洋服の品質は必ずしも価格と比例するわけではない

ファッションコラム

安い洋服=低品質?

洋服をお洒落に着こなす為には、それなりにお金が必要だと感じる人が多いと思いますが、必ずしもそうとは限りません。

高価な洋服ほど高品質でお洒落な可能性が高いのは否定しませんが、一方で安価な洋服が低品質でダサいとも限りません。

そもそも洋服の価格というものは大きく変動します。基本的には下がる一方です。

高級腕時計のような物だとプレミアがついて価格が上がることもありますが、洋服でプレミアがつくような事は滅多にありません。

洋服は季節外れになると半額セールになるのは珍しくありませんし、それでも売れ残った洋服は年末などの特別セールで8割引きになったりします。

洋服の価格が下がっても形や品質は変わりません。ただ価格が下がっただけです。

このような低価格でも品質の良い洋服を上手に選ぶことが出来れば、意外なほどお洒落にはお金が掛からないものです。

価格が高い洋服でないとお洒落が出来ないと思っている人は、今すぐにその考えを改めてください。本質を大きく見誤っている可能性が高いです。

洋服の価格は目安に過ぎない

少し前に海外のある有名ブランドが、膨大な量の洋服(ファッションアイテム)を処分していたことがニュースになりましたが、これは二束三文で売りたたいてブランドイメージを傷つけない為の処置だと言われています。

これは資金力のある超有名高級ブランドだからこそできる対処法です。

多くのファッションブランドでは、たとえ二束三文でも利益が出る方を選びます。大量の洋服を倉庫に保管しているだけで維持費が発生するので、次のシーズンの洋服を仕入れる前にジャンク品を扱う業者に買い取ってもらいます。

これは100円ショップをイメージするとわかりやすいと思います。ダイソーのような大手はオリジナル商品をたくさん開発していますが、それでも全てが自社開発した商品ではありません。

一般的な100円ショップで売られている多くの商品は、それなりの価格で売るはずだった商品の売れ残りです。それを大量に安価で買い付けて販売しているのが、100円ショップの仕組みです。

基本的には企業名を外したりパッケージが変えることで、ブランドイメージを傷つけないような工夫がされています。

同じことがファッション業界でも当たり前のように行われています。

二束三文で買い取られる際の条件として、ブランド名を伏せる(タグをカット)ように指示することもあります。

そのようなノーブランド品(元ブランド品)を専門に扱うネット上のお店もありますし、古着屋に流れることもあります。

実際に私は古着屋でファーストリテイリング(ユニクロの前のブランド名)名義の、裾上げされていない新品のチノパンを購入したことがあります。確か500円でした。

元々の定価の8割引きで販売されていたとしても、その洋服の品質が低いことにはなりません。

また最近のスーパーマーケットにはプライベートブランドが増えてきましたが、これも価格が安いからといって低品質だとは限りません。

大手食品メーカーが販売しているポテトチップスと、あるスーパーで販売されているプライベートブランドのポテトチップスの中身が、全く同じという事も珍しくありません。

何故ならその大手食品メーカーの工場でつくっているからです。これは生産量が増えることで、メインのポテトチップスのコストが下がって利益を出すことができます。

さらにメインのポテトチップスのブランドイメージも傷つけません。消費者によく安売りすると思われると正規価格で売れなくなってしまいます。

双方にメリットがあるからこそ成り立つ関係なのですが、これもファッション業界では昔から行われています。

岡山の児島はデニムの生産で有名ですが、世界中の有名ブランドの下請けになっています。全く同じ工房で同じ素材から作られているデニムが、有名ブランドのロゴがつくと高価になり、地元メーカーのロゴだと安くなります。

もちろん外国人向けのデニムのデザインやシルエットと、日本で販売されるものが全く同じということではありませんが、むしろ日本人向けに作られている日本のメーカーのデニムの方が、価格が安くても似合う可能性が高いのではないでしょうか。

これらからもわかるように、あくまでも洋服の価格は目安に過ぎません。これが「洋服の品質が必ずしも価格と比例するわけではない」理由です。

洋服の定価とはそれなりに比例するかも知れませんが、実際に洋服を購入する段階の価格と品質は比例しないことが多いものです

もちろん初めから安価で売ることを目的とされた低品質の洋服は別です。一度洗濯をしただけで首元がダルダルになるような、低品質のTシャツとは分けて考えてください。

定価が5000円のTシャツがセールで500円で売られているのと、そもそも500円で売ることを前提に開発されたTシャツでは、品質に雲泥の差があるものです。

ここは間違えてほしくないのですが、だからといって定価が5000円のTシャツより、定価が3000円のTシャツの方が品質が低いかというと、そうでもないケースがあります。

