アイロン不要の便利家電は根本的に間違っている!

ファッションコラム

アイロン不要の便利家電?

先日、最新家電が大好きな友人の家に遊びに行く機会がありました。

スマートスピーカーに話しかけて電気をつけたり、エアコンをつけたりして面白かったのですが、中でも私が一番気になったのがアイロン不要の便利(?)家電でした。

雑誌などで見かけたことはあるのですが、実際にシャツの皺を伸ばしているのを見て、思わず笑ってしまいました。

これは根本的に間違っています。おそらくこれは日常的にアイロンをかけない人が開発したのではないでしょうか。

根本的な間違い!

そもそもYシャツのアイロンがけで最も大切なポイントは、「襟」と袖先の「カフス」です。

ここがピシッとしていることが、アイロンがけに求められることです。

アイロン不要の便利家電はシャツの中に人型の風船のようなものをセットし、そこに温風を送って皺を伸ばす仕組みになっているのですが、公式のページを見ても、

このようにカフスや裾に変な皺が付いてしまっています。襟先にも圧力が掛かりません。

シャツのアイロンがけに必要なポイントを、全くもって理解していません。

もちろん前身頃や袖の皺がない事に越したことはないのですが、シャツを着て少し動くと皺がつくのは当然なので、どんなに綺麗に仕上げてもあまり意味がありません。

そもそもきちんとサイズを合わせたシャツというのは、余計な生地が少ないので皺が目立ちません

一方でシャツの襟やカフスには厚みをもたせる為に芯地が入っていたり、生地が重なっているので、皺になりにくい構造になっています。

だからこそ時間が経ってもピシッとした印象を保つことが出来るのですが、流石にアイロンをかけないと細かな皺が目立ってしまいます。

この皺を取れないので、問題なわけです。

私はスーツの上着を脱ぐ機会が少ない冬場で忙しい時は、襟とカフスとVゾーンだけにしかアイロンをかけないことがあるほどです。

しかもこのアイロン不要の便利家電は一枚ずつしか設置できず、30分ぐらい乾燥に時間が必要なようなので、その他のシャツは皺だらけになってしまいます。

毎日同じシャツを洗濯しながらアイロンをかける人など少ないと思うので、この辺も実用的ではありません。

電源を入れると騒音も気になりますし、上にハンガーをかけるスペースも必要なので、設置場所にも苦労しそうです。

これなら普通にアイロンをかけた方が、ずっと綺麗に早く済ませられると思います。

この家電を持っていた友達の前では言いませんでしたが、全くもって便利な家電だとは思えませんでした。

まとめ オシャレに近道はない!

Yシャツはクリーニングに任せきりという人も多いと思うのですが、クリーニング屋さんは膨大な数のシャツを仕上げるので、必ずしも丁寧な仕上がりになるとは限りません。

そもそもきちんとしたYシャツというのは、襟周りが立体的に縫製されているので、細かく角度を変えながらアイロンをかける必要があります。

グッとアイロンを押し付けながら一回滑らせるだけだと、生地が重なって余計な皺が付いてしまいます。

もちろんきちんとしたクリーニング屋さんだと、この辺も丁寧に仕上げてくれるのですが、よくある激安のクリーニング屋さんだと扱いも雑なので、針金ハンガーのクセが付いてしまうこともあります。

安いYシャツほど平面的な縫製なので、一発でアイロンをかけることも出来るのですが、そのようなシャツを着ると首周りのフィット感がイマイチで、直ぐに皺になってしまうものです。

オシャレに近道はありません。

細かな積み重ねを疎かにしていると、それらが組み合わさって残念な印象になってしまうものです。

参考シャツのポケットのホコリを取ろう!

同じようなスーツでも似合う人とそうではない人がいるのは、このような小さな箇所と向き合ってきたかどうかです。

基本的にスーツはお店の人が丁寧にサイズを合わせてくれるので、大きなサイズのズレはありません。

ほとんどが着る側の問題にあります。

定期的にクリーニングに出せばOKぐらいの感覚だと、平気で生地を傷めるようなことをしてしまうものです。

靴磨きも奥さんに任せきりだと気づきが得られませんが、自分で靴を磨くようになると、靴底の減り方や靴を脱ぐときに擦り合わせて出来る傷などに気づくことが出来ます。

このような気づきがあるからこそ、日頃の行動を改めて所作も洗練されていくものです。

いわゆる成金ファッションが残念な印象にうつるのは、これらの気づきを得ることなくお金の力ですっ飛ばしているからです。

どんなに高級な生地のスーツを着ていても、扱い方が雑だと直ぐに傷んでしまいます。むしろ高級な生地ほど耐久性がないので、日頃のメンテナンスや扱い方が求められるものです。

アイロン不要の便利家電にも同じような印象を受けました。

スーツでほとんど隠れてしまう箇所の皺が綺麗になっても、肝心な箇所(襟、カフス)がイマイチです。

今後機能が進化していけば襟やカフスの仕上がりも良くなるかも知れませんが、一枚ずつボタンを留めながらセットして30分も待つのは効率的ではありません。

むしろ高機能なアイロン(直ぐ温まる、強力スチーム、コードレスなど)や使いやすいアイロン台を手に入れた方が、ずっとアイロンがけのストレスから解放されると思います。

襟やカフスのない衣類の乾燥機としては便利かも知れませんが、セーターような伸び縮みのある衣類だと、変な箇所が伸びてしまうかも知れません。

しっかりと本質を見極め、丁寧なオシャレを取り入れてほしいと思います。

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