが、それは容姿や体型のような生まれ持った箇所に当てはまる事であり、自ら寄せていった要素には、内面の情報がたくさん含まれています。
一般的なビジネスマンであれば、髪型やファッションが突飛なことは少ないですが、手入れの差があらわれやすい足元(主に革靴)ほど、その人となり(内面)がよくあらわれているものです。
「靴なんか人間性と全く関係ない!」
と思っている人は、他人の靴を見ても何も感じられないでしょうが、そうではない人もたくさんいることを理解してほしいと思います。
靴からわかる情報
靴(足元)からわかる情報には大きくわけて二つあります。
「靴のタイプ」から分かる情報と「靴の扱い方」から分かる情報です。
靴のタイプでわかる情報
男性のビジネスマンであれば、大抵は黒の革靴ということになりますが、いわゆる靴の量販店や紳士服店で安価に売られている平均的な革靴を履いていると、
「無難な選択をする人だな」
と推測できます。簡単な仕事であれば問題ないだろうと想像できます。
また同じような革靴でも極端につま先のとんがったものを履いていると、
「周りの意見を取り入れないタイプだな」
と推測できます。先のとんがった革靴を評価する女性は滅多にいませんし、機能性も悪いです。実際に履いている男性に聞いたのですが、階段がとても上りにくいのだそうです。
そもそもプラスに働くケースがない残念な靴なので、あまり良い印象にはなりません。
一方でパッとみは一般的な革靴でも、控えめな装飾のある革靴だと、
「バランス感覚が優れていそうだな」
と推測できます。ビジネスの場を崩すことのない程よいオシャレをしている人というのは、些細なことを見逃さず、気の利いたことをしてくれそうな気がします。
これはあくまでも私が感じる印象ですが、その人が選んだ靴のタイプからも内面が垣間見れるものです。行き過ぎた個性は仕事内容にとってはリスクになりますし、無個性も相性が悪いケースがあります。
これらは高級な靴が偉いということではありません。あくまでも選んだ靴のタイプです。スーツでもダブルやスリーピースを着ていると印象が違うようなことです。
もちろんダブルのスーツといってもスッキリとした上品なものもありますが、バブルの頃に流行したダボダボのダブルのスーツを着ていると、良い印象をもつことはないと思います。
デザイナーやフリーランスであれば個性的なスーツがプラスに働くこともありますが、仕事内容によっては任せにくいようなことです。
といっても、スーツで個性を主張するサラリーマンは少ないものです。だからこそ靴の方が内面の情報量が多いように感じます。
靴のタイプによる違いはカジュアルな靴でも同様です。夏場でもごついブーツを履いている人はこだわりが強いでしょうし、いつでもサンダルを履いているという人は、良くも悪くも適当な人なのだと想像できます。
どの靴のタイプが正解というものではありませんが、気にする人が少ないだけに、その人の考え方が出ている傾向があります。
靴の扱い方からわかる情報
そして靴の扱い方からわかる情報も少なくありません。個人的にはこちらの方が情報量が多いように思います。
どんなに立派な革靴でも扱い方が悪ければ、直ぐに傷んでしまいます。
靴磨きをしていればいいという問題ではなく、靴の履き方や脱ぎ方が雑だと寿命を縮めてしまいます。
奥さんに靴磨きを任せっきりの人の中には、革の表面は綺麗なのにブカブカに緩んでフィットしていない革靴を履いている人も珍しくありません。
靴同士を擦り合わせて強引に脱いでいると、踵の内側が傷だらけになるだけでなく、履き口がどんどん広がっていきます。
たとえ量販店で売られている安価な革靴だったとしても、手入れを怠らずにきちんと履いている革靴というのは、シワがありながらも良い状態を保っているものです。
そのような靴を履いている人だと、やはり誠実な印象を受けます。
一方で上質な革を使用している高級革靴でも、扱いが雑だと擦れキズが目立っているものです。つま先をトントンとして履いていると、コバの塗料が剥がれて残念な印象になってしまいます。
安価な革靴の靴底は黒いゴムが多いので、つま先をトントンしてコバの先端が削れても目立たないのですが、それでも白っぽくなっていたり、周辺が傷ついているので伝わってくるものがあります。
それなりの革靴だと靴底も革が多いので、この辺の扱い方が雑だと余計に目立ってしまうものです。
他にも靴紐の結び方から分かる情報もあります。常に緩めに靴紐を結んで固定してしまっている革靴は無残なものです。全くフィットしていないので、歩き姿がぎこちなく、酷いケースだとカポカポいわせています。
フィットしていない靴でまともに歩くことなど出来ません。見た目の印象が悪いだけではなく、健康にも良くありません。
他にも靴底の踵のすり減り具合からも分かる事があります。その状態で歩いていて違和感がないという事は、よほど崩れた歩き方になっているのかも知れません。
細部に気を使えない人というのは、やはり仕事でも同じような印象を受けるものです。全ての人に当てはまるとは言えませんが、的中率は決して低くありません。
靴はちょっとした扱い方で大きく差が出るだけに、その人の考え方が良く現れています。目に見えない箇所にまで手を抜かない人と分かったり、上辺だけを取り繕う奴だと分ったり、悪気はないけどちゃらんぽらんだと分ったり、合理的な判断をする人物だと分ったりと、様々な情報を受け取る事ができます。
ただこの靴の扱い方による情報を察知する能力というのは、自分自身が靴と向き合ってきた経験がものを言うので、誰もが簡単に判断できるとは限りません。
そのような経験がないだけに重要だと思う人が少ないのですが、少なくてもその経験値がある人からすると、様々な情報を見透かされてしまう事になってしまいます。
一流の料理人であれば、食べる前の料理の盛り付けや器や店内の雰囲気などから様々な情報を受け取れるような事です。酷いものだと口もつけずに拒否してしまうかも知れません。
料理のスキルがない人からすると、食べてもいないのに失礼な話だと思うかも知れませんが、食べるまでもなく分かってしまう人がいるわけです。
これはファッションや靴といったものにも当てはまります。見極めるスキルがない人からすると、「は?それがなに?」と思うような事でも、見る人が見ると様々な事を推測する事ができます。
既にある程度の性格を知っている周り人の靴を観察してみてください。想像以上に相関関係がみられると思いますよ。
まとめ 内面は判断できない!