有名ブランドのロゴやキャラクターの使用料など、ライセンス契約で1000円相当の品質のTシャツが5000円で販売されているようなケースは珍しくありません。

ノーブランドのシンプルな3000円のTシャツの方が良い生地で縫製もしっかりとしているような事は良くあるものです。

中にはアウトレット専用商品のように、あえて定価を高く設定しておいて割引価格でお得さをアピールするものもあります。

本来のアウトレットは傷が付いた等の何かしらの理由で、大幅に割引された物をさすのですが、それだけだと仕入れが安定しないので、多くのアパレルのアウトレット商品というのは、それ用に開発された低品質な物が珍しくありません。

洋服の価格と品質は必ずしも比例関係ではないので、価格に惑わされずに品質をチェックする事が大切です。

洋服の品質とは?

洋服の品質というと生地の質だったり、縫製の技術だったりするものですが、どんなに高級な生地で素晴らしい縫製が施されている洋服でも、身に着ける人に似合わなければお洒落にはなってくれません。

すごく当たり前のことですが、意外と見落とされているように感じます。洋服の目立つ箇所に、有名ブランドのロゴがあしらわれているからお洒落な印象になるのではありません。

サイズが合っていなければ似合いようがありませんし、手入れが悪ければ不潔な印象になってしまいます。

洋服そのものの品質を見極めるには、生地の質だったり縫製をチェックすることは大切ですが、それだけでは意味がありません。

あくまでもその洋服を着る人にとって相性が良いものが高品質で似合うということです

いつもTシャツ姿でガンガン着回している人にとっては、Tシャツの首周りの縫製は重要な要素になりますが、たまたま子供の運動会に参加しなければならなくなったお父さんにとっては、その日だけもってくれればいいので、500円の低品質のTシャツでも十分かも知れません。

数年に一度の冠婚葬祭ぐらいでしか黒い革靴を履かないという人であれば、靴の量販店で売られている2000円の合皮の黒い革靴で十分かも知れません。

一方で自分のファッションスタイルが確立されている人であれば、自分の肌の色に合う生地やカラーがありますし、似合うシルエットも理解しています。

そのような人であれば、タグがカットされてブランド名がわからなくなっている安価な洋服でも、しっかりと品質を見極めて選ぶ事ができます。

洋服そのものの品質だけでなく、自分との相性を見極められるので、購入価格に関係なくお洒落な洋服として活用することが出来ます

特に男性ファッションは流行が早くないので、去年の売れ残りでも全く古臭くなく着こなすことが出来るものです。

稀に「これは10万円のジャケットだぜ!」と価格を自慢している男性がいますが、似合っていなければただのダサいファッションですし、どんなに上質な生地が用いられていてもダサいだけです。

有名ブランドの洋服が大幅に割引されていても、似合わなければ全くお得な買い物ではありません。

自分に似合う洋服をしっかりと見極められる人だけが、お洒落な洋服を見つけ出すことが出来ます。その時に洋服の購入価格はそれほど関係ありません。

ブランド名や価格でしか判断できない人ほど、全く似合わずにダサいファッションになっているものです。

特定のスニーカーにこだわってしまったばっかりに、全く似合わない物やサイズ違いのスニーカーを履いている人がいるものですが、大枚をはたいてダサくなるなどバカバカしい事ではないでしょうか。

自分の好きなファッションやスニーカーを履く事で気分が高揚するようなメリットもあるので、周りの人の評価など気にしないのであれば自由ですが、少なくとも周りの人から評価されたい(女性にモテたい)のであれば、そのような自己満足な基準はさっさと捨てるべきです。

お洒落は自分と向き合うしかない!