人の内面は深く付き合わないとわからないものです。
全ての人と深く付き合うことは不可能ですし、また仲良くなってから距離を置くのも大変なものです。
だからこそ、外見から伝わる内面の情報を事前に察知する能力は重要です。余計なトラブルを回避することにつながります。
いかにもその筋の人っぽい分かりやすい外見であれば、多く人が簡単に避けられるものですが、そのような要素を敏感に察知できると、事前に回避できるようになるものです。
最近あった私の例でいうと、夏場でも首元が隠れるタートルネックを着ている男性がおり、凄く不自然だったので共通の知り合いに探りを入れてみると、案の定タトゥーがあるとの事でした。
誰にでも苦手なタイプの外見があると思いますが、個性的な分かりやすい外見からだけではなく、細部からも情報を得られるようになる事で、より良い人間関係を構築しやすくなるのではないでしょうか。
その一つとして、靴(足元)はとても参考になると思います。
もちろん髪型や表情やスーツやシャツからも様々な情報が得られますが、靴は手を抜いたことが如実に現れるポイントなので、日頃から意識して観察してみてください。
他人の靴を意識するようになると、自分なりに様々な分析ができるようになると思います。
また他人の靴から様々な情報が得られるように、あなたの靴からも様々な情報をキャッチする人がいることも忘れないでください。
ちなみにホテルマンがお客様の靴をチェックする話は有名ですが、カジノのディーラーもよく足元をチェックしているのだそうです。
運のいいお客さんほど靴が綺麗な傾向があるのだそうです。ピカピカに磨かれている革靴ということだけではなく、スニーカーでも綺麗な人が多いそうです。
ジーパンにTシャツのようなラフな恰好でも、スニーカーの靴底まで綺麗な人は勝っていくことが多いそうです。
「靴底にまで気を使える人は掛け方も丁寧だが、汚い靴を履いている人は掛け方も大雑把である」
とのことでした。見事なぐらい、この傾向があるそうです。ディーラーもカジノオーナーから「靴を磨け!」と口を酸っぱくして言われるのだとか。
ギャンブルとはいえ人と人との勝負ですから、相手に与える影響は少なくないのかも知れません。
靴(足元)の重要性を全く感じない人は、他人の靴を見ても何も情報が得られませんが、重要視している人は様々な情報を察知できるものです。
外壁塗装業の知り合いは、どこにいっても建物の外壁を見積もってしまいます(笑)。私は外壁塗装の知識が全くないので何も情報が得られませんが、見る人が見れば様々な情報を得ることが出来るわけです。
おそらく彼は塗料の質やタイプでコスト重視だと分ったり、手抜き業者に騙されていると分ったり、実用面も考えていると分ったりするのではないでしょうか。
誰もが詳しい分野の事であれば、一般の人よりも様々な情報を察知できるように、ファッションや靴からでも察知できる人がいるという事です。
自分が分からないからと同じだと思わないでください。気にならない人は何も情報が得られませんが、見る人が見れば膨大な情報を察知することが出来ます。
誰だって他人の外見や話し方や仕草から様々な情報を受け取っているものですが、それらは社会人であれば、ある程度取り繕う事ができてしまいます。
風呂敷をかぶって髭を生やしている泥棒などいないように、いかにも詐欺師っぽい怪しげな恰好をしている人がいないように、ある程度の事は取り繕えてしまえますが、隠し切れていない要素を察知(スーツ姿の営業マンっぽいのにスニーカーを履いているなど)できると、事前に余計なトラブルを回避できるかも知れません。
靴(足元)はボロが出やすいので、よくその人の内面があらわれているものです。
なかなか信じられない人は、内面の事まで知っている知人の靴を観察してみてください。驚くほど内面のイメージと一致していると思います。
もちろん汚い靴を履いているからと、その人を全否定しろと言いたいわけではありません。適切な距離感を保つ目安として、靴からの情報が参考になるということです。
そのようなスキルを身につける為にも、日頃から自分のファッションや靴選びやメンテナンスと向き合ってほしいと思います。単純に自分の見た目が良くなるだけでなく、相手を見極める審美眼まで磨かれていきますよ。
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コメント一覧
こんなふうに靴って見られているの?こわw
この手の話はあまり好きじゃないが、よく見ると当てはまることが多いんだよね