自分に似合う洋服を見極めるポイントというのは、何度も鏡の前で自分の体型と向き合うことしかありません。

当ブログでは以前にファッションセンスがない男性の特徴を紹介したことがあるのですが、

そもそも自分と向き合う機会がない人は、判断基準がないのでレベルアップのしようがありません。男性よりも女性の方が圧倒的にお洒落なのは、子供の頃から鏡の前で自分と向き合ってきたからです。

女性は男性とは比べ物にならない容姿の差別を小さな頃から受けてきているので、思春期ともなれば多くの女の子が少しでも可愛く見えるように、鏡の前の自分と向き合って努力をしていきます。

一方で思春期の男の子で洋服に興味をもつのは一部だけです。これが男性と女性のファッションレベルに圧倒的な差がある理由です。

また洋服を購入する時に試着をしない人もレベルアップは無理です。コーディネートという意味は、ファッション雑誌を参考にしたり、お店のマネキンと同じ洋服を選ぶ事で良くなるかも知れませんが、自分で着た時に判断できないと難しいです。

洋服が似合っているポイントを理解するのは難しいのですが、似合っていないポイントというのは、誰でも理解できるものです。どこがどう似合っているのか説明できなくても、似合っていないのは一目見ればわかります。

明らかにサイズが合っていなければ誰にでも分かりますし、メンテナンスを怠ってボロボロになっていると、清潔感など出るわけがありません。

日頃から自分と向き合っている人だけが、お洒落な洋服を身に着けられるようになるのであり、ここに洋服の価格はそれほど関係ありません。

もちろん芸能人のようにプロのスタイリストに頼めば可能かも知れませんが、それでも洋服のメンテナンスを知らない人というのは、平気で洋服を傷めつけるような動作をしてしまうのでボロが出てしまいます。

ファッション雑誌で紹介されていた流行の革靴を購入しても、ろくに靴紐も結ばないような人だとすぐに履き口が広がって型崩れしてしまいますし、靴を脱ぐときも手を使わずに靴同士を擦り合わせてしまうので、直ぐに傷だらけになってしまいます。

ご自慢の10万円のジャケットでも扱いが適当だと、直ぐに型崩れして着心地が悪くなってしまいます。乱雑に脱ぎ捨てて放置したり、合っていないハンガーを平気で使ってしまいます。

一方で日頃から洋服と向き合っている人というのは、着用後にジャケットにブラシをかけるので、生地の毛羽立ちが抑えられて良い状態を保つ事ができますし、一部の生地が擦れていることに気がつくと、普段の行動や姿勢を改めていくきっかけとなってくれます。

肩掛けカバンのせいで肩がの生地が擦れている事に気がついたり、足組みや腕組みといったクセを改める事になるかも知れません。

そのような気づきが益々自分を成長させることに繋がります。良い姿勢を意識するようになると、全身の血行も良くなって健康になっていくので、魅力が増すのも当然の流れです。

姿勢が良くなると肩こりが解消されるかも知れませんし、内蔵の機能も改善されて呼吸の質も向上していくので、肌ツヤや髪にも好影響があるかも知れません。

日頃から靴磨きをしていると、よく擦れている箇所や靴底の減り具合から、歩き方のクセを意識するようになるものです。

知らず知らずのうちにガニ股で歩いている男性が多いものですが、スッとしたスマートな歩き方が出来るようになると、同じ距離を歩いても疲れ具合が全然違いますし、体幹の筋肉を使えるようになるのでお腹も凹んでいきます。

洋服や靴と向き合うことは自分と向き合うことです。これで見た目の魅力がアップしないわけがありません。

これらを意識できていない人というのは、どうなに高価な洋服を購入しても活かしきれるものではないですし、直ぐにダメにしてしまいます。

いわゆる成金丸出しのファッションのような事です。下品な仕草の男性が高価なブランド服を身につけたからといって、魅力が上がるかというと微妙なのはイメージできるのではないでしょうか。

洋服の良しあしを価格だけで判断していると、いつまで経っても本質的な事に気がつけないので、気をつけてほしいと思います。

まとめ 審美眼を磨こう

洋服の価格と品質は必ずしも比例しているとは限りません。もちろん価格なりに比例している事も多いですが、それを見極める眼力がないと大金をドブに捨てる事になってしまいます。

有名なハイブランドほど品質が高い傾向があるのですが、その理由は圧倒的な資金力でどこよりも安く仕入れられる先を独占しているからであり、原価という意味ではノーブランドよりも安い事すら珍しくありません

なのに販売されるときにはどこよりも高い価格になっています。その付加価値はブランドイメージを構築する為に使われている広告費であり、商品の原価が高いわけではありません。

仕入れ価格が1000円程度の革を用いた製品が一流ブランドから販売されると2万円になるとして、同程度の革を一般企業が仕入れるとなると2000円掛かってしまうのに、販売価格は15000円ぐらいでないと消費者は納得してくれません。

ブランドイメージを構築するには莫大な予算が必要になるのですが、それに成功した企業ほど暴利をむさぼる事ができるので、廃棄処分のような事が出来てしまいます。

これはそれだけの損失分をカバーできる価格が、洋服の定価に含まれているという事でもあります。

鑑定士でないと見分けがつかないほどの偽物が出回っているものですが、そのような偽物を作っている会社にも利益が出ているわけであり、逆に考えるとその値段でも作れてしまうということでもあります。

もちろん有名ブランドはブランドイメージを構築する為に、膨大な広告費用を投入しているので、それらの費用が上乗せされるのは当然なのかも知れませんが、洋服そのものの品質は、偽物やノーブランドの洋服と大きな差があるとは限りません。

成金ファッションのようにブロンドロゴを前面に押し出すようなファッションが好きなのであれば、そのようなブランドを選ぶ価値があるのかも知れませんが、自分の体型やTPOに合う洋服を期待のであれば、ブランドイメージに左右される必要はありません。

女性ファッションは流行も早いので敏感である必要があるかも知れませんが、男性ファッションはそれほど流行に左右されませんし、ブランドロゴを大きくあしらったようなデザインも少ないので、しっかりと品質や相性を見極められるのであれば、それほどお金を掛けずともお洒落な印象になる事が可能です。

自分に似合う洋服を見極められる審美眼を身につくと、セールの洋服の中からでも最高の一着が見つけられるかも知れませんし、ブランドロゴに惑わされる事もなくなりmさう。

私にとって最高の洋服が、あなたにとって最高とは限りませんし、年代や体型も違えば環境も違います。

自分にとって最高に似合う洋服は、自分自身で見極めるしかありません。

稀にファッションセンスの良い奥さんに任せっきりでお洒落な着こなしが出来ている男性もいますが、メンテナンスまで丸投げにしていると、平気で傷めつけるような下品な動作をしてしまうので、なかなか本質的なスマートな着こなしにはならないものです。

ファッション雑誌や恋人や奥さんの意見を参考にするのは構いませんが、そこに頼りっぱなしでは成長がないので、しっかりと自分と向き合いながら審美眼を磨いていってください。

手持ちの洋服でも鏡の前で確認しながら着てみることで、様々な気づきが得られますし、自分の体型に合う洋服のシルエットやカラーといった基準が構築されていきます。

メンテナンスも含めて向き合うようになると、洋服の品質といった要素も判断できるようになっていきますし、ハンガーとの相性といった些細な点にまで気がつくようになります。

きちんとした焼き肉屋さんで食べる5000円のコースと、料理下手な主婦が自宅のフライパンで焼いた1万円のA5ランクのステーキでは、どちらが美味しいかイメージ出来ると思います。

お洒落も同じで価格やブランド名ありきで選んでばかりいると、なかなか本質と向き合えなくなってしまうので気をつけてください。

もちろん高級食材やハイブランドの洋服が悪いという意味でもありません。それらも上手く扱えば最高になってくれる可能性があるのですが、それらを選ばないと最高になれないと考えていると、いつまで経っても成長がないという事です。

どんなに品質が高い洋服でも姿勢が悪ければ似合いようがありませんし、ろくにメンテナンスが出来ないと直ぐにダメにしてしまうので、しっかりと基本と向き合うようにしてください。

よほどお金に余裕がある人であれば、取りあえず高い方を選んでおけば品質も良い可能性がありますが、牛丼に脂肪たっぷりの国産黒毛和牛が向いていないように、適材適所に合わせる感覚がないと、せっかく大枚をはたいてもマイナス評価につながってしまいます。

お葬式に金ぴかの腕時計やスリムなブラックスーツや光沢が多いエナメル靴が相応しくないように、金にものを言わせれば万能という事ではないので、しっかりと見極められるようになりましょう。

そういう意味では、むしろ価格の安い洋服と向き合った方が品質の差も激しいので、色々と気づきが多いかも知れませんよ。

